サトノオーなど《平林雅芳 2歳観戦記》

トピックス

土曜阪神6R
2歳新馬
ダ1400m
勝ちタイム1.28.0

勝ち馬
タガノルナリロ(牡2・栗東・松田国厩舎)

スミヨンJの勝ちパターンは、4コーナー先頭が多い。早めに外から進出してきたタガノルナリロが、迫ってきたタガノプリンスを抜かせない粘りで新馬勝ちをおさめた。勝ち時計の遅さは、かなり寒いコンディショとスローな流れがもたらしたものと推測する。

直前にアグネスシャロットが競走除外。11頭立てとなったダートの新馬戦。ゲートは、シュンライがダッシュがつかず、外でタガノルナリロもあまり良くなかった。芝の部分を少し行くが、ジワっとした流れでダートにと入る。スイートレーヌが先頭かと思いきや、内から押してホホヲヨセテが出て行く。そして半馬身差ぐらいでスイートレーヌが続く先頭だが、速くならない。
そんな流れを察したのか、中団より後ろめにいたスミヨンJ騎乗のタガノルナリロがスーッと上がって行き、先頭のホホヲヨセテに並んで3コーナーのカーヴを回る。スイートレーヌが少し引いて、2馬身ないかの3番手。その外へジョウノエンドレスも上がってきて、4コーナーへと入ってくる。

後続馬もかなり接近してきた。一番外へタガノプリンスも上がってきているが、コーナーリングでだいぶ外へとなる。直線に入って、もう追い合いである。1ハロンにはまだかなり前であったが、どの馬にもチャンスがある様に見えた。1ハロンを通過して、逃げるホホヲヨセテに並びかけて抜いたタガノルナリロが完全に先頭。2番手も外からタガノプリンスが上がってきてタガノ2頭の決着となる。
クビ差まで迫ったが、そこから抜かせないスミヨンJ。逆にゴールでは半馬身あった。

前半3ハロンが37.2のユッタリな流れ。そこを早めに上がって優位に進めたタガノルナリロの勝利。全体にゆったりとした流れになったのは、小雪の舞う天候もあったのかも知れない。
1番人気となったミッキーセブンは、直線半ばでは絶好の位置で、内ラチ沿いで伸びればと思えたのだがジリジリ。最後に5番手に上がるのがやっとだった。相変わらず、外人ジョッキーの積極策が目立つばかりだ。


土曜阪神7R
2歳新馬
芝外1600m
勝ちタイム1.36.3

勝ち馬
グルヴェイグ(牝2・栗東・角居厩舎)

直線ラスト1ハロンでルメールJの左ステッキが一発入れられたグルヴェイグ。逃げ粘るデウスウルトをかわす瞬間である。その後も2発ステッキはふるったが、それは肩先への見せムチ。あまり無理に追わない仕草でゴールへと導いたルメールJとグルヴェイグ。着差は半馬身だが完勝のデビュー戦であった。

今週はエアグルーヴの子供が3代の出走である。有馬記念に2頭だが、今日の注目はディープを父に持つグルヴェイグである。スタートもまずまず普通に出て4番手を進む。内を見ながら、ルメールJは進路を内へと進める。2ハロンも行かないうちに、もう内ラチ沿いを進める。
逃げたデウスウルトが、前半の3ハロンを36.5、1000メートルを1.01.5と理想的な流れへともっていく。
そのままの位置で4コーナーへ入ってきたグルヴェイグ。逃げたデウスウルトと2番手マスターゾロアークの間を狙う。
やっとスペースが出来はじめたラスト300あたりで、この2頭の間を抜く瞬間にステッキでうながす。左ステッキが2発お見舞いされた。
完全に追い出したデウスウルトがまだ前にいる。馬体を並べたラスト100ぐらいの時に、また左ステッキを1発。抜いた後は見せムチの仕草で、2度ほど振られていた。

最後の3ハロンが11.8~11.4~11.6と、藤岡祐Jの造った流れは完璧だろう。それをただ1頭だけ差してしまうグルヴェイグの能力の高さ。そしてルメールJの道中も、無駄に外々を回らずロスを防ぐ乗り方。それもこれも、それが出来うる馬の素質でもあろうか。ルメールJが勝って、藤岡祐Jが2着のパターン。それも先頭の祐介Jを必ず差しているシーンを何度か見た思いがする。またまた牝馬にいい素質馬が出現したのは間違いない。
2着デウスウルトに3着オメガオンリーワンは、共に男馬。何か、牝馬組が層が厚い気がしてならない、そんな思いを感じたものでありました。


日曜阪神5R
2歳新馬
ダ1800m
勝ちタイム1.56.8

勝ち馬
テーオーガリクソン(牡2・栗東・宮厩舎)

前半の1000メートルが1.05.8と、いつもながらに遅い流れとなった1800ダートの新馬戦。それを演出したエーシンジョイフルも4コーナーまで。2番手のデルマインドラが抜け出るかのところで、外からテーオーガリクソンが伸びて、そのまま2馬身半の差をつけて勝ち上がった。1番人気のセイウンザイホウは、4コーナーでテーオーガリクソンの外へ併せに来ていたが、そこから伸びきれずの6着であった。

スタートはヨロっと出てしまったテーオーガリクソンで、出た瞬間は一番後ろ。しかし最初の1ハロンが13.1とユッタリした入りにも助けられて、1コーナーでは5番手で回る。その後も好位の4、5番手でレースを進めたテーオーガリクソン。
3コーナー過ぎに、少し前との差を詰めて外へ出して上がって行く。同じ時に、後ろからセイウンザイホウが追い上げてきていたが、抜かせないように動きを併せて、4コーナーでは前に並ぶ位置まで上がる。

直線に入って、内のデルマインドラが道中の手応えの良さからも抜けるかと思えたが、内へもたれ出している。左の手綱をかなり引っ張る鞍上。それでもバテだしたエーシンジョイフルの前に入ろうとしてしまう。それを尻目にテーオーガリクソンは脚を伸ばしていく。
もたれながらも前へと進んでいるデルマインドラだったが、さすがにトップスピードではない。内にいたウインディーヒルが外へ出して、2番手に上がってのゴールとなった。

3コーナーから早くなる完全なる上がり3ハロンのレース。最後まで12秒台をキープしてのゴールとなった。最後まで脚どりもしっかりとした伸びのテーオーガリクソン。もっとスタートも普通に出れるだろうし、もっとやれる馬なのかも知れない。
惜しいのがデルマインドラで、最後まで追えないでのゴールは無念であっただろう。


日曜阪神6R
2歳新馬
芝内2000m
勝ちタイム2.07.1

勝ち馬
シャドウエミネンス(牡2・栗東・角居厩舎)

タイタンが逃げて、前半1000メートルを1.05.5とかなりのスローペースに落とす。その2番手を進めたシャドウエミネンス。直線に入るや、放たれた矢の様に伸びていく。ラスト1ハロンの手前で左のステッキを1発だけ入れられた後は、もう手綱で押すだけ。チラっと後ろを見た藤田Jだが、もう流し気味であった。最後は2馬身の着差だが、もっともっと千切って勝っていただろうと思える印象であった。

スタートを好発のシャドウエミネンス。スッと前へ出て行く。内からタイタンが出てきて2番手。それも1馬身と離れない。1コーナーを回り2コーナーを過ぎて、向こう正面に入ってユッタリした流れとなっているが、逃げたタイタンにピタッと半馬身差でシャドウエミネンスが続いていく。
向こう正面を過ぎるあたりで、3番手のエゾフジのすぐ後ろへと1番人気のダノンミルが上がってくる。
3コーナー過ぎて、3番手にダノンミルが上がって前との差を詰めていく。4コーナー手前のラスト600メートルのハロン棒にかかるあたりで、ダノンミルの川田Jの手が動き出す。ペースが上がった様子だ。

カーヴに入ってますます流れが速くなってきた。逃げたタイタンは内ラチピッタリ、少し馬体を外へと持っていったシャドウエミネンスが前に出る。ラスト300メートルあたりか。追い出したシャドウエミネンス、タイタンとの差を広げ出す。
藤田Jのステッキが入る。2番手タイタンの外へダノンミルがやっと追いついてきた。外からテイエムモーションも上がってきていた。2番手争いを尻目に、先頭のシャドウエミネンスは馬体を真っ直ぐにして、しっかりとした伸び脚でゴールを目指していく。2番手には、ダノンミルがゴール寸前で上がった。テイエムモーションが4着であった。

シャドウエミネンスは、角居厩舎の男馬。レース巧者のイメージであった。馬体も470キロとそんなに大きくなく、ちょうどいい感じ。デビュー戦を最高の形で済ませた感じである。昇級してもの馬であろう。
2歳馬も、出てくる馬がほとんど勝ち上がっていく感のある角居勢。2011年も賑わしそうなスタッフばかりである。


日曜阪神7R
2歳500万下
芝内1600m
勝ちタイム1.36.1

勝ち馬
サトノオー(牡2・美浦・藤沢和厩舎)

繰り上がりの1着となった形のサトノオーだが、不利さえなければスッキリとして勝っていただろうと思えるもの。それほどに、直線入口でのレッドデイヴィスの斜行はひどかった。そんな動きをしているから、少し控え気味だったサトノオーだが、それでもまだ来るのかといった勢いである。その後も外へと膨れてしまう。被害があった後も必死で追い続けてレッドデイヴィスを追うサトノオー。3着には大外のヴィジャイ
審議の結果、レッドデイヴィスは10着降着となった。

スタートで挟まったのか、ダーズンローズ1頭が目立つゲート。1枠の2頭が前へと出ていくのかと思えたが、セイユウハートが出ていった。カレンデイムーン、その外へレッドデイヴィスと続く。1ハロンを過ぎて2ハロンめに入ろうかという瞬間に、先頭のセイユウハートがあろう事か、内ラチを飛び越えて行きそうになる。
押し出される様にカレンデイムーンが先頭に立った。並ぶ様にレッドデイヴィスが2番手で、3番手にサトノオーと続く。前半3ハロンが36.3と、ゆったりとした流れで、ただ1頭だけダーズンローズだけが遅れている。
4コーナーが近づいてきて、外のレッドデイヴィスが半馬身程前に出る。
サトノオーが直ぐ後ろに接近して、その真横にモアグレイス。後続もピッタリとついている。4コーナーのカーヴに差しかかる時には、ダーズンローズも馬群の後ろに取り付いたのが見えた。

そして直線へと入ってきた。17頭の馬がほとんどひと塊となって、馬体を縦に見せだす。先頭のレッドデイヴィスが手綱を左に向けて外へ出そうとしているのが見える。内を気にしたのか、馬体が斜めになってサトノオーの前に出てくる。サトノオーは外へと逃げようとするが、外にモアグレイスがいて逃げられず、外へ内へとヨロけてしまう。
モアグレイスが外へ逃げて、ヴィジャイがちょうど出て来るところの前へとなる。モアグレイスの直後にいたメイショウツガルも、進行方向を内へと矯正。体勢を立て直したレッドデイヴィスは、そのまま先頭をキープしてゴールへと向かう。サトノオーは一旦遅れたが、何とかまた伸びだして前を追う。必死で追いすがるが、レッドデイヴィス先頭でゴール。外からヴィジャイが3着に上がった。
ゴール前は大接戦となって、外からダーズンローズ、中をニジブルームデンコウジュピター、さらにセイカプリコーンとひしめいていた。

レッドデイヴィスが10着に降着となり、サトノオーが繰り上がりの勝利。サトノオーのスンナリしたレースを観たかっただけに、残念な思いの残る1戦となってしまった。
これで2戦2勝のサトノオー。まだまだ持てる能力はかなりなはず。来年、どのレースに出てくるのか判らないが、もっとも怖い関東馬になりそうな予感がする。
そして、他にもディープの子供が出ていたが、ヴィジャイがだいぶいい感じになってきた。今日は不利もあったが、伸びてくる姿勢がいい。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。