-阪神JF-平林雅芳の目

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日曜阪神11R
阪神ジュベナイルフィリーズ (GⅠ)
芝外1600m
勝ちタイム1.35.7
勝ち馬
レーヴディソール(牝2 栗東・松田博厩舎)

※※次元が違う!レーヴディソールが完勝でGⅠ制覇!!

ゴール前で、内からホエールキャプチャの姿が見えたらまた追い出して、さらに伸びた。パトロールビデオを見ているとそんな風に思えたが、グリーンチャンネルの映像では、ホエールキャプチャが前に出たところを差した様だ。
ステッキを入れたのは、ダンスファンタジアを交わす直線の残り300メートルぐらいのところ。1、2発入れただろうか、後は手綱で押しながら前の馬を交わして伸びて行く。
一瞬でトップスピードに加速する速さが凄いレーヴディソール。パドックでも先輩ブエナビスタとソックリに落ち着き払っている。いやはや、この2歳馬も本当に凄いエンジンである。着差以上で、底知れぬ強さを感じる2歳GⅠの女王であった。

向こう正面の真ん中より少し左手にあるスタート地点、双眼鏡で見ていると、ダンスファンタジアの動きがやけに忙しい。パドックではマシだったのにと思いながら、テンションが高くなってきているのに不安をおぼえる。
レーヴディソールの方は、終始一貫して落ち着き払ったもので、動じている感じがない。そしてゲートが開いた。

マリアビスティーが悪いなと見えた瞬間に、すぐ内でダンスファンタジアもほとんど同じ位置にいるではないか。出が悪い・・・。
レーヴディソールが少し前にいるが、ダンスファンタジアは前で上手にレースを進める馬ではなかったのか?と思う。一瞬、場内もどよめいた。
前を見る。フォーエバーマークが行きかけたところを、ピュアオパールが先手を取った様だ。ホエールキャプチャが3、4番手のインにいる。
3ハロンを行ったあたりで、ダンスファンタジアがレーヴディソールの隣りに並んでいるが、やや頭を前後に振りながら前へと出て行く。やや折り合いを欠いている感じであり、ここらでも場内が《ワーッ》と歓声が上がる。
前は2番手にマルモセーラが上がって、先頭のピュアオパールに迫っていく。3番手にツルマルワンピース。直後にライステラスがいる。ダンスファンタジアがその傍まで来ている。そして4コーナーのカーヴへと入ってきた。

馬群の一番外へダンスファンタジアが出て来ているが、ピタッと折り合っている感じではない。カーヴを回って全部の馬がスタンドから見える位置となる。
コーナーリングで、また内の馬が前へと出ている。先頭はマルモセーラか。
外ツルマルワンピース、その外のライステラスの勢いがいい。まだダンスファンタジアは追ってない。その直後にレーヴディソールが迫っている。

内回りの生垣を過ぎて、各馬が追い出しにかかった。マルモセーラ、ツルマルワンピース、ライステラスの3頭が横並びになったが、ダンスファンタジアは前に出れていない。伸びがない。
残り1ハロン棒にかかるあたりで、内の3頭めにホエールキャプチャが顔を覗かせる。マルモセーラとツルマルワンピースの間を割って出てきた様子だ。外ではライステラスが脚を伸ばしているが、その外からレーブディソールが来た。ライステラスを交わしてホエールキャプチャを抜いて先頭に踊り出て、ゴールを迎えた。
ホエールキャプチャの池添Jの方が、左を見ているシーンが映っていた。最後の1ハロンは、ステッキを使わず手綱だけで操作。それもそんなに追った風ではない。最後の2ハロンが11.2~11.6である。それをトップスピードで通過したとは思えないぐらいの余裕。ちょっと次元が違うと思えるものだった。
芦毛馬のワンツーかと思っていたら、3着ライステラスも芦毛馬だったとは。

パドックから『漆黒のいい馬体だな』と思っていた馬である。ダンスファンタジアは《跨った瞬間から入れ込み出してゲートでは体を硬くしていた。ゲートが出なかったのもそれだろう》と武豊J。大舞台で能力を発揮するには普段にもまして平常心が必要である。
レーブディソールはまったく動じていない素振り。この馬は想像以上に強い。おそらく、来年も3冠馬が誕生するかも知れない、そんな印象。
アヴェンチュラは、スタートでの後手が響いて4着。だが距離延長してくれば十分巻き返し可能なレース内容。ホエールキャプチャも実に落ち着いていて、底力のあるところを証明。
《牝馬は大人しい方が絶対にいい仕事をする》と再認識でした。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。