-神戸新聞杯-平林雅芳の目

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日曜阪神10R
神戸新聞杯(GⅡ)
芝2400m
勝ちタイム2.25.9
勝ち馬
ローズキングダム(牡3 栗東・橋口厩舎)

着差以上の勝ちっぷり。ローズキングダム勝利!

勝負のポイントは4コーナーを回って直線に入ってきた時。ローズキングダムとその外にいたエイシンフラッシュが狙うポイントは、少し開いた隙間。そこを先に入ってしまい、相手が入るスペースを潰す。そこが腕の見せところであろうし勝負のポイントで、当然の行為。内田Jが先に入った。武豊Jもそこを狙ったのだが、相手がほんのわずかばかり先だった。そこを固執せずに、すぐ内へ切り替えてサンディエゴシチーを挟んで両サイドからの攻防となった。先に出ていたエイシンフラッシュを後からローズキングダムが追ったのだが、すぐに並びかけて抜いた。この瞬発力がこの馬の持ち味。着差はクビであるがそれ以上の勝ち内容であったと思える。

スタートからローズキングダムもエイシンフラッシュもけっこう行く構えで出て行く。内からビッグウィークが出て所定の位置となったのが1周目のゴール板あたり。目の前を通るのでよく判るのだが、あまりに遅い。一遍にガクッと落としたぐらいのペースで先導していく。2番手ネオヴァンドーム、外にサンデイエゴシチーが付く。その直後の内ラチ沿いにローズキングダムで、外にハードダダンダンが付く。ローズの後ろは、やはりエイシンフラッシュがラチ沿いを追走だ。

2コーナーを回って向こう正面に入ったあたりで、あまりの遅さに2番手のネオヴァンドームが前に出る。サンディエゴシチーも続く。しかしピッチは上がってない。ビッグウィークが3番手で辛抱となる。3コーナーも淡々と過ぎていく。4コーナーへと向かうあたりで、中団から後ろめを追走していたシルクオールディーの手応えが悪くなっているのが目立った。他の馬はまだ手応え十分である。
4コーナー手前では5番手ぐらいにいるローズキングダムと、すぐ隣りにエイシンフラッシュが外めとほとんど並んでいる。そして直線へと入ってきて、切れ味勝負は明解である。

まだ前で頑張っている先行グループだが、横に広がって最後の仕上げへと各馬が動く。横に広がる馬群。サンディエゴシチーの外が少し開いた。
直後にいる2頭、先にエイシンフラッシュがそのスペースを確保してしまい、ローズキングダムは遅れた。当初はそこを狙った武豊Jだが、直ぐにサンディエゴシチーの内へと切り替えた。先に狙いどおりに進路を確保したエイシンフラッシュは、前へと出て先頭のネオヴァンドームの外に並ぼうかという時に、ワンテンポ遅れて前に出てきたローズキングダム。明らかにこの2頭の争いとなりそうな勢いである。

両雄が最後の仕掛けとなる。追い合いだ。後から並んだ内のローズキングダムの伸びがエイシンフラッシュのそれを上廻る。最後の死力を振り絞って伸びるエイシンフラッシュをクビ差つき離してローズキングダムが皐月賞、ダービーの借りを返した感じだった。

馬体重が発表された時に思わず嬉しくなった。いつも《馬体が成長していない》と橋口師の言葉が耳に残っていたからである。それからローズキングダムのデビューからの馬体の数字を調べてみた。デビュー初戦が456キロだった。その後は東京スポーツ杯2歳Sへ遠征で450キロ。それからは450キロ台を割り込んでいた。
『今まで遠征競馬ばかりだったから減りすぎていたんだよ』と橋口師がレース前に言ってくれた。パドックで見ていても、どこにも太っている数字分の余分なところはない。そしてライバルのエイシンフラッッシュであるが、あのダービー時のようなギラギラの馬体の光沢ではなかった。
また、レーヴドリアンは元々の体形もあるのだろうが、腹目が太く見える。昇り馬と目していたシルクオールディーは、気合がいいのかやや入れ込む寸前のような動きで周回していた。

戦い終えてダービー1、2着馬の菊花賞トライアル戦は、それなりに意義があったはず。両方とも、目一杯の仕上げではないのは当然ながら、まずまずの滑り出しと思えるものだった。
3着ビッグウィークは、逃げなくともの内容が出来たが、3馬身の差は歴然であろうか。あとは新しい馬、昇り馬の参戦であろう。
とりあえず、ローズキングダムの秋は視界良好であるのは間違いないと見ている。