-シンザン記念-平林雅芳の目

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日曜京都11R
シンザン記念(GⅢ)
芝外1600m
勝ちタイム1.34.0
勝ち馬
レッドデイヴィス(セン3 栗東・音無厩舎)

※※レッドデイヴィス、暮れの鬱憤を晴らす大仕事で重賞制覇だ!

昨年の最終日の阪神で1着降着の憂き目となったレッドデイヴィスが、その鬱憤を晴らす勢いで駆け抜けた。
相変わらず荒々しい直線での動きだが、それがこの馬の躍動感か。
3番手から直線でいち早く追い出して抜け出したもの。
音無師は《前走の倍返し、いや3倍も何倍も返してくれたよ~》と顔面クシャクシャで喜びを語っていた。
それにしても、1番人気のドナウブルーの道中のあの掛かる行きっぷり、競馬は毎回、毎度生きているなと思える一戦であり、今年の3歳戦もまだまだ難しさばかりが目立つな~と感じるものでありました。

馬場入場の際にゴール板の方へいつもどおりに向かい、オーロラビジョンの前まで来た馬は5頭。
アドマイヤサガスヒカリトリトンギリギリヒーロー、ドナウブルー、そしてヴィジャイであった。
それぞれがユックリとダクを踏んで、それからおもむろにキャンターに移っていった。
『ああ、ドナウブルーも落ち着いていいな~』と見ていたのだが、実戦ではまったく違ってくるとは・・。

逃げを選択したシゲルソウサイが出て行ったが、外からシャイニーホークも出て行く。
レッドデイヴィスが3番手、ドナウブルーも好位にいるなと気が付く。
1ハロンも行かないうちに前2頭が出て行く。
そしてやや速めのラップを刻んで前へ前へと進む。
3番手レッドデイヴィスとは5馬身ぐらいの差が開いたところもあった。
レッドデイヴィスの後ろにアドマイヤサガス、その直後にマルセリーナ
ここらは内ラチ沿いを進む。
その間に、ドナウブルーが少しラチから離れた中を行く。ツルマルレオンもそこらの位置でレースをする。全体に速い流れだが前2頭が飛ばしている。

坂を下って4コーナーに近づく。
場内が一瞬ざわめいた瞬間もあったが、4コーナー手前ではだいぶ前との差が縮まって、場内のざわめきも収まる。
カーヴを回って直線に入ってすぐに、あれだけリードがあった2頭の差が一遍になくなる。
そして3番手だったレッドデイヴィスが一気にスパートして行く。
アッと言う間に『4馬身ぐらいの差』と場内のアナウンスが聞こえた。
内めからマルセリーナが2番手に上がった。
外ではドナウブルーの伸びよりもさらに外に開いた位置からオルフェーヴルが伸びて来ている。
レッドデイヴィスの決定的な差はかなり縮まった様子だが、勝利は確定しそうだ。
2着マルセリーナかと思った瞬間に、外のオルフェーヴルの伸びが優って上がっていた。
4着アドマイヤサガス、ドナウブルーはその後だった。

パトロールビデオを喰い入る様に見る。
ドナウブルーは最初からかなり行きたがっているかの様だ。
縦位置でのカメラに左右に頭を振っているのが映る。
福永Jが前に馬を置く様に、位置を内へ中へと持ってきて収めさせようとするが、終始その頭の振りは続く。かなり行きたがっている様だ。
3コーナー過ぎあたりまで続いたのではなかろうか。
前が飛ばしている流れの中である。
前半1000が58.8とけっこうなハイペースでの掛かり方。
返し馬を見ていてもそんな気負いは見られなかったのにと思う。
直線で好位から外へ出したが勢いはあまりなく、後ろのオルフェーヴルが外へ出して抜いて行ったぐらい。それだけ末脚をなくしていた。

レッドデイヴィスは、直線で先行していた2頭をかわして前に出て行ったが、その時でも、鞍上の浜中Jが体を左右に振りながらハミをしっかりとかけようとしている仕草が見られた。
前の2頭が飛ばす流れの3番手でしっかりと流れに乗って勢いで出てきたものだが、馬自身が歯を食いしばって走ろうとする必死さまではまだ感じられない程に若いところを見せていての勝利。
前走も、直線入口で内で落馬していた馬の動きを見て外へと斜行した様で、まだまだ若さばかりが全面に出ている馬。その中での重賞勝ち。素質があるからこそなのだろう。

2着のオルフェーヴルは右回りだとかなりスムーズなレース運びが出来ている様子。
3着マルセリーナもしたたかな競馬っぷり。
こうやってみるとレーヴディソールの大人のレースぶりが改めて思い知らされる感じであった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。