ダノンシャークなど《平林雅芳 3歳観戦記》

トピックス

土曜京都4R
3歳500万下
ダ1200m
勝ちタイム1.12.7
勝ち馬
アフリカンハンター(牡3、栗東・荒川厩舎)

今週から戦列に復帰の武豊J。最後に勝ったのが、このアフリカンハンター。そして復帰後の最初の勝ち星もアフリカンハンターとは、凄い因縁である。未勝利を勝ち上がった時よりも、今回の内容の方が断然にいい内容であった強いもの。使われて上向いていくのがいい。直線では前を行くテイクアベットキョウエイバサラを外からかわした脚が、なかなか渋い印象であった…。

ほとんどの馬が互角に出たゲート。アフルカンハンターも《今日は五分に出れた》と鞍上が言う様に、横一列に加わっていた。内からスッとテイクアベットが出て行く。国分優Jである。その2番手に上がって行くのが、国分恭Jビットスターダム。前半の3ハロンを35.5とまずまずの流れで行く。4コーナーではその外へゴールデンアタック、さらなる外にキョウエイバサラが上がってきているが、前は十分に息が入る逃げを展開。その直後にアフリカンハンターが機を伺っている感じでの4コーナーへの入りであった。
そしてカーヴを回って、先頭のテイクアベットに並びかける勢いでキョウエイバサラ、その2頭から少し離れた外めをアフリカンハンターで、残り1ハロンとなる。
前の2頭が粘るところを、ジワジワっと武豊Jのひと追いで近づくアフリカンハンターがかわして前に出たのがゴールで、1馬身もなかった。
熾烈な2着争いは、僅かに内のテイクアベットが粘っていた。そこから5馬身も離れた4着にゴールデンアタックであった。

アフリカンハンターはダート戦に転向して2、1、1。それも一戦毎にレース内容が良くなっていく。《短い方がいいね》と武豊Jの感触だっただけに、この後になかなか適当な鞍がないかも知れない。一戦毎にタイムも縮めていい上昇カーヴを描いている馬である。


土曜京都6R
3歳新馬
芝外1800m
勝ちタイム1.51.5
勝ち馬
トーセンレーヴ(牡3、栗東・池江寿厩舎)

圧倒的人気のトーセンレーヴ。それもそのはず、セレクトセール出身の馬が5頭もいたこのレースであるが、抜けた値段2億2000万の馬である。牝馬?と思える様なラインの馬である。馬体は464キロだが、そうは見えない細手の馬。4コーナーで出てきた脚からは2,3馬身は楽に離して勝つと思えただけに、クビ差の勝ち方にやや不満はあるが、とにかく初戦を勝利で飾れた運の持ち主。まずは第一歩だろう。

最初からスローになるのは当然の、この距離の新馬。前半1000メートルが1.03.3とかなり遅い。ジワッとした行きっぷりで、ネオザウイナーラフアウェイが前に出て行く。しかしピッチは上がらずに3コーナーを過ぎていく。ネオザウイナーがやや下がり気味となって、ラフアウェイにレディオスソープが前に並び加減となる。その直後にトーセンレーヴが上がって来ている。
カーヴを回って直線入口の生垣の切れ目を通る時には、もう前の2頭の外でむしろ先頭気味。少し馬場の外めを選んで直線に入って来た。

そこらからピッチが上がっての切れ味勝負となった。最後の2ハロンだけが11.4~11.4と数字が速くなった。そこを付いてきたのは、4コーナーで内めに位置していたマルカプレジオだけ。トーセンレーヴの外へ並びかけたのが残り1ハロンのところ。そこではまだトーセンレーヴのリスポリJも手綱をまとめている格好でまともに追う態勢に入っていない。福永Jのマルカプレジオの方が勢いが良く、かわして前に出るのではないかと思えた瞬間に、リスポリJが手綱を絞ってステッキを3発ぐらい入れて先頭をキープしたままでゴール。
4コーナーでマルカプレジオの直ぐ前にいたダヴィンチバローズだが、追われての伸びが前の2頭程鋭くなく、3着であった。

レースを見ていて福永Jの乗ったマルカプレジオの方が印象的だったので、彼にそれを伝えて話を聞いた。が、《いやいや、僕のは一気にかわすのかと思った程だったのに、それをさせないのだから着差以上に強い馬ですよ~、あの馬は》であった。そして後刻に池江寿師も《直線入口では3馬身ぐらい離すかと思っていたがあの差。でも鞍上は馬が相手が来ればまた行く様な感じだったと言ってました》とこれまた同じ様なコメント。当事者にはその力量の差が判るのだろう。
まずは、超スター候補がデビュー勝ちをして、第一歩を踏み出した一戦でありました。


土曜京都9R
つばき賞
芝外1800m
勝ちタイム1.48.1
勝ち馬
ダノンシャーク(牡3、栗東・大久保龍厩舎)

デビュー戦から2着を外さない堅実な足取りで来ていた、ディープインパクト産駒のダノンシャーク。未勝利戦に引き続きの連勝と、いよいよ足固めとなる勝ちであった。着差こそそうはないものだが、安定した競馬内容で危なげない勝利と言えるもの。またまた新たに1頭、オープンクラスの馬の誕生となった…。

安部幸Jが乗ったナムラカメーリアが出て行く。プレイが2番手だが、その差が4,5馬身と離れる。プレイの外にエーシンミズーリ、内にハーキュリーで、その後ろあたりにダノンシャークと続き、向こう正面から坂を上がって行く。ナムラカメーリアはリードを保ったまま3コーナーを下って行くが、4コーナー手前あたりで、プレイとエーシンミズーリがグッとナムラカメーリアに接近しだす。そして4コーナー入口では、もうプレイとエーシンミズーリが前に出ていた。その直後にダノンシャークがいる。
直線入口では、エーシンミズーリの手応えが良く前に出かかる。しかし内のプレイが追い出して並び、そこへダノンシャークが外から脚を伸ばしてきた。
福永Jのステッキがかなり飛ぶ。そして2頭の前に出て行った。
プレイとエーシンミズーリの争いは、早々にエーシンミズーリの脚が止まりだして置いていかれる。先頭はダノンシャーク、しかし内からプレイがまた接近して差が詰まりだす。だがダノンシャークはもう1馬身と少し先にゴールしていた。その2頭から3馬身離れてエーシンミズーリ。ヌーベルバーグが追い込んで来ていて4着であった。

ナムラカメーリアが1000メートルを1.00.3とまずまず飛ばしてくれた流れ。しかし4コーナーまでで、そこから2、3番手の馬が前へ出たところをダノンシャークがかわしたもの。上がり3ハロンが11.8~11.4~11.9と、勝負は直線の半ばで決着。エーシンミズーリはその最速のところで離され気味となった様子。そこらでダノンシャークが先頭に踊りでた訳で、ステッキがかなり入る勝負どころだったのだろう。

デビュー戦でリベルタス、2戦目でサダムパテックの後塵を浴びたダノンシャーク。その後の1戦も負けたが、前走の勝利をきっかけにしての上昇。
東を向いて行くにはもうひとつ切れが欲しいところだろうが、これからそこに磨きをかけられるはず。まずは東行きのチケットを手に入れたと言うところだろうか。


日曜京都5R
3歳新馬
ダ1400m
勝ちタイム1.28.0
勝ち馬
グリッターテイル(牡3、栗東・鮫島厩舎)

右目だけ大きな黄色っぽいブリンカーを付けた異様ないでたちのグリッターテイル。4コーナーでは勢いが余ったのか、やや外へ膨れ気味と思える程の脚色。直線半ばでは内ラチ沿いで最後の50メートルぐらいは流し気味。タイムが1分28秒フラットとやや遅かったのは、前と後ろが全て入れ替わる流れであったのと、勝ち馬が最後はそう追ってないからと推測できるもの。

好発をしたのがニュージョブで、最初の芝の部分を楽に出て行く。ダートに替わったあたりで、内からテイケイパッションが前に出てきて並んで行く。しかし前半の3ハロンが36.2とユッタリなペース。
3コーナーを過ぎて4コーナーと、かなり固まっての馬群となる。4コーナーのカーヴでは8頭ぐらいが並ぶ大接戦。
3コーナー過ぎから上がって行ったのがグリッターテイル。4コーナーで大外と来ていたが、そこで前にいたサトノモンスターも前へと上がる時。その動きで、少し外へと行かざるを得なかった様子。しかし勢いがついていたからそのまま押し切って、馬群をひと飲みして前へと出て、内ラチ沿いで先頭に。
サトノモンスターが外から上がってきて前を追いかける。内で脚をためていたレッドハートが出てきて、サトノモンスターに迫って行く。

先頭となったグリッターテイルは、直線半ばでかなりステッキを使っていたが、その後はもう流し気味だった。
2着は、3馬身と少しの差が開いてサトノモンスターが確保。レッドハートの伸びも前を捕まえるには至らずだった。
人気のサトノレジーナは前々でレースしたが、4コーナーからの伸びがなく6着。もう1頭の人気馬エーシンバサラは、道中、グリッターテイルが上がって行った時でもまだ後ろめ。行きっぷりがあまり良くなかった。
4コーナーで馬群の後ろに取り付く中から、最後は内めを脚を伸ばしてきての5着。

ただ、勝ち時計の1.28.0は、やはり遅い感じ。ゴール前の最後2ハロンが12.7~12.8と、グリッターテイルがマークしたものであろう。
最後の1ハロンの半分は流し気味だったとしても、あと少し縮まるかといったもの。レベル的に低かったのかと思えてしまう。


日曜京都6R
3歳500万下
芝内1400m
勝ちタイム1.22.9

勝ち馬エーシンハーバー (牝3、栗東・藤岡健厩舎)

取り消しと競走除外の馬が2頭出て、13頭立てとなった。途中から先頭を奪ったジョーアカリンの動きでかなり流れたペースとなる。今回は控える競馬となったエーシンハーバーだが、直線で進路を確保してからの伸びはしっかりしたもの。着差以上に強い内容での2勝目を挙げた。

ゲートが開いた瞬間に、最後方に置かれてしまったジョーアカリン。前はノブヴィクトリーがスッと前に出て、外からエーシンプリーマがジワっとした感じで2番手。その後にイトククリやエーシンハーバーが好位置に続く。
2ハロンめが10.8と速い入りだが、その後は落ち着きそうなポジションだった。そこを後方から進出してきたジョーアカリンが、3ハロン標識の少し前には一番前へと踊り出た。

そのまま前へと出ていく。2馬身ぐらい差が開いたあたりで、残り600メートル標識の4コーナー手前。そこへエーシンプリーマに地方からのマンボビーンが前へ出てきて、3頭が並ぶ様にカーヴを回って行く。その直後にいたのがエーシンハーバーとイトククリ。共に手応えが抜群である。
先行馬がバテそうな流れである。マンボビーンの外へ進路を取ったイトククリ、それを見たのか岩田Jは、エーシンハーバーをマンボビーンとエーシンプリーマの間がポッカリと開いた方へと軌道を修正する。
同じところを狙って来ていたセイカプリコーン幸J。先にエーシンハーバーに入られてしまい、直ぐに狭くなる。瞬時に最内へと馬首を向けて入って行く。

先行馬が勢いが止まり、かわして追い上げていく馬が前へと出ての追い合いとなる。馬群の中から出たエーシンハーバー、外からイトククリ、一番最内のラチ沿いをセイカプリコーン。その3頭の追い合いとなったが、エーシンハーバーの伸びが一番いい。外のイトククリをクビ差制しての勝利。セイカプリコーンは、その2頭から半馬身遅れての3着であった。

途中からペースを上げたジョーアカリンの動きで、前半の3ハロン過ぎが11.8~11.8とペースアップ。道中が速い流れとなり、逆に直線では12.1~12.2とかかる競馬となった。
そんな中で持ち味が生きなかったのがシゲルシャチョウで,
最内枠から大外へ出ていたのだが、4コーナーでやや外へ膨れ気味。タイムロスがかなりあった様子である。
そして、ロードハリアーもこのけっこうな流れで、道中掛かり気味なところも見せていた。休み明け2戦目でスイッチが入ってしまっていたのだろうか。短い1400のレースながら、イロイロとあった中身であり、見ていて面白い一戦であったと言えようか。

勝ったエーシンハーバーは、今までの先行流れ込みの競馬と違った内容が出来たのが収穫であり、まずまずの競馬。これから上へと上がるだけに、こんな戦法も見につけていかねばならぬ時。悪くない勝ち上がり方と言えようか。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。