平林雅芳 2歳観戦記(8/14.15)

トピックス

土曜小倉1R
2歳未勝利
芝1200m
勝ちタイム1.10.6

勝ち馬
パティオ(牝2、美浦・高市厩舎)

前走、小倉初参戦だったパティオ。スタートで躓く不利があったが直線の伸びが目立ち、次走はと期待を持たせる内容だった。そして迎えた今回は1番人気の支持。
4コーナーを外めの5,6番手を回ったパティオは、ゴール前でキッチリと前を捕らえての勝利。やはり前走の伸び脚が間違いのないところを見せた。

直線1ハロンを過ぎて、先頭のテイエムオイチのリードはまだ1馬身もあり、後続の馬の蹄の音もそんなに聞こえなかったに違いない。あと少しで勝利と思えた2、3完歩の間にドッと後続が迫り、そして過ぎ去っていった。
一番前に出たのはパティオ。4コーナーではまだ一番外の5頭目か6頭目。コーナーリングで、むしろ直線の入り口の時より番手が悪くなった感じだった。

直線半ばでも、まだそんなに前との差も迫ってくる感じではない。むしろ前でレースをしていたクリノマキバオーにテイエムオイチが逃げ込みを図って残られたかと思えた瞬間、後少しでゴールという時にやっとエンジンがかかったかのように外からグイと伸びて、パティオの勝利となった。
2着は、4コーナーでパティオの前にいたコウエイライトが、直線半ばで入れ替わった様子で追い込んできて2着を確保。
3着はクリノマキバオーが逃げたテイエムオイチを交わしてキープ。

勝ちタイムの1.10.6も決して速いものでない。事実、勝ち馬のパティオ自身も前走と同じタイムでのもの。ゴール前だけ伸びての勝利と危ない感じのものだったが、確実に末を伸ばしてくるのは悪くないもの。むしろ前つぶれの傾向がこれから出てくるだけにいいかも知れない。


土曜小倉4R
2歳新馬
芝1200m
勝ちタイム1.09.2

勝ち馬
スギノエンデバー(牡2、栗東・浅見厩舎)

新馬勝ちが一番多い福永J。この開催の緒戦も見事に勝利して、2歳馬を一番ウイナーズサークルへ運んだジョッキーの栄誉を続ける。直線は外めをしっかり伸びたスギノエンデバーが力強く抜けていった。勝ち時計もこんなものかも知れない。

小倉の勝負どころは3コーナー、そこを外から上がって好位に取り付いたスギノエンデバー。4コーナーを外め3番手で回った。
その4コーナーで、内めからスルスルとグレートヴァリューが上がってきた。
カーヴを回って直線に入ってきた時は、一番外へ出したグレートヴァリュー、既に前へ出て追い出したスギノエンデバーを追いかけるが、前を行くスギのエンデバーの方の伸びが良く追いつかない。最後は手綱をしゃくるだけのスギノエンデバーが、余裕を持っての勝利であった。

逃げたナムラエバーグリンが33.8でペースを造っていき4着。
ジワジワと順位を上げていく4コーナーでは、前の2頭を見下すほどの手応えで、追い出しもゆっくりとされたスギノエンデバー。
だから勝ち時計の1.09.2もそう問題にはならないだろう。もっともっと短縮出来る可能性も十分だ。
2着のグレートヴァリューのレースぶりが目立った一戦でもあった。


土曜小倉9R
フェニックス賞
芝1200m
勝ちタイム1.08.7

勝ち馬
シゲルキョクチョウ(牡2、栗東・湯窪厩舎)

レコード勝ちと、この小倉で一番速いブラウンワイルドが当然に圧倒的な人気。しかしそのブラウンワイルドを完全にシャットアウトしたのが、オンファイア産駒のシゲルキョクチョウ。高倉Jの気風のいい逃げ先行策。気持ちのいい逃げ切りとなった。
ゲートの出自体はそんなに速いものでなかったシゲルキョクチョウだが、外で先に前にいたフェブストリーと、交流馬クラウンハッピーがそう行く気がないと感じるや、左右を確認しながらそのまま馬を前と進めていく。

最初の1ハロンを過ぎる頃には3馬身の差、ここらでは2番手には最内のホーマンルッツが上がり、フェブストリーと並んでいる。そしてピルケンハンマーが行き脚がついて2番手グループに上がってきた。
2ハロン過ぎたあたりでは、先頭シゲルキョクチョウから2番手グループは4馬身ぐらいの間隔、やっとブラウンワイルドに行き脚がらついたのか、4番手グループの外めホーマンルッツを交わして上がっていこうかの位置。
先頭シゲルキョクチョウは軽快に飛ばしてもう4コーナー手前である。
ブラウンワイルドはと見ると、2番手のピルケンハンマーの後ろ半馬身差まで上がってきてはいるが、もう手応えは押している感じだ。

残り2ハロンを過ぎたあたりでも、先頭シゲルキョクチョウは持ったまま。少し後続との差が詰まってきてはいるが、それでもまだ3馬身はある。
ブラウンワイルドは、単独で2番手まで上がれてなくて、むしろ最内からホーマンルッツが押してラチ沿いを押し上げてきている。

直線に入ってもすぐにはシゲルキョクチョウの高倉Jは追い出さない。残り1ハロンが近づくというあたりから、馬にゴーサインを出した格好だ。やっと外にブラウンワイルドのエンジンがかかり追い上げてきているが、一番前に出る勢いまではない。高倉Jのステッキで叱咤激励を受けたシゲルキョクチョウが何とか逃げ切り、2馬身半の差をつけてゴール。
ブラウンワイルドの後は、外からセキサンキセキが追い上げてきて3着という結果であった。

シゲルキョクチョウは、前半3ハロンを33.4秒で行き、上がりを35秒3でまとめた。新馬デビュー戦の勝ち時計を、コンマ3秒短縮したもの。
逆にブラウンワイルドは、1秒2もデビュー戦から余計にかかってしまっている。
持てる力を十分に発揮できたシゲルキョクチョウに対して、ブラウンワイルドはそれが出来なかったいう結果。
ここらが2歳戦の難しさであり、若駒のレースぶりは予測できないという事だろう。
高倉Jの迷いのない積極策が好結果を出した一戦であるのは、間違いのない事実でもあった。


日曜小倉1R
2歳未勝利
ダ1000m
勝ちタイム59.5

勝ち馬
タガノロックオン(牡2、栗東・松田博厩舎)

そんなに速い時計が出る設定でもないだろうが、この勝ちタイムの速さであり、強さを見せ付けたタガノロックオン。ゴール前の2、3完歩はもう流すだけで、小牧Jの手綱はビクともしなかった。ダート適性がすこぶるあるのか、2戦目で馬自身が変わったのか、桁違いの勝ち方をみせてくれた。

外のピンク帽2頭がいいスタート。一番最内のヒューストニアも出てはいるが、そんなにダッシュが速い方でもない。外からマルサンライナーが押して出て行き、8枠のアスカノバッハが半馬身差の2番手。直ぐ後に8枠タガノロックオンが3番手、内半馬身差にヒューストニアとの態勢がしばらく続いて、3コーナーのカーヴへ入って行く。
一番内のヒューストニアの行きっぷりが一番悪いぐらいで、外からのシゲルコモンと並んでの4番手となっている。

4コーナー手前では、前2頭が並び3番手タガノロックオンが持ったままで1馬身後ろで待機。その後ろに後続4頭が並ぶも、手応えが全然違っている感じだ。

そして直線へと入ってきたが、アスカノバッハが先頭にいい感じで出てきているのだが、外タガノロックオンの勢いが違う。
ステッキを抜いた小牧Jが追い出しにかかる残り1ハロン。そこからはもう独走態勢。
股の下からチラっと後続を確認する小牧Jは、もう流すだけ。2着アスカノバッハに2馬身半の差をつけてのゴール。
ヒューストニアは3着に上がってきていた。

ヒューストニアは、前走2着のタイムで走って今回3着。2着アスカノバッハは前回から0.7秒も縮めているのに、それを上回る59.5でタガノロックオンが、それも最後は流し気味で勝ったのだから、相手が強すぎたのが歴然。
雄大な馬体でダートは間違いなく走るのは判ったが、あとは芝でどれだけ変わり身を見せるのかがこれからの興味津々な点かと思える。


日曜小倉2R
2歳未勝利
芝1200m
勝ちタイム1.09.6

勝ち馬
トキノゲンジ(牡2、栗東・梅田康厩舎)

ゲートでややタイミングが合わずに出が悪かったトキノゲンジだが、その後の対応がすごい。すぐに内へと潜り込んで行って、3コーナーでは好位の4番手で絶好の手応え。外々を通るロスを防ぎ、直線でも一番内から最後のさいごに前を行く2頭の間をぬって出てきての勝利。
実に小気味のいいレースぶりを見せての勝利であった。

好発は、ここも外のピンク帽2頭。スッと前に出ていた。トキノゲンジ他2頭が出が悪かった。しかし内からリバーロイヤルが出て行き、2番手に今日はスタートも良かったアイアンセラヴィがつける。カシノウィンドジョーポジティブと続く位置取り。コウエイキングがその後ろで待機。トキノゲンジが内へと入ってきた。

3コーナーでは前のグループからもう3、4馬身の絶好の位置まで取り付いた。淡々と流れる先行集団、前半3ハロンが34.3とゆったりなペースだ。
そして直線へと入って来た。前の2頭が内ラチ沿いを伸びていく。リバーロイヤルが先頭、外にアイアンセラヴィの争いかと思えるが、その直後に接近するトキノゲンジの手応えもいい。リバーロイヤルとアイアンセラヴィの2頭の左右の間も開いている。
ゴール寸前にそこに入って抜けたトキノゲンジ。鞍上、北村友Jのファインプレーと言っていいのではなかろうか。

スタートが今ひとつだったが、その後の対応が冴えた北村友J。外々を回っていたら、流れからもこんな結果にはならなかっただろう。ジョーポジティブが好発から好位置につけて行ってのレースだが、4コーナーをどうしても外で回る分のコーナーワークで差が出ている。
最後にまた詰め寄ってきているが、前まで取り付く脚色ではなくなっていた。

トキノゲンジは、シゲルキョクチョウが勝った新馬戦で3着。シゲルキョクチョウがフェニックス賞と連勝。けっこうなメンバー構成だった感じでもある。
とにもかくにも、道中のレースぶりが実に巧かった鞍上の手腕が目立った一戦であった。


日曜小倉4R
2歳新馬
芝1200m
勝ちタイム1.09.9

勝ち馬
オースミマイカ(牝2、栗東・昆厩舎)

圧倒的人気を集めたオースミマイカが順当にデビュー勝ち。直線では少し狭いところを抜けてきての勝利。その抜ける時とゴール前は、見せムチを使ってと次走に繋げる内容であった。

ここも外のマキハタファントムがいいスタート。スッと先手を取って行く。内ではオースミマイカは何か戸惑ったのか、行き脚もついてない感じだ。それでも4番手ぐらいの位置取り。
マキハタファントムが逃げてカリスマサンスカイが2番手、アルバとオースミマイカがその後ろ。サカジロゴールドが直後につけて、前5頭が先頭集団で後はちょっと離れた感じで進む。

3コーナーを過ぎて、マキハタファントムのペースは前半3ハロン34.0とまずます。オースミマイカは3番手の内でラチ沿いを進んでいる。
4コーナーを廻って直線に入ってきたが、4番手アルバがあまりコーナーリングが上手くなく、外へ逃げ気味となっている。
逃げるマキハタファントムと2番手カリスマスカイの間がスッと開いた、残り1ハロン標識のあたりで、オースミマイカが鞍上の福永Jの左ステッキに促されて抜き差っていく。
先頭に立ったオースミマイカはそのままゴールへと。2番手にマキハタファントムが粘ろうとするところを、やっとアルバがハミを取って追われて追い込んできて、2番手に上がった。

前へ行った組での決着。34.0で行き上がりも35.9。勝ち時計が1.09.9と平凡なのは流れからも仕方ないところだろう。でも追われてからしっかりとした足取りをみせていたオースミマイカ。新馬勝ちという実績を残した事が、今回の課題であったはず。
鞍上の福永Jは前回で3鞍、そしてこの開幕週は土日と、新馬戦勝ちが5勝。
今年の2歳馬は、彼が一番よく知っていると思われる。今後も続きそうな流れだ。