-マイルCS-平林雅芳の目

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日曜京都11R
マイルチャンピオンS(GⅠ)
芝1600m
勝ちタイム1.31.8(レコード)
勝ち馬
エーシンフォワード(牡5 栗・西園厩舎)

※※ 狙ったインコース。岩田J、渾身の騎乗でGⅠ勝利!!

ライブで見ていると、どうしても全体は見れてない。直線では外の馬ばかり見ていた。ダノンヨーヨーがゴースルキーを交わしたなと思ってゴール板を見ると、エーシンフォワードが内から出ていた。おそらく、スミヨンJもこんな進境だったのではなかろうか。何せ、岩田Jは昨日から内ラチ沿いのレースをしている。そこがかなりい良く伸びるのを知っていたのだろう。スタートから意識して内々へと進路を取る。最初からイン狙い。そしてそれがそのまま勝利へと結びつく。こんな勝利は格別だったはず。動物的な勘なのか、知的に綿密に計算して乗ったのかは彼のみぞが知る事だが、エーシンフォワードの勝利はそんな意識から生まれたのは間違いない。
西園師は土曜の府中といい、連日の重賞制覇の勢いである。岩田Jも骨折明けの2週目に早くも重賞、それもGⅠ制覇と派手な復帰劇となった。

スタートは、外エーシンフォワードが一番に出ていた。そして、すぐさまジョーカプチーノが出て行く。このジョーカプチーノがどういった逃げを展開するのかだ。絡まれずに行けば、意外と粘り腰のある馬だ。
2番手にマイネルファルケ川田Jに乗り代わったスマイルジャックが内枠を利して前にいる。オウケンサクラも好位だ。有力馬はと見ると、後ろにダノンヨーヨーだ。それもかなり後ろめだ。隣りにはトゥザグロリーがいて、少し前にザプレザもいる。

向こう正面では、ジョーカプチーノが少し後ろを離した様だ。場内アナウンスが《前半3Fが33.7で通過!》と告げた。2番手マイネルファルケ、半馬身後ろにスマイルジャック、ガルボと続く。
坂の下りに入って行く。前の4頭から少し離れたところにライブコンサートテイエムオーロラ、そしてオウケンサクラがいる。その後ろにエーシンフォワードが内ラチ沿いにいて、外がゴールスキー、キンシャサノキセキだ。さらにかなり後ろにサプレザであり、ダノンヨーヨーはブービーあたりを追走だ。

4コーナーへ向かって、後続馬もグーンと凝縮しだした。前が並びかげんになってきていて、先頭のジョーカプチーノにマイネルファルケが並びかけてスマイルジャックが直後、その後ろでライブコンサートがしきりに外を見ている。外へ出したそうだ。ここらではダノンヨーヨーはいちばん最後方となってカーヴを回ってきた。まだ先頭はジョーカプチーノだが、いちばん内へスマイルジャックが入る。マイネルファルケとジョーカプチーノの間を狙うように進路を取って来ていたエーシンンフォワードだったが、マイネルファルケが苦しくなって内へもたれたのか、ジョーカプチーノとの間隔が急に狭くなった。
すぐに進路をスマイルジャック側にとったエーシンフォワード。
ジョーカプチーノとの間をすり抜けて前へと出て来る。外へ進路を取ったライブコンサートが外では伸び出していて、その少し外をゴールスキーがいい伸びを見せ始めた。

やっとダノンヨーヨーの姿が見え出した。外のサプレザとの追い比べかと思える程に一気に伸びて来ている。
ズラリと横に広がる各馬、外の伸びがかなりいい様に見える。ダノンヨーヨーがグーンと伸びだして、直ぐうちのゴールスキーをも上回っている。
外のサプレザは、ダノンヨーヨー程の伸びが見られない。そしてゴール板が近づいてきて、外のダノンヨーヨーがゴールスキーを捕らえて1着かと思った瞬間に、内がかなり見える。
エーシンフォワードが1馬身近い先着を果たしそうであり、外の各馬はどう見ても2着争いにしか見えない。

ゴール板を見るがまだ着順は掲示されてない。検量室の横の通路にあるパトロールビデオを見上げる。
最初から、ゲートから見る。エーシンフォワードは好発だが、すぐさま内へ進路を取っている。ジョーカプチーノが出て行った後にもドンドンと内へと寄って行く。そしてスンナリと内ラチへへばりついた。
馬群の外では、キンシャサノキセキがやや掛かり気味で行っている。ダノンヨーヨーは、やはりブービーぐらいの位置である。

3コーナーから坂の下りと進む中でも、エーシンフォワードは内ラチ沿いを進めて絶好のポジションにいる。
4コーナー手前では、すぐ目の前のライブコンサートが、しきりに後ろを伺いながら外へ出したそうにしているのが見える。4コーナーを回る時にはな難なく前がいなくなりポカッと開いているスペース。最初は外へ進路を取っていた岩田Jだったが、内が開きそうになると切り替えて入って行く。そして残り300メートルあたりで、ジョーカプチーノとスマイルジャックの間をステッキを入れて抜けて行き、そのままゴールまで無人の先頭に踊り出ていった。
外では少し出てくるタイミングが遅かったダノンヨーヨーがいい脚で突っ込んできていたがゴールスキーを交わしての2着であった。

先週のスノーフェアリーは、最後の直線入り口で最内を狙ったが、今回のエーシンフォワードは、最初からイン狙いの乗り方。それがまんまと功を奏しての見事な勝利となった。
ダノンヨーヨーが最速の上がりを駆使しているが、外を回らざるをえずで2着が、このレースを良く物語っていよう。
キンシャサノキセキは、いかにムーアJでもあれだけ掛かっていっては仕方あるまい。内へ潜り込めない外枠も影響か。
何せエーシンフォワード、いや岩田Jの導いた勝利であり、お見事でした。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。