小倉記念/平林雅芳の目

トピックス

日曜小倉10R
小倉記念(GⅢ)
芝2000m
勝ちタイム1.57.9
勝ち馬
ニホンピロレガーロ(牡7 栗東・服部厩舎)

パドックが相当な人ごみとなり、係員が『お静かに』の立て札を持って周回する程。人も気温もボルテージがかなり上がった小倉記念。
オースミスパークの逃げだが、そんなに速くない流れ。前半1200通過が1.10.6は淡々とした流れ。
そんな中を、好位の外めを追走していたニホンピロレガーロと直ぐ後ろのバトルバニヤンが直線で抜け出して、鼻面を並べてのゴール。本当に際どい着差だったが、僅かに内のニホンピロレガーロが初重賞制覇を果たした。
1番人気スマートギアはゴール前でよく伸びたが、3着キープがやっと。小廻りコースだけに差し一辺倒ではなかなか決めづらい。そんな印象であったが多くの小倉のファンが武豊Jへの声援が印象的であった。

アドマイヤオーラが競走除外となって17頭立てとなった今年の小倉記念。
スタートで、スマートギアがややモッサリと出た。中からメイショウレガーロが好発から内へ切り込んできたが、オースミスパークが行く構えを見せたので2番手と、予想どおりの位置。今日はサンライズベガも五分のスタートを切り、早くも4番手。その直ぐ後ろめにニホンピロレガーロ、バトルバニヤンと続いて、一番内にはナリタクリスタルもいる。
2コーナーを廻って、先頭のオースミスパークがやや離し気味で4馬身のリード。2番手にサンライズベガが上がり、メイショウレガーロは3番手の内。その直後がステップシチーが続いた。スマートギアはブービーの内め。

向こう正面の残り800メートルの標識では、かなり縦長の隊列になり、3コーナーのカーヴを廻っていく。
残り600メートルの標識通過は先頭オースミスパークだが、半馬身差にサンライズベガがぴったりとマーク。3番手メイショウレガーロだが、外にシルクネクサス、さらに外ニホンピロレガーロ、直後バトルバニヤン、その後ろをホワイトピルグリムが上がって来ている。
4コーナーのカーヴ手前が残り400メートル標識。
そこでは前が4頭並んだ。
逃げたオースミスパークが最内で外サンライズベガ、その外にニホンピロレガーロとバトルバニヤン。ナリタクリスタルも8番手で、前から3馬身の間隔まで詰め寄って来ている。まだスマートギアはそこから2馬身後ろである。

直線に入って来た。外めの2頭の伸びがいい。先頭に立ちそうな勢いのニホンピロレガーロ、コーナーワークで半馬身遅れたバトルバニヤン。中からシルクネクサス。
その直ぐ後ろにナリタクリスタルも前がパッカリと開いている。ホワイトピルグリムの白い馬体が一番外でバトルバニヤンの直後だ。スマートギアは、まだそこから2馬身以上は差がある。

残り1ハロンのところで完全にニホンピロラガーロが先頭になったが、外からもう一度馬体を並ばせにかかったバトルバニヤン。この2頭が完全に抜け出す勢いだ。ナリタクリスタルも顔を覗かせて3番手グループに上がろうとしているが、前の2頭に迫る勢いではない。
むしろスマートギアがやっとエンジンがかかったのか、一番いい脚色を見せはじめる。しかし前は2頭、ニホンピロレガーロが僅かに前だが、ジワジワとバトルバニヤンが迫ってくる。
2頭ともステッキがビッシリと入って、鼻面を並ばせてゴールに入った。かなり際どい差ではあるが、態勢的には内ニホンピロレガーロが良かった。
3着争いも、ゴール寸前でスマートギアが上がってナリタクリスタルを抑えていた。

短い直線の小倉コース。それを意識して早めはやめのレースを心がけた酒井学Jの積極策が功を奏したようだ。バトルバニヤンは今度は差し届かずの2着。スマートギアは枠順も流れも向かず3着が精一杯であった。
ニホンピロレガーロはオープンに上がってから10戦目となる今回、ようやく重賞制覇まで届いた。最近ニホンピロといえば酒井Jとのコンビでの好成績が続く。酒井Jもニホンピロレガーロの初重賞制覇でその期待に応えた。暑い小倉で、熱い人の和が実を結んだようであった。

平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他の一戦を画す強力なネットワークを築いている。