-日経新春杯-平林雅芳の目

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日曜京都11R
日経新春杯(GⅡ)
芝外2400m
勝ちタイム2.24.6
勝ち馬
ルーラーシップ(牡4 栗東・角居厩舎)

※※ルーラーシップ、4角先頭から押し切って早くも重賞制覇!

明け4歳馬の人気馬がそのまま上位を占める結果。ハンデ56.5は軽く見られたといった完勝劇で、ルーラーシップがゴール前から派手なガッツポーズでゴール板を通過して行くリスポリJのパフォーマンスと共に勝利を祝った。
ラスト800メートル標識の坂の下りの中間地点あたりから前へと出て行ったルーラーシップ。4コーナーを回る時には、前の3頭の外へ並ぶ勢い。そしてステッキで早めに仕掛けて先頭を確保して、後は惰性でゴールへと向かった。
大きな完歩で駆け抜けて行くルーラーシップの飛び。今年の活躍が約束されそうなスライドの大きさであった。

寒風の中で、パドックの回りには熱心に馬を見つめる人だかり。有難い事である。震えながらも見ていると、ビートブラックの馬体が太く映える。大体こんなイメージの馬なのだろうが、太いと感じる。そして、いつもながらヒルノダムールの毛艶が冴えない。こんな毛色なのだろうが、まるで冬毛が出ている様に見える。もっとも後で馬場に入ってキャンターに移った時には、そんな印象も受けなかったが。
やはりルーラーシップはボリュームある馬体だ。後脚が美しい。逆に、ローズキングダムは細手の印象。これでトップハンデの58キロはと思わせる馬体の造りと感じる。

そしてゲートが開いた。中からエーティーボスがいいスタートで前へと行く。内のメイショウクオリアも当然に前へと出る。しかし、外からビートブラックが押して前へと出て行った。
最初のカーヴを回って流れが落ち着く。ビートブラック先頭で、2番手メイショウクオリア。ゲシュタルトが今日は前にいる。その直後がルーラーシップで、内にナムラクレセント。そこから数頭おいて、馬群の後ろめの外がヒルノダムール、内にローズキングダムと続いている。

向こう正面に入って淡々と流れる。3コーナーを回り坂を下って行く。3番手のゲシュタルトが動き、さらに前へと順位を上げにかかる。その動きに合わす様にルーラーシップが、ゲシュタルトの外へと並んで行く。
4コーナーのカーヴに入るあたりでは、先行したビートブラックにメイショウクオリア、ゲシュタルト、そしてルーラーシップと4頭が横並びとなる勢いだ。その直後では、最内をナムラクレセント。外めの方にヒルノダムールが続いている。ローズンキングダムはナムラクレセントの真後ろの内ラチ沿いにいる。

カーヴを回って直線に入ってきた。もうルーラーシップのリスポリJが内を確認しながら先頭に立って行く。内のゲシュタルトが2番手。最内にはナムラクレセントが入った。
ヒルノダムールは外から前を追う。ラスト300メートルの赤い棒を通過した時には、ルーラーシップはもうトップスピードに入った格好で、リスポリJの右ステッキが飛ぶ。ここらで2番手に外のヒルノダムールが上がっている。ルーラーシップの真後ろに入った形で前を追う。そして、やっとローズキングダムが顔を覗かせる。ゲシュタルトとナムラクレセントとの間を通ってくるのだが、加速具合がそれ程でもない。
ラスト1ハロンを通過して、前は完全にルーラーシップの勢いが止まらない。勝利は確定的だ。問題は2着。ヒルノダムールが確保かと思ったところへ、ローズキングダムがやっとナムラクレセントを抜いて上がってきて、ヒルノダムールの内へ並んだかと思えたところがゴールであった。

ローズキングダムは、ずっと内へもたれてしまっていたらしい。今日はルーラーシップと同斤でもどうだったかという負け方であった。ハンデ差がこれ程付くほどに実力差はないという事だろうか。ルーラーシップの潜在能力の高さを改めて感じた次第だ。
そしてヒルノダムール。パトロールビデオで見ていると、直線ではまるでルーラーシップの直後にいる様に縦位置では見えた。直線半ばで内へもたれているシーンは多少見られたが、最後はそうでもなく追えていた様子。むしろ最後は2馬身と突き放されただけに、ルーラーシップの強さだけが目立った一戦と言えようか。

今年はかなり活躍しそうなルーラーシップの強さ。ローズキングダムにまた新たなライバルがハッキリと姿を現した一戦と感じたものであった。4歳馬に勢いを感じた。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。