平林雅芳 2歳観戦記(7/24.25)

トピックス

土曜小倉1R
2歳未勝利
ダ1000m
勝ちタイム1.00.4

勝ち馬
エリモミヤビ(牝2、栗東・佐々木晶厩舎)

激しい先行争いとなり、なかなか単騎の逃げを打てないヒューストニアだが、直線で振り切って逃げ込まんとしたところをゴール寸前でエリモミヤビの猛追にハナ差屈した。それにしても、エリモミヤビの伸びは父からダート巧者ぶりを受け継いだようで、眼を引く伸び脚であった。

ゲートオープンは、ほとんどが互角ぐらい。その中からブーケパルフェドリームスパ、ヒューストニアの3頭が鼻面を並ばせての先行。なかなか引く馬がおらず、1ハロンも雁行しただろう。3コーナーのカーヴに差し掛かった時にやっと単騎となったヒューストニア、と思う間もなく今度はダイシンワイルドと並んでマウシャーレが追いかけてきて、息を入れる暇がない。結局、直線に入って残り1ハロンあたりでやっと後続を引き離したかに思えたのだが、エリモミヤビの末脚が優っていた。

そのエリモミヤビは、3コーナーではもう前の先行馬グループに追いつきそうな勢い。しかし前はかなり前向きな馬ばかりで、カーヴで十分に息が入る感じながら待たざるを得ない位置。ジワっと捌いて、4コーナではバテた馬たちの中を4番手まで取り付き、そこからの伸びはなかなかに鋭いものであった。
3着のアスカノバッハは、4コーナーではまだ前に8頭がいる外め。そこから最後の直線で残り1ハロンから急追したもので、これもいい脚色であった。

エリモミヤビは、デビュー時よりもケイコ時計を短縮しての今回であり、ケイコの良さが直結した感じ。逆に3着アスカノバッハの今回は、攻めを手控えられたが坂路で51秒を出すなど動いていた。やはり走れる要因はある。ヒューストニアのマイナス12キロは締まったものと解釈していいだろう。今日は厳しい展開が敗因であり、ダートはやはり巧い馬と言える。


土曜小倉4R
2歳新馬・牝
芝1200m
勝ちタイム1.09.9

勝ち馬
バラードソング(牝2、栗東・牧浦厩舎)

圧倒的人気のタムロプリンセスがゲート入りで手こずってしまう。かなりの時間を費やしてやっと入ったが、ゲートの出もそんなに速くない。内から追い上げて3番手の好位に取り付いて進めたが、直線ではもう脚もそんなに残っていなかった。直線1ハロンから抜け出したエピデンドラムを、ゴール寸前で差しきったのが2番人気バラードソングで、最後のひと伸びが利いた。

どれくらい時間を要しただろうか、それほどタムロプリンセスのゲート入りは大変であった。馬も精神的に参っていたのでは。
ゲート内で待たされた他の馬も気の毒。最初は黄色の帽色2頭が出が速かったが、内からシグナルストーンが出て行った。しかしジンワリとした行きっぷり。外にエーシンギムレット、3番手の内めにタムロプリンセスが続く。ガールズストーリー、外からプントバンコ、エピデンドラム、そしてバラードソングはやや控え気味だ。

3コーナーのカーヴを前2頭が並んで行くが、シグナルストーンにエーシンギムレット共に抑え気味の行きっぷりだ。先行集団が7頭ぐらい、その1、2馬身後ろにバラードソングが控える。4コーナー手前では、3頭ずつ二列に並んでいる。シグナルストーン、エーシンギムレットにプントバンコが一列めで、その後ろ、最内がタムロプリンセス、ガールズストリー、その外へエピデンドラム。その直後にバラードソングが単騎で続いた。

直線へ入って脚を貯めていた先手シグナルストーンが前へ出た。一番外エピデンドラムの伸び脚がいい。中からタムロプリンセスも前へ出ようとするが、脚がない。残り1ハロンで外から先頭に立ったエピデンドラムだが、ちらっと鞍上浜中Jが後ろをみた。その時には、外からバラードソングの姿が視界に入ったのだろう。そしてゴールまでの数完歩、2頭が激しく追い合うが、外バラードソングの脚色が優った。

前半3ハロンが34.4であるから、新馬戦としてもペースはやはり遅いほうである。脚を残しての直線での攻防となった一戦。先行争いから下げて脚を温存したバラードソングのレース内容が光る一戦でもあった。それにつけても、タムロプリンセスの5着は仕方ないのだろうが、馬券を買って待つお客さんにしてみれば、最初から外れ馬券を買っているような気がしたのではなかろうか。
何かここらを解決する方法はないものであろうか。ファンからしたらいい迷惑な話でもあり、それも競馬のうちと言われれば仕方ないものなのか・・・。
ファンサイドからしてみれば、ちと、不満の残るレースであろうと思える。


日曜小倉4R
2歳新馬
ダ1000m
勝ちタイム1.00.5

勝ち馬
タイセイマグナム(牡2、栗東・新川厩舎)

この距離だけにスタートが肝心。2頭ばかりが出遅れたが、好発を決めたタイセイマグナム。3コーナーでは2番手のマルサンランナーと後ろがかなり離れる流れ。結局、そのまま押し切っての逃げ切り劇。最後は追ってない余裕の手応えでデビュー戦を飾った。

ゲートでカシノカイオウセンタースキャンの出が悪かった。ポンと出て行ったのがスターリングローズ産駒のタイセイマグナム。すぐにマルサンランナーも顔を覗かせて先行策だ。ネバープリンスが外へやや逃げ気味。1番人気のフレッチャロッサも悪い出ではない。しかし先頭のタイセイマグナムの逃げは軽快で、どんどんと前へ行く。2番手のマルサンランナーがすぐ後ろだが、3コーナーを廻る時には、3番手のフレッチャロッサとは5馬身ぐらいの差があったかも。その後も、前の2頭は軽快に先行している。

4コーナー手前で2番手の外めに並びかけようとしたマルサンランナーがやや外へ逃げ気味。それでなくともいい感じのタイセイマグナムの逃げっぷりが、直線ではより優位となってゆったりとゴールを目指す。直線ではほとんど独走気味となって、最後は流し気味のゴールだった。

2番手にはネバープリンスが伸びて上がった。何とか粘り込みをはかるマルサンランナーを、内ラチ沿いから脚を伸ばしてきたフレッチャロッサが交わして3着。アイアンセラヴィは、直線だけで大外から伸びて5着に上がってきていた。
タイセイマグナムの勝ち時計の1.00.5も、最後は追ってない感じでもあるし、遅いものでない。むしろ、今後は芝へ上がってどんなものかであろう。


日曜小倉5R
2歳新馬
芝1200m
勝ちタイム1.09.0

勝ち馬
シゲルキョクチョウ(牡2、栗東・湯窪厩舎)

前後半の3ハロンを、まったく同じ34.5のラップで逃げ切った高倉Jの手綱さばき。ディープインパクトの弟のオンファイア産駒シゲルキョクチョウが、綺麗に逃げ切った。直線1ハロンでは、オーロラヴィジョンを見て後ろを確認してからの追い出しと、この新人ジョッキーはかなりの余裕が出てきている。タイムはともかく、快心の勝利だったはずである。

だからこそ、勝ち時計の1.09.0は不問にしていい。もっとも、2着のシュアーウインは、4コーナーで外へ逃げ気味の馬に多少影響されて追い出しが遅れた分での一人旅。そこがもっと詰まっていたら、もっと厳しい直線1ハロンの攻防があったかも知れない。何せスタートから勝負は始まっており、そのスタートが好発。ジワッと行けて一度も並ばれずの先手を取ってと優位に事を進めている。坂路でも終い12秒1でビシッと追ったり、ポリトラックでも好時計を出している馬。実戦でもそのとおりに答えを出せた。

シュアーウインは、あまり速いゲートの出でなく、ジンワリと上がって行っていた。それが肝心の4コーナーで先に仕掛けて2番手に上がったテイエムギンリュウがちょうど動いた時となり、そのテイエムが4コーナーをもたれ気味に廻ってしまう。その外にいただけに、やや外めへとロスが大きかった感じだ。
そしてマスターグレイマンも、内めでジワッとしていた4コーナーであったが、そこから弾けるでもなくダラダラっとした伸び。むしろ2番手に行っていたリバーロイヤルが4着と逃げ粘っている点はまずまずか。
3着に、トキノゲンジは直線だけでいい脚を使って追い上げてきていた。

オンファイア産駒が1着と4着。2頭が先手と2番手の前々で競馬していた。シゲルキョクチョウは好発を決めて、後はマイペースの逃げを打てたのが実に大きい。高倉Jの逃げっぷりはますます磨きがかかってきている感じであり、小廻りコースの小倉で今後もおおいに注目であろう。
シゲルキョクチョウは、この後はフェニックス賞へと向かうとの、火曜朝の湯窪師の見解であった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他の一戦を画す強力なネットワークを築いている。