平林雅芳 2歳観戦記(8/21.22)

トピックス

土曜小倉1R
2歳未勝利・牝
芝1200m
勝ちタイム1.08.9

勝ち馬
カノヤキャプテン(牝2、栗東・坂口則厩舎)

新馬戦3着、前走はスタートで後手を踏んで2着と確実に上昇中のカノヤキヤプテンが、今回も小倉滞在で調整、直線で抜け出したが、最後は流し気味での完勝。鞍上もこの夏も絶好調の福永Jで安定した内容であった。

今回も好発だったのはテイエムラブパワー。外から先手かと思ったが、中からシゲルチョウカンが押して先手。2番手ツルマルワンピースが続き、その一番外でテイエムラブパワーとなる。カノヤキャプテンも直後の5番手で、向こう正面を過ぎる。
3コーナーで先頭のシゲルチョウカンの外へテイエムラブパワーが上がり、ツルマルワンピースは3番手の内め。ここらでカノヤキャプテンも外3番手に並び出す。前半の3ハロンが34.3だから平均ペースか。
4コーナー手前では前の3頭が半馬身ずつで並んでいく感じだ。先頭シゲルチョウカンにテイエムラブパワー、そしてカノヤキャプテンである。
そのまま直線へと入って来て、外めのカノヤキャプテンの手応えが抜群にいい。直線1ハロンあたりでステッキは抜いたが、最後まで使わず、むしろゴール前ではもう流し気味の楽勝であった。
2番手には逃げたシゲルキョクチョウが粘り、3着にはツルマルワンピースが迫って来ていたが頭差届かず。
テイエムラブパワーは、最後エーシンギムレットにも抜かれての5着であった。

上がり3ハロンが34.6。最後の1ハロンが11.6だが、ほとんどが勝ち馬カノヤキャプテン自身の脚色みたいなもの。最後は流し気味だったのだから、もっと速く走れる勘定。だから勝ち時計も十分に詰まるはずのもの。地味なレースだが、決して悪くない勝ちっぷりであった。


土曜小倉2R
2歳未勝利
芝1800m
勝ちタイム1.48.0

勝ち馬
メイショウナルト(牡2、栗東・武田厩舎)

ハーツクライの子供同士が人気を分け合った一戦。1番人気のメイショウナルトは、今回も小倉滞在での調整。2番人気タガノエベンヌは、中2週で一旦栗東へ引き上げての参戦。両者を分けたのはスタートの差でもあったし、何せメイショウナルトの強さが目立った一戦だった。

内でテイエムバレンシアが好スタート。中のメイショウナルトもいいスタートでスッと前へ出る。逆にタガノエベンヌはタイミングが悪かったのか、1周目のゴールを過ぎる時は一番後ろではなかったか。
2コーナーをまわって先頭はエーシンディーバ。直ぐ2番手にメイショウナルトがピタっと付いていく。3番手テイエムバレンシア、外にはヒビキライトが続き、タフがその後である。
3コーナーのカーヴ手前あたりで、もうメイショウナルトがエーシンディーバを交わして前に出る態勢だ。前半1000メートル通過が1.00.7だからまずまず平均なペースだろう。そこから残り600メートル。もう一度前へ出かかるエーシンディーバと並ぶ格好でメイショウナルトは4コーナーへ向かうが、カーヴをまわって直線に入る時は、もう単騎先頭となる。
そしてまだ1ハロン手前あたりで後ろをチラッと見た幸J。その後は何もせずにゴールまで馬なりで入った。

2番人気タガノエベンヌは、ジワジワと上がって行って、3コーナーから4コーナーの中間は5番手の外めまで上がる。4コーナーも3番手で上がり追撃態勢だったが、直線では後ろから迫ってきたバンブーチェルシーの脚色の方が優って半馬身差の3着であった。

バンブーチェルシーは、今日はゲートを五分に出れた。それにしても強烈な脚。ケイコでの切れの良さを生かせた感じ。
それにしても勝ち馬メイショウナルトの強さが光った。上がり3ハロンは自身がマークしたもので、それを列挙すると11.8から11.5~11.8である。最後300メートルほどは後ろを確認して馬なりでと、追ってないでのもの。これは驚愕であろう。
初戦1200から今回距離を延ばした陣営の先見の明であり、ハーツクライの子供はなかなかにいい競馬内容で勝ち上がる。実に楽しみな馬の出現である。


土曜小倉4R
2歳新馬
芝1200m
勝ちタイム1.09.5

勝ち馬
ジンクアッシュ(牡2、栗東・山内厩舎)

栗東坂路での調教で、51.0で上がり2Fも24秒台をマークするジンクアッシュ。期待にたがわず強い勝ち方でデビュー戦を飾った。時計の1.09.5は、最後は手綱をしゃくっているだけであったから不問にしていいはず。タイムでなく勝ち方の問題だ。

どうも小倉の1200芝のレースは外枠、それも一番外に近い方が好発のケースが多々ある。ここも一番外のテイエムシェイクがポンと出た。しかしその後は内からスッとカラフルデイズブロンドスキーが出てジンクアッシュは3番手である。3コーナーでは一番内のブロンドスキーが前へ出てカラフルデイズ2番手。ジンクアッシュはいい感じで3番手追走だ。その後ろに居たサカシロキングがやや外へ逃げ気味なコーナーリングである。4コーナーをまわる時に、ジンクアッシュが勢い余ったのか、やや外へ流れ気味だが大勢に影響はなし。そのまま馬場の5頭分外を通り先頭へ出て行く。

前半3ハロンが34.9で上がり3ハロンが34.6。抜け出たジンクアッシュはもう手綱をしゃくるだけで、ステッキは抜こうともしていない。最後3ハロンのラップが11.6~11.2~11.8であるから、もっともっとタイムは短縮されたはず。
前へ行った2頭が2、3着と当然に粘っていた。ジンクアッシュだがケイコは山内厩舎の2歳馬の仕上げだけにビッシリとやってあるものだが、何と言っても508キロの雄大な馬体。
次走はもっと締まってさらに走れるはず。これまた楽しみな馬がデビュー勝ちを収めた一戦であった。


日曜小倉1R
2歳未勝利
芝1200m
勝ちタイム1.09.8

勝ち馬
ニシノフウウンジ(牡2、栗東・中竹厩舎)

前へ行った3頭がゴール寸前で入れ替わった、そんな図式の一戦。1番人気のアマノレインジャーが34.6の絶妙のペースで逃げて、もう少しでそのまま逃げ切るかと思えたところを、ゴール前の併せ馬で闘志が湧いた2頭、オウエイロブロイとニシノフウジンの脚が優って抜き去ったのだが、僅かに外のニシノフウウンジがハナ差出ていた。

でも、やはりスタートが肝心。一番に出たのは大外のシゲルフクサンジ。しかしダッシュが一番速いのがニシノフウウンジで、アマノレインジャーはゲート出ての一完歩目がかなり遅めで6番めぐらいの位置である。外でオウエイロブロイが先手を取ってトップへ出ていたが、内から押して押してアマノレインジャーが来ていたので、先へ行かせた、そんな1ハロンまでの駆け引きだった。
その後も先手を取っているのはアマノレインジャーであるが、主導権は2番手のオウエイロブロイが握っているかの様な行きっぷり。

4コーナーのカーヴのところの残り2ハロンではアマノレインジャー、オウエイロブロイ、ニシノフウウンジの3頭がまったく横並びの態勢。
直線へ入ってきた時の雰囲気でも、真ん中のオウエイロブロイが一番感じが良かったもの。外のニシノフウウンジは道中でもやや渋い行きっぷり、いわゆる追っつけどおしという雰囲気。
直線1ハロン手前から、最内のアマノレインジャーは一番勢いが落ち出し、外2頭の対決ムードとなった。ゴールが近づいても中のオウエイロブロイが優勢。しかしゴールちょっと前から外ニシノフウウンジが伸びだしてハナ先着。そんな結果であった。一番劣勢だった最内のアマノレインジャーでもクビ差。

スタートの後のラップが12.3~10.9~11.4~11.8~11.6~11.8が物語る。終始息が入る流れではなかったという事だろう。最初からゴールまで3頭が息を切らせての戦い。そんな1戦であった。
この経験は次に活きてくるだろうと思われるものだ。


日曜小倉4R
2歳新馬・牝
芝1200m
勝ちタイム1.10.9

勝ち馬
トーホウペッグ(牝2、栗東・田島良厩舎)

ここも福永Jの鞍、そんな新馬戦であった。圧倒的1番人気のトーホウペッグが3番手から4コーナーではもう先頭に踊り出る勢い。直線半ばからはゴールまではもう追わずの態勢であった。タイムはこの小倉2歳新馬戦で一番遅い決着であろうが、馬なりでは文句もなかろう。

ここも1、2着馬は好発。トーホウペッグにレディダイヤの出が良かった。内からヒロガーデンが先手を取って行く。テイエムキラーズが間に入って、レディダイヤ2番手、トーホウペッグ4番手の外の態勢で道中は進む。
4コーナー手前で、ここにブルーライトマリーが加わり5頭が固まってきた。しかし先頭のヒロガーデンの勢いが止まりだし、押し出されるようにレディダイヤが前と出る。
4コーナー入り口では先頭のヒロガーデンの外に馬体を併せてきたトーホウペッグ、さらにその外へブルーライトマリーといった態勢でカーヴをまわり、直線に入ってくる。残り1ハロン標識を過ぎるあたりで、中のトーホウベッグが先頭となってゴールへまっしぐら。
残り50メートル付近からは、もう完全に勝利を確信する勢いとなっていた。
内で粘るレディダイヤに後ろからアランロドが追いすがったが、交わすまで至らずであった。

ちょっとゴール前のかっこうなどを見ていると、あまりいい歩様の感じではないのかと思えるようなトーホウペッグ。幾分ソエ気味でもあるのかもと、素人考えで思ってしまうような形であった。
タイムは地味でもあり勝ち方も派手さはないが、新馬初戦を勝つという事は、大事なパフォーマンスであるはずだ。


日曜小倉5R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.51.9

勝ち馬
マイネジャンヌ(牝2、栗東・清水久厩舎)

道中の行きっぷり、特に3コーナーから内々で楽な手応えで仕方がない。
マイネジャンヌの勝利を予感させるもの。それが直線で抜け出るまでに、時間を喰ってしまい猛追のゴール前だったが、そのゴール前で外へ逃げたか、変な格好はしたけれども、何とか勝利へと結び付けられてほっとしただろう鞍上の和田J。そんな新馬戦であった。

ゼンノパーシヴァルが、前半1000メートルを1.03.7と、まずまずのペースで逃げた。その後の800メートルも、そんなにピッチが上がらずの流れ。3番手のラチ沿いにいたマイネジャンヌが、もの凄い手応えで持ったままで流れに乗って待っている印象だ。
後は4コーナーをまわって追い出しにかかれば突き抜ける、そんな手応えだったが、先頭でまわるゼンノパーシヴァル、2番手のマーティンジーンとのスペースがなかなか開かない。
先に外から仕掛けて上がった、リリーファイアーが一気に前に出て、1、2馬身の差が出てしまった。外からサチノパートナーの伸びもいい。
一瞬、踏み遅れたかの感じであったが、ゴールまで残り50メートルのあたりからリリーファイアーの内に馬体が届きだし、そして抜き去り前に出た。
ゴール寸前で外へもたれたのか、和田Jがゴール前では急に抑えていたほど。
2番手は、外から伸びたサチノパートナーが、これもリリーファイアーを交わして確保。4着のヒットザターゲットが、外からなかなかのいい脚を使って急追していた。

マイネジャンヌは馬場での仕上げ。最終追い切りも、単走、馬なりで好時計を出していた。何よりも追われてからの伸びがいい。
実質2ハロンだけピッチの上がる新馬戦であり、決め手勝負だった。それをまさに切れ味を見せての勝利。なかなかに渋い馬である印象だ。