平林雅芳 2歳観戦記(7/31.8/1)

トピックス

土曜小倉1R
2歳未勝利
芝1200m
勝ちタイム1.09.4
勝ち馬
テイエムキューバ(牡2、栗東・小島貞厩舎)

1.2倍の圧倒的支持を得たテイエムキューバ。一般新馬戦で見せたスピードで、限定戦のここでは力が違うとばかり先頭を切って、結局馬体を並ばせる事なく逃げ切った。直線では残り1ハロンを切ってから、ステッキで2、3発追ったが、後は流し気味のゴール。一般馬に入って互角の力を示したとおりの結果であった。

好発はテイエムキューバ。楽にスピードに乗って先手となる。2番手に上がってきたのがコウエイライトで、その後ろにレリアが続く。3コーナーを過ぎて4コーナー手前あたりが、2番手の馬が一番接近した時間帯であろうか。
しかし、手応えで大きな差が出ており、テイエムキューバは持ったまま、むしろ2番手コウエイライトの方が手応えが悪くなってきている。
そして直線に入ってきたテイエムキューバだが、まだ追わない。残り1ハロンを通過するあたりで、気合入れのステッキを使っただけで、その後は流し気味でいながらどんどんと差が開いていったもの。最終的に7馬身の差で快勝であった。
2着には、4コーナーで5番手の外めに上がってきたマサシが、ゴール50メートルぐらいでやっと2番手に上がってきたもの。
3着は、ゴール前で強襲してきたパティオ。凄い脚を使っていたのが目立った。

この楽な行きっぷりでも、デビュー戦の方がもっと数字は速かったのであるから、やはり一般馬との戦いと九州産限定戦との違いはかなりあるようだ。今回の前半3Fが34.1。前回が33.1と1秒違う。そして1000メートル通過も、前回が56.4で今回が57.3と、1秒前後遅いものだ。それでいて7馬身差の圧勝。ここでは力が違い過ぎた模様だ。
惜しむらくは3着のパティオ。ゲートは五分に出ていて、コウエイライトの直ぐ後ろぐらいを追走の態勢だったのが、その直後に躓いてガクッとしている場面があった。それがなければ、もっと違う競馬内容が出来たはず。次走はおおいに活躍できそうな気配である。


土曜小倉4R
2歳新馬
芝1200m
勝ちタイム1.08.9

勝ち馬
ドレッドノート(牡2、栗東・佐々木晶厩舎)

ここも圧倒人気のドレッドノートが、ゲートが開くやポンと出たなりで、後は終始楽な先行となり直線でも独走。6馬身もの水を開けての楽勝で、デビュー戦勝利を収めた。ポリトラックでも坂路でも好時計を出していたトレッドノート。ケイコどおりに力を出し切ってくれた。
2着はかなり接戦となって、4頭がゴール前を賑わしたが、アマノレインジャーが内から確保していた。

結果的には行ったいったの決着となったこの新馬戦。ゲートをダッシュよく飛び出していったドレッドノート。しかしそんなにリードを広げないでの逃げ。
2番手がアマノレインジャー、その外へシゲルチョウカンと続いて、前半3ハロンが33.8とまずまずのペースだ。
3コーナーを過ぎて、前の3頭から後ろが少し離れ気味となる。内ヒビキライト、外ミヤマキリシマだが、もう追いっぱなしである。前の3頭は1馬身と離れないで4コーナーへと入ってくる。
先頭のドレッドノートは引き付け逃げを打っているのか、手応えは十分。2番手ハ、アマノレインジャーより外のシゲルチョウカンの方が行きっぷりが良く、コーナーでは前に出て2番手に上がった感じさえもあった。
4コーナーを廻りしなに、先頭のドレッドノートに気合を入れた佐藤哲J。直線に向いてからは左ステッキを抜いて、気を抜かないように叱咤激励だ。

残り1ハロンを過ぎても、後続から迫ってくる馬は見当たらず。着差もどんどんと広がっていく。ゴールまでステッキを入れながら、しかし余裕を持ってのゴールであった。
内ラチに寄って行ったアマノレインジャーだが、後続に抜かせない。バテたシゲルチョウカンを抜いてスリップストリームが上がって3着かと思えたところを、ゴール前でテイエムメガヒットがいい脚を使って2着にまで迫ろうかとしたが届かずだった。
メイショウオウドウ産駒のドレッドノート。終始気合を入れながらの競馬だったように、まだまだ集中していない面があるのかも。でも、着差も6馬身ながら、目一杯の感じもしないだけにまだ奥がありそうだ。


日曜小倉1R
2歳未勝利
芝1200m
勝ちタイム1.09.0

勝ち馬
シゲルシャチョウ(牡2、栗東・鶴留厩舎)

4コーナーで外からいい感じで上がってきたカノヤキャプテン。直線に入ってきた時は、単独で先頭に立った。残り1ハロンを過ぎてもう確勝かと思われたのだが、ゴールを通過した時には、時計にしてコンマ1秒もの差で2着。
猛追したのがシゲルシャチョウ。直線半ばではまだ内へもたれていて矯正している様子が見えた程。ゴールが近づくほどに伸びていく脚が凄い。距離短縮が絶妙の効果を出したのだろうか。

スタートは、外の方が良かった。一番外のケージーヨシツネが先手、2番手レーガンかと思えたが、内からコウエイキングがダッシュを利かせて先手を取った。2ハロンを過ぎたあたりではコウエイキング先頭で、2番手レーガン。そして、セイプロスペリティウルルと続く。3ハロン通過が33.4はそんなに速くはないのだが、その後も息の入りづらい流れが続いた。
コウエイキングにレーガンが並びかけて、後続馬もかなり接近して追走している。8頭ぐらいが一団となっている先行集団だ。
そして勢いついて上がってきたのがカノヤキャプテン、外にはドリームガンも並んで上がってきていた。内めではニイハオジュウクンもいい感じで接近している。

4コーナーを先頭で廻ったカノヤキャプテンは、実にいい手応えで直線に入ってきた。残り1ハロンでは2番手レーガンの外へニイハオジュウクンが並んで、交わしそうな勢いである。しかし先頭のカノヤキャプテンが抜け出し、ゴールを目指す。3番手ニイハオジュウクンが意外ともたつき伸びきれないところを、内からシゲルシャチョウがスッと抜けて行った。しかしまだ先頭まで届きそうもないと思えた瞬間にグイグイと伸びだして、アッというまに交わしていた。

4コーナーでは、内めの7番手ぐらいを進んでいたシゲルシャチョウだが、コーナーリングで逃げたコウエイキングの直ぐ後ろまで接近。そこを交わす時にちょっともたれていて時間がかかっていたぐらい。残り1ハロン過ぎからの伸びは鋭いものであった。普通ならカノヤキャプテンの勝ちパターンのレースであろう。何せ勝ち馬だけが目立ったレースであった。

1番人気のウルルは鼻血を出した様子。4コーナーを廻る時にステッキが入っていたほどで、手応えがすでに良くなかった。


日曜小倉2R
2歳未勝利
芝1800m
勝ちタイム1.48.5
勝ち馬
モスカートローザ(牝2、栗東・池江寿厩舎)

結果的には1番人気、2番人気とスンナリ収まっているのであるが、とてもそんなスムーズな競馬ではなかった。やはりこの時期のこの距離のレースだけに、一触即発のところがある。松岡Jの小倉初勝利かと思えた4コーナーの上がり方、結果的には、冷静沈着なアンカツJの渋い勝利で終わった。そして関西圏で初のディープインパクト産駒の初勝利であった。

ディープインパクトの子供が3頭出走。馬っぷりの一番いいのが、やはりモスカートローザ。ヴィクトリースターは数字以上に小さく感じる馬体だ。音無勢の2頭がペースを握る。トツゼンノハピネスが先手で、クィーンオブライフが2番手をゆったりと進む。前半1000メートルが1.01.2である。
向こう正面では、内めをから岩田Jがヴィクトリースターの位置を上げていく。

3コーナーを入る前からペースが上がりはじめ、音無勢が並び出す。その外にヒデノオーカン、直後にダンテスク、内ではマイネマグノリア。半馬身遅れてヴィクトリースターが続き、その外へモスカートローザが構えている。
4コーナー並んだ。一番外へ松岡Jのマイネマオも上がってきていた。

直線に入ってきて外の3頭が前へ出た。一番先頭がダンテスク。その外へモスカートローザだが、外のマイネマオも並んできた。内めではヴィクトリースターが上がってきて、馬体を並ばせにかかる。ゴールが近づくにつれて、モスカートローザが伸び出し優勝。2着も、一番内に進路を取ったヴィクトリースターのディープインパクトの子供にワンツーかと思えた瞬間に、外からローザディアマントが凄い脚を使って2番手に上がった様子だ。

どうやら、直線でモスカートローザとマイネマオがぶつかるアクシデントがあって審議となったが、着順どおりの決着。惜しかったのが2着のローザディアマント。4コーナーまで内めでブービー追走、直線で外へ出して追い上げてきたのだが、残り1ハロンあたりで前を行っていたソーラーセイルが少しふらついたのか、態勢を立て直す不利があってからの追い上げ。本当にゴール寸前だけの脚使いであった。
道中はほとんどレースに参加してなくて直線だけでこの着順である。しかし、この大接戦を着順どおりに人気するお客様の眼力には参るものだ。


日曜小倉4R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.49.3
勝ち馬
ウインバリアシオン(牡2、栗東・松永昌厩舎)

最終追い切りが、坂路で上がり2Fを24秒台でまとめたウインバリアシオン。ケイコの渋太さをそのまま発揮したデビュー戦での勝利。上がり1ハロンを11.5でフィニッシュと、安定した脚を使えるようで、今後もおおいに楽しめそうなハーツクライ産駒であろう。

外からの方がジンワリと行けやすいのか、ここも外枠馬の先行。ゆったりした流れで進む。その5番手にウインバリアシオンが外々を廻りながら付けた。ペースが上がってきた3コーナーからも、いい手応えで前に接近。直後にタガノエベンヌも追走してきているが、余裕を持っているウインバリアシオンの鞍上福永Jの手綱であった。

カーブを廻って直線に入ってきた時でも、勢いづいたウインバリアシオンのリードはもう1馬身は十分にあった。2番手外のタガノエベンヌだが、その差が縮まるどころかますます広がっていく。
ゴールが近づくにつれ、ウインバリアシオンは手応えがますます良くなる感じ。鞍上も、もう何もせずで手綱を抑えたなりでのゴールインであった。
2着もタガノエベンヌが確保したが、3番手が微妙。
ゴール前大接戦となっていたが、アスールアラテラ、そう、この馬もディープインパクト産駒で、渋太く上がっていての確保であった。
4着ネオザイオン、5着のレールスプリッターとハナ、ハナ差の際どいものであった。

上がり3ハロンが11.8~11.5~11.5と切れ味を要求される内容。そこをゴール前ではもう流しているハーツクライ産駒のウインバリアシオン。
504キロと大きな馬体ながら、それを感じさせない馬体である。ちょっと面白い馬が出てきた感じだ。
そして3着のアスールアラテラ。ディープインパクトの子供だが、この馬も行きっぷりとかはちょっと渋い方の馬。それでいて直線ではなかなかの脚を使っている。総じてディープの子供もやはり実戦に行っていい様である。
1、2着がハーツクライの産駒で、3着がディープの子供。これからおおいなる戦いが始まるものであろう。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他の一戦を画す強力なネットワークを築いている。