平林雅芳 2歳観戦記(9/25.26)

トピックス

土曜阪神1R
2歳未勝利
ダ1200m
勝ちタイム1.14.0

勝ち馬
マルコフジ(牡2、栗東・坂口則厩舎)

毎度のことながら、2歳馬のダート戦は難し過ぎる。脚質もまだハッキリと決まらないのにダート適性も問われてしまう。予測のつかない事ばかりとなる。このレースもマウシャーレの逃げから始まり、マルコフジ、ビットプレストとこの開催で新馬戦でおりた組のワンツー決着となった。ただタイムも平凡で、何とも言えないレースである。

初戦のパドックで鞍上を乗せた後に転倒したビットプレストは、今日はここでは乗らず。ところが後で佐藤哲Jに聞くと、今日は返し馬で落とされたそうだ。とにかく元気一杯な馬。スタートはマウシャーレが外から好発を決めて前へと出て行く。前半3ハロンを35.8のけっこうなペースで行く。
そのゲートでは、いちばん内のナムラエバーグリンが後脚を落とす様な出方をして遅れ気味。その後は何も出来ないで終わった感じだった。

マルコフジ、スッと2番手。内からビットブレストもすぐにいいところに取り付く。逃げたマウシャーレが4コーナーを回って後続を少し離した時には逃げ切りかと思えたが、マルコフジとその後を内から上手く出てきたビットプレストが追いかけて、最後は交わしてのゴール。半馬身、半馬身の決着であった。
終いに少しいい脚をみせていたのがユウキマリアッチ。直線の外めを終いけっこうな脚で伸びていた。ニイハオジュウクンはスタートで後手となり、外々をジワジワと上がって行ったが、直線ではすでに脚色がなかった。

マルコフジは、デビュー戦の3コーナーあたりでの行きっぷりが凄く良かった馬だが、それが結果には結びつかず。今回が発表の場とは知らなかった。前走5馬身も水を開けられたビットプレストを今度は半馬身差退けての勝利。そのビットプレストは、直線で内から抜けてきたまでは良かったが、その後がパトロールビデオを観るとかなりフラついていた。若さが溢れすぎている現状であり、もったいない感じの馬だ。


土曜阪神2R
2歳未勝利
芝1400m
勝ちタイム1.22.8

勝ち馬
ミッキーマスカット(牡2、栗東・橋口厩舎)

初戦の558キロからだいぶ減ったが、それでもまだ数字は凄い。ただそんな超大型馬とは見えないパドックである。何せ直線の狭いところを抜け出てきたのだが、その出方でもスムーズではなく、かなり待たされる不利があってのもの。それにもへこたれずの伸びを見せるのだから、この馬、けっこうな根性の持ち主なようだ。

ヒカリゴールドが逃げたが、前半3ハロンが35.1と芝としてはかなり遅いペースで推移した。ミッキーマーチスは、むしろそのヒカリゴールドよりも先にゲートを出ていたぐらい。ヒカリゴールドが行って、自身は2番手の内に位置する。

終始馬群が固まっての先行となる。ミッキーマスカットの半馬身後ろにエアギベオンが続くが、やや行きたがるところを見せるぐらいの流れ。そんな感じで4コーナーまで来た。2番手に外からテイエムシルエットが上がっている。
直線もひしめきあっていた。そんな直線で先頭ヒカリゴールドの内へ、最初は進路を取ったミッキーマスカット。ところがたちまち狭くなった様子。

残り300メートルぐらいのところ。一旦追うのを止めて、今度はテイエムシルエットとの間に切り替える。同じ時間帯にエアギベオンがテイエムシルエットの外から前に出ようとしていた。ヒカリゴールドとテイエムシルエットとの間を抜けるのに時間がかかったミッキーマスカットだったが、小牧Jのステッキに呼応して大きなストライドを伸ばして追いすがるエアギベオンに1馬身近い差をつけてゴールしていた。
エアギベオンは一旦は先頭のシーンもあった様に見えたが、その後に『ソラを使った』と武豊Jが言っていたが、完全に伸びきれてないうちに相手に先にゴールを許してしまった感であった。

この馬で小牧JがJRA500勝。それも常日頃からお世話になっている橋口厩舎の馬でするタイミングだ。いつのまにか、もうこれ程の数を積み重ねていた彼。そしてこの阪神開催でかなり活躍が目立つのも事実。
そして何よりもあの人柄、ローズキングダムの追い切り後に声をかけてくれたりと、自分の事より橋口厩舎の事を考えている人。律儀な人でいい性格である。
その彼がその橋口厩舎で500勝。その橋口厩舎も阪神開催となって調子がグングンと上がっているのが判る。


土曜阪神4R
2歳新馬・牝
芝1200m
勝ちタイム1.10.2

勝ち馬
キョウワジャンヌ(牝2、栗東・飯田厩舎)

パドックでレッドマーベルが圧倒的人気になっているのに驚く。兄弟馬と鞍上への期待度が大きいのだろう。そしてキョウワジャンヌの雰囲気がいいのが気になる。スタートは内のサイクロニストやシシャモクイーンの方が速かったのだが、ドッと他の馬もダッシュ利かせて前へと出て行く。
特にあまりスタートの速くなかったシゲルシュサが、追って追って前へと出て行く。先頭に立とうとしていたマイネエレーナの内からトップへ出る。3番手が内メイショウマオと外レッドマーベルが並ぶ。その後ろにキョウワジャンヌが続く。

2ハロンを過ぎたあたりである。ちょと前の2頭の行きっぷりがあまりスムーズでない。やや外へ逃げ気味な感じの様である。
3ハロンを過ぎたあたりで、先頭の2頭と後続の差がかなり詰まる。3ハロンは35.1で通過だがそんなに速くない。
そして4コーナーのカーヴへと入ってくるのだが、マイネエレーナがあまりコーナーリングが上手くない。その直後にいるレッドマーベルが、それを気にして前に進まない感じである。

そして直線へと入ってきた。シゲルシュサとマイネレーベルがスペースを開けた間にメジロマオが入ってきて、先頭へ踊り出る勢い。外ではキョウワジャンヌの伸びが良く、その内のレッドマーベルの進路を蓋をする様に前へと出て行く。
残り300メートルを過ぎて、完全にメイショウマオとキョウワジャンヌの争いになった。結局は、キョウワジャンヌが一度もステッキを使わずに手綱をしゃくっと追うだけの見た目以上の楽勝で、メイショウマオを退けた。
3着は3頭が横一線。馬場の内めから出来たサイクロニストと、外めを来たツナミとトップルビーの追い合い。中のツナミが先着していた。

ケイコで水準以上の時計を出していたキョウワジャンヌ。兄弟馬もそこそこ活躍した馬が多い。馬体もしっかりした造りで、見た目以上に力を持っていそうな馬である。手綱だけで直線の攻防を終えた鞍上の乗り方からも、手応えはかなり持っていた様に思える。次走が楽しみな馬でもあろう。
一方のレッドマーベル、ビービーガルダンの妹だが、今回は北海道からの輸送もあったりして、絶対数の追い切りが足りなかった感じもある。それと他馬を気にする弱さもあった様子。これを使って変わってくるものだろう。


日曜阪神1R
2歳未勝利・牝
芝1200m
勝ちタイム1.10.0

勝ち馬
キミニアエタキセキ(牝2、栗東・橋口厩舎)

シゲルの馬が4頭も出走、そのシゲルヒラシャインが逃げてシゲルカンリカンが最初は2番手。そのうちにノーザンソングやロイヤルネイチャーが2番手に上がって行ったが全体にゆっくり。前半3ハロンが35.4と決して速くはない流れだ。
注目のキミニアエタキセキは、ゲートそのものもジワッと出した様子。その後も何もせずにじっとしたままで、後ろから2番目ぐらいの位置。
段々と自然に前が開いて順位が少しずつ上がっていき、4コーナー手前では中団。隣りにはビッグスマイルが、目の前にはシゲルチョウカンがいた。

カーヴはいちばん内を回ったが、直線になった時には外へ出している。その目線の先は、ロイヤルネイチャーとその外のアサヒチェリーの間がポッカリと開いているスペースだ。
この時点で外へ回ったビッグスマイルとは、先頭からほとんど同じ位置となった。

開いたスペースに入りきって前へと進出しだしたのが、残り1ハロンぐらいの所。先に出ていたのはノーザンソングであったが、その馬の勢いを上回る速さで前へと出て行く。ちょうど同じく外から追ってきたビッグスマイルとの併せ馬となったが、すでにエンジンがかかっているから抜かせない勢いである。もうステッキを使う事もなく手綱で押す2頭だが、キミニアエタキセキが首差制しての勝利だった。

どうやらこの形が理想なのであろう。デビュー戦もこれ程ではないが、終い来ていたキミニアエタキセキ。それが2戦目、3戦目と先行して何かに差されるレースとなっていたもの。今日の終いの伸びを見ていると、今までが嘘の様な伸び脚である。やっと本来の力を発揮できた感じで、着差のクビ以上に強いものであった。
ビッグスマイルも、休み明けの前走よりは馬体の造りも良く見えていた。これならば近い将来に勝機もくる事だろう。
橋口厩舎と福永J。好調なリズムが感じられるふたつのものが合わさればと思える勢いを感じた・・ものだ。


日曜阪神2R
2歳未勝利
芝1600m
勝ちタイム1.35.3


勝ち馬トップシャイン(牡2、栗東・境直厩舎)

人気のシンボリストームに注目してレースを観る。今日は外枠でもあり、最初から行く気はない感じ。ジワッと出ていき4番手ぐらい、先頭は内のマイネルデフィが取ってレースを造っていく。1000メートル通過が1.01.1とやはりゆったり。2番手トムコウクン、3番手アルバと淡々と進んで行き、その直後の絶好位にシンボリストーム、中団の開いた位置にトップシャインがいる。

そして4コーナーへと入って行く。外でロードスラッガーが3番手に上がり、シンボリストームの少し前へと出てカーヴを回ってきた。外でエーシンサクショーが上がってきているが、その直ぐ内のトップシャインの勢いがなかなかいい。

完全に真っ直ぐの直線になった生垣の切れ目あたりでは、外のトップシャインの勢いがいちばん良く見える。中からシンボリストームも出て来ようと鞍上が仕掛けているが、今ひとつ馬の方に伝わってきてない感じで伸びが瞬時ではない。その間に、外のトップシャインが前に出てしまう。

1ハロンを過ぎて完全にトップシャインにエンジンがかかり、ゴールへ向けて勢いつけて行く。いちばん内へ入ったアルバと、粘るマイネルデフィ。ちょっと脚色が落ち出したトムコウクンの外を、やっとシンボリストームが伸び出し前を追う。何とか2着を確保した格好で、内のアルバに半馬身差であった。

トップシャインは、デビュー戦がトウシンイーグルが完勝した新馬戦で、直線良く伸びて5着。その時もかなりいい脚を使った印象はあったものだが、今回もまたまたメンバー中でいちばんの脚を使った感じだ。抜け出してくる時の脚色がなかなかに良く、最後は流し気味なゴールであった。
それと5着のシゲルリジチョウが、直線だけで終い来ていた脚もちょっと見所があったもの。ここらも次走注目していい馬だろう。


日曜阪神3R
2歳新馬
ダ1800m
勝ちタイム1.59.6

ペガサスフラッシュ(牡2、栗東・羽月厩舎)

1000メートル通過が1.08.8と、関西では類を見ないほどに超遅い流れとなった新馬戦。そのペースを造ったエーシンジェイワンは、むしろ直線で反応せず。3番手の外めを楽に追走していたペガサスフラッシュが、3キロ減の鞍上の効果もあったのだろう、脚を伸ばして勝利。
出走各馬が大型馬ばかりの中で一番小さい馬が勝った。それと、この父はけっこう勝率がいいのではなかろうかと思える。機動力で勝った感じであった。

1コーナーで中団の後ろの位置ながら、前とは4馬身ぐらいの位置にいたグレープブランデーが、横の馬がやや外へ逃げ気味だったのと、前の馬の動きを気にして外へと大きくアクションを起こしてしまった。ほんの僅かな動きではあるが、スムーズさを欠いたのは間違いない。ほとんどが先頭から最後方のアウガルテンまでが5馬身ぐらいに固まっての集団となってのスローペースだ。
先頭のエーシンジェイワンに馬体を並びかけこそはしないが、スーサングリーンがほとんど五分の先頭。その外をペガサスフラシュが進む。いちばん内にはアドマイヤトリックが、これも楽に追走である。

向こう正面で、後方にいたグレープブランデーが位置を真ん中に上げてきた。ウィンザーフラッグの後ろぐらいで、前からはここも4馬身ぐらいのところか。最後方はアウガルテンがポツンと1頭で進んでいる。それでも全体で8馬身ぐらいの中での話しだ。
4コーナー手前の残り600の3ハロン標では、前が3頭がほとんど横並び。その後ろがまた3頭並ぶ。その差1馬身から2馬身のあいだに6頭がひしめく感じで、まだペースが上がっていない。
そしてカーヴを回って直線に入ってきたが、先頭はむしろ中のスーサングリーンがクビぐらい前に出ていたか。その内のエーシンジェイワンは、もう武豊Jの手応えが押している感じだ。他はそんなに追っている馬は前のグループにはいない。

残り1ハロンを過ぎるあたりで、ボチボチ態勢が整理されだす。
先頭だったスーサングリーンは脱落気味。むしろ、外のペガサスフラッシュが前に出る。最内のエーシンジェイワンはもう一度伸びかけようとしている。
4番手のグレープブランデーが上がり出してきた。

そして、ゴールではペガサスフラッシュが1馬身以上の差をつけて先着。粘るエーシンジェイワンを、ゴール寸前でグレープブランデーが差して2着を確保。そこから2馬身ぐらい水が開いて、アドマイヤトリック、スーサングリーンの順であった。
道中は14秒台のラップが2度もある超スローペース。上がりの2ハロンが11.8~12.1。そこがいちばんスピードアップした流れである。
1、2着馬がいちばんの上がり脚を使った格好になったレース。その2着馬が惜しかった内容だったし、ペースを造ったエーシンジェイワンも、この流れなら押し切って欲しかったのも事実。
ただ馬が若くて力を十二分に発揮できてない馬も多かった様に思える新馬戦でもあった。


日曜阪神4R
2歳新馬
芝1600m
勝ちタイム1.40.1


勝ち馬キタサンカムイデン(牡2、栗東・須貝尚厩舎)

4コーナーを回る時でも、手綱が動いている馬がほとんどいない程に超スローな流れ。2番手をピッタリと折りあって回ったキタサンカムイデンが、しっかりと伸びて勝利。福永Jの今年の2歳馬の勝率は、相当に高い数字と思えるもの。
2着スマートロビンはゲートの出が痛かったし、3着ゼンノルジェロは直線でいちばん内を狙ったのが裏目に出た感じで、新馬戦はスムーズに駆けた馬が勝つ・・・とセオリーは生きる。

いちばん最後にゲート入りしたスマートロビンの出が悪い。ポコンと2馬身ぐらい遅れてしまう。そして内の方でもヴァニラシャンティとジャマイカジョーが良くない。そのままヴァニラシャンティはダッシュもつかずに最後方へと置かれてしまう。前はキタサンカムイデンとトキノホーザンの出が良かったが、内からグランプリワイルドがダッシュをつけて前へと出て行く。ゼンノルジェロもすっと好位の3番手に上がる。

2ハロンを過ぎたあたりでは、先頭のグランプリワイルドが2馬身ぐらいの差をつける。2番手キタサンカムイデン。その内に半馬身差でゼンノルジェロが続く。スマートロビンももう前から5馬身ぐらいの中団の少し後ろめに取り付いている。外回りコースはより遅い流れになる。

3コーナーから4コーナーの中間点の残り800メートルのあたりでは、先頭グランプリワイルドのリードはほとんどなくなる程に遅いペース。直ぐ後ろにキタサンカムイデンが続き、その内にはゼンノルジェロもピタっと内ラチ沿いを進む。直ぐ後ろの外めにスマートロビンももう差なく続いている。
そして直線入り口の残り600メートル地点を過ぎる時も、まだ追っている馬はいないほどに皆手応えは十分。最後方にいたヴァニラシャンティも外に取り付いて団子状態となった。

生垣の切れ目を過ぎて追い出しにかかる各馬。先頭は当然グランプリワイルド。その外をキタサンカムイデンが、さらにその外を1頭置いてスマートロビンが並んで追い出す。グランプリワイルドの真後ろではゼンノルジェロが最内へと進路を取った。

残り300メートルの標識を過ぎるあたりでキタサンカムイデンが先頭へと出る。内で粘るグランプリワイルド。その内へ潜りこもうとするゼンノルジェロ。外ではスマートロビンが、鞍上内田Jの左ステッキが飛ぶ。
残り1ハロンを通過する。完全に勢いに乗ったキタサンカムイデンが先頭。外でスマートロビンも大きなアクションで前へと進む。内ではグランプリワイルドとゼンノルジェロの間が狭いようで、互いに気を遣いながらのゴール入線となってしまった様子だ。

終わってみれば1、2着がクビ差しかなかった。先に出てキタサンカムイデンの楽勝と観ていた勢いだったのがである。そして3着にゼンノルジェロが上がってはいたが、内を狙ったのが完全に裏目に出た感じで、満足に追えてないのをビデオで確認する。惜しまれる内容となってしまった。
キタサンカムイデンは2番手にスッとつける正攻法での勝利。何の不利も受けずに力を発揮させたもので、新馬戦の見本の様な競馬。福永Jの新馬勝率がまたまたアップした瞬間でもあった。