平林雅芳 2歳観戦記(10/9.10)

トピックス

土曜京都3R
2歳新馬
ダ1400m
勝ちタイム1.25.2

勝ち馬
サザンブレイズ(牡2、栗東・加用厩舎)

京都1400ダート戦は、最初に芝の2コーナー付近を通ってダーッとへと入っていく。ダートまでの芝の部分は外枠の方がより長く走って行くので、外が最初は有利。でもこのレースでは、上位3着までの馬が芝のうちにリードを取りダートへ入っていったもの。特に、最内のサザンブレイズは、二の脚の速さでいち早くダートコースへと入り、優位にレースを進めたもの。出脚で勝負あったと思えるものであった。

ゲートをいち早く出たのはキョウエイバサラ。そこを内からサザンブレイズがダッシュを利かせて出て行く。ダートに入った時は、サザンブレイズが体ひとつ前に出ていた。3番手にシャイニーノーブル。ただ、1ハロンを過ぎて2ハロンに入るあたりではクールオーシャンが追い上げて来て、先頭に行く構え。サザンブレイズは2番手でマイペースを心がける。

そこから少し行った3ハロン手前では、今度は内からサザンブレイズがまた先手となっていく。クールオーシャンがあまり行く気がないとみたのか、そんなに速くないと思ったのか、前へと出る。後でラップをみるが34.6ならばこの馬場ならそう速くもない流れであろう。
3番手キョウエイバサラがラチ沿いを追走、外クラウンコマンダーとは行きっぷりが違う。そのまま4コーナーへと入って行くが、先頭から4番手キョウエイバサラまではだいぶ間隔がなくなる。少し遅れてシャイニーノーブルが追いながら続く。

カーヴを回って直線に入ってくる時には、3番手クールオーシャンが、左右から馬が出てきて少しひるんだのか、手応えが悪くなる。急接近するキョウエイバサラと先頭のサザンブレイズ。しかし残り1ハロンを切ってもその1馬身ぐらいの差が縮まらない。3番手クラウンコマンダーの脚色が鈍ったところを、外からシャイニーノーブルが交わして上がる。かくして、サザンブレイズは逃げ切った。

前半1000メートルが59.1。でも、この雨が降り続く不良のコンディションであれば、速いという印象ではない。ゴール前の最後の1ハロンが13.3とかかったが、それでもバタバタになってた感じでもない。サザンブレイズは、ケイコがCWでも坂路でも、格別速いタイムを出している馬でもない。

でも血統から来るものだろう。何せ、ゲートはそうでもないが二の脚が速い。いいスピードを生かしての勝利となったものだ。サウスヴィグラスの新馬勝ちあがり率が高いのには、驚きである。


土曜京都5R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.56.0

勝ち馬
ベルシャザール(牡2、栗東・松田国厩舎)

電光掲示板を見ると、クビ・クビ差の辛勝にも見れるが、実際にレースを観て、かなり大きな差で勝った印象を受けたペルサザール。芝発表は、重馬場で流れもゆったり。でも、左右に気をつけながらの4コーナーからの鞍上の乗り方で、クビ差なんてものでなく、何馬身も離して勝ったかのイメージを残したレースであった。

スタートは、ウインラーニッドがやはり速かった。その隣りのペルシャザールはボッコンとした感じの出方。出た後で、すぐに馬首を外へと向けていき、3番手の外となる。2番手にはツルマルレオン。しかし最初の1ハロンが13.5と、もうゆったりとした流れである。

スローな流れで3ハロンを通過。ここらでは、3番手から2番手に上がろうかという最内アクアシャンデリアだ。1馬身後ろにペルシャザール。3コーナーを回り坂を下っていく。

残り800の標識で1.07.4と、かなりゆったりとした流れだ。前の3頭から2馬身ぐらいでペルシャザールで、そこからまた3馬身ぐらい後ろにユースティティアがいる。まだ速くならない。
そして4コーナーのカーヴをに入る手前の残り600メートルの標識あたりで、後ろのユースティティアが前のペルシャザールに急接近。その外からの動きに合わせる様に、安藤勝Jもペルシャザールにゴーサインを出したかの様だ。

直線に入った瞬間には、先頭のウインラーニッドがスッと2馬身ぐらい前に出ている。馬場の真ん中に出したツルマルレオン。その外へペルシャザールとユースティティアの3頭が横並び。
残り1ハロンを切って、内ラチ沿いにウインラーニッドが2馬身から3馬身のリード。その後をアクアシャンデリアを最内に、5頭が一斉に並ぶ。
そしてゴールがグングンと迫って来てウインラーニッドが勝利と思えた瞬間に、中のツルマルレオンと並んで追い込んできていたペルシャザールが、ゴールを過ぎる時には抜き去っていた。
鞍上の安藤勝Jが、いつもの様に顔を内に向けて確認をしている様子が見えた。

安藤勝Jが使ったステッキの数は、残り1ハロンでゴーサインを出した時に一発。この時は外のユースティティアとの差を完全に広げた時であった。その後に前のウインラーニッドを抜き去るためにもう一発入れた感じで、後は手綱を押すだけのアクション。
4コーナーでは外のユースティティアの動きに合わせて、それを前に出さない様に、そしてその後は前を完全に捕らえる様にと左右、前後に気を配って無駄な動きを少しもしないといった乗り方の様に見受けた。
クビ差はあくまでも着差であって、実際の力差ではない様な強い印象だった。

安藤Jが《キングカメハメハにいちばん似ている》と語ったコメントを翌日の日刊紙で読んだ。『なる程な~』と思えたものであった。


土曜京都9R
りんどう賞
芝1400m
勝ちタイム1.23.9

勝ち馬
ツルマルワンピース(牝2、栗東・橋口厩舎)

もう馬場の発表は不良となってしまった京都競馬場。そんな雨中でのレースとなったが、直線で抜け出してきたのはツルマルワンピース。もう追わずとも勝利が確定するほどに他馬と勢いが違っていた。また、園田からの挑戦のカラカルが楽々の2着。ちょっと唖然とした感じの決着であった…。

かなりの雨が降り続ける中、スタートは外のハピシンがいい。だが内からツルマルワンピースが出て行く。しかし、その内からカノヤキャプテンがスッと前へと出て行った。3番手エーシンジェネシスが上がってきて4番手にハピシン。その後は、地方からの参戦カラカルが、内ラチ沿いを進む。

先頭のカノヤキャプテンに1馬身ぐらいの差でツルマルワンピースが続く流れで、4コーナーまで来る。流れは平均に流れていた感じで、1000メートルが59.5。かなり雨を含んできている芝だけに、遅い流れではなかったはず。
4コーナーを回る時には、先頭から最後尾まではそんなに差のない一団となってきている。

カーヴを回り直線に入ってきた時は、前が4頭が並ぶ格好。カノヤキャプテン、ツルマルワンピース。そしてエーシンジェネシスよりも、その外のハピシンの方が勢いが優って前へと出そうなぐらいだ。
完全に真っ直ぐなところになった残り300メートル付近では、もうツルマルワンピースが前に出て先頭となった様子。
3番手グループが横に並ぶ。いちばん内が赤い帽子に赤い勝負服のカラカル。その外エーシンジェネシス、さらに外ハピシンであるが、赤の勢いがいい。

残り1ハロンで、先頭は完全にツルマルワンピース。勢いが違う。問題は2番手、その中からどんどんとカラカルの勢いが増していく。外のハピシンよりも勢いづいている。先頭のツルマルワンピースは、安藤勝Jの左ステッキが何発か気合入れで入っていたが、もう安全圏。そして2着も地方馬カラカル。3着ハピシンとなる結果であった。

4コーナー手前からのラップが、12.2~11.9~12.5と、かなりかかってきている。この馬場コンディションでは、もう後続から凄い脚を使ってきて追い上げるのは難しそうでもある。
トーホウペッグタガノラヴキセキが4、5着に入って来ていたが、前をおびやかすまでは行かなかった。

終始前々でレースを進めたツルマルワンピース。距離が1400に伸びて連勝となった。それも楽に先行抜け出しと理想的な競馬。逆に1番人気のタガノラヴキセキは、前半行けてなくて苦戦を喫してしまった。
まだまだ脚質も定まっていない時期でもあり、判らない部分が多いもの。それにしても、園田からの参戦のカラカルの2着には正直驚き。これでは馬券は獲れそうもないなと、またまた思わせるレースであった。


日曜京都4R
2歳新馬・牝
ダ1200m
勝ちタイム1.13.6

勝ち馬
ブルーミングメイン(牝2、栗東・村山厩舎)

秋の日差しが戻って、予測以上に馬場が回復。ダート重の発表だが、それ以上に乾いている感じの京都競馬場だ。スタートからステッキを入れて出て行って先手を主張したブルーミングメイン。好発のクールグランとの先行だったが、その2頭がジワっとした先行。結局はそのまま2頭の決着となったゴール前。クビ差凌いだブルーミングメインの逃げ切りであった。

好発馬を決めたのはクールグラン。そのまま主張して出て行くかと思えたのだが、内からブルーミングメインが行く。3番手にタガノランビー、その直後がレディオブパーシャ
前で2頭が並び加減となったのが3コーナーに入るあたり。内のブルーミングメインにクールグランが並ぶ。しかし、また再度ブルーミングメインが前へとなる。どうやらあまり速い流れではない様子。前半3ハロンが35.7とまずまずのペース。

4コーナーへと向かうあたりでは3番手の内めに位置しているレディオブパーシャが絶好の位置と思える。
そして4コーナーを回り直線に入ってくる。その内めのレディオブパーシャが、思いのほかグーンとは上がって来れない。完全に前の2頭の決着となり始める。
逃げるブルーミングメインに、追うクールゲラン。最後はブルーミングメインの内田Jが、体を揺らしながらのアクションで渋太く粘ったのが見えた。

レース後にパトロールビデオを観る。スタートで内田Jがステッキを入れて出て行く。そして先手となった。直線ではクールゲランが叩いて叩いて迫るも、前を行く有利さで粘られた。
最後の2ハロンが12.4~12.8と、バテている数字ではない。これでは追いかける方も苦しい。平均より速い上がりの勝負へと持ち込んだ内田Jの勝利と言えるものだろう。


日曜京都5R
2歳新馬
芝1400m
勝ちタイム1.22.7

勝ち馬
アルティシムス(牡2、栗東・野村厩舎)

馬場入りの時に、クルッと回転して騎手を放りだして逸走してしまったアルティシムス。幸いにして、何事もなく戦列に並べた。直線で抜け出してきたのが、そのアルティシムス。スタート直後にステッキを入れている新馬なんて、そんなに見ないもの。そんな渋い馬アルテシムスだが、ゴール前はもう手綱をしごくだけの勝ちっぷりとなる。
ズブとさと切れを併せ持つディープインパクトの子供である。楽しみな馬の出現だ。

道中の行きっぷりとか4コーナーに入る時の手応えから、やはり人気のダノンフェアリーかなと思えたものだったが、4コーナーを回った瞬間には、もうあまり余裕がなくなっていたダノンフェアリーだった。

レース後にジックリとパトロールビデオを観る。まずゲートだ。アルティシムスの出は、後脚でも落としたかの様に出ていない。そして驚いた事に、1ハロンぐらい行ったところでステッキを入れている。この光景もあまり見た事がない。前へと出て行くのにステッキを入れていくのはありかも知れないが、馬群の後ろ、それも後ろから3頭目ぐらいでの事である。
それからは、内へと馬の後ろへと入れてついていく。道中も他馬にひるまず、鞍上の意のままな感じだ。

そして3コーナーからの行きっぷりは、徐々に良くなっていく。
直線で抜けてきて前の馬に取り付く脚も見事だったが、抜け出してからは、もう鞍上の秋山Jが手綱をしごくだけの動作。なかなか渋い勝ち方である。『ウーン、この馬、凄くない?』と他人に意見を聞きたいぐらいだ。思わず、ニコニコ顔の野村師に《いい勝ち方ですね》と声をかけてしまう、そんなこのディープインパクトの子供はちょっと面白いのではないかと思える勝ちっぷりであった。

逃げたタイキエレインが、前半3ハロン34.9、1000メートルを58.9で行った。2番手オーシャンフリート、3番手リボルトレイダーが、4コーナーのカーヴでは並んで回ったが、直線ではもう脚色をなくしてしまった。
内々の4、5番手を進んでいヴォレトメイヤーが理想的な位置で流れにも乗って、直線へと向いている。それを直線半ばで一気に交わしていったアルティシムスの伸び具合。
ゴール前最後の2ハロンが11.9~11.9だったが、もう最後は流し気味に近いものであっただけに、時計はもっと縮まる可能性は大。
ダノンフェアリーが道中の手応えのわりに伸び切れてないのと対照的な切れ、伸びのアルティシムスの勝ちっぷりであった。