トーセンレーヴなど《平林雅芳 3歳観戦記》

トピックス

土曜阪神5R
3歳新馬
ダ1800m
勝ちタイム1.56.7
勝ち馬
スラストライン(牡3、栗東・松田国厩舎)

逃げたのは武豊Jサクラアルディート。前半1000メートル通過を1.05.2とユッタリの流れ。その2番手を楽について行っていたスラストライン。4コーナー入り口でも抜群の手応え。直線もその手応えどおりに伸びて、2馬身半の差をつけてのデビュー勝ちを収めた。

パドックで鳴く馬が多かった新馬戦であった。馬っ気を出す馬もいたりと、随所に若さばかりが目立っていた。少しケイコ不足かなと思えていたサクラアルディートだが、馬体は悪くない。そのサクラアルディートが先手を取って行く。
2ハロンめはどうしても行き脚をつけるところだけに11.3と速かったが、最初のカーヴを回った後は14秒台に落としての先行。
2コーナーを回って淡々と逃げる。しかし藤田Jのスラストラインがピッタリとついてきている。3番手の内には、1番人気のマスターオブライトがインで追走だ。ほとんど前の態勢が変わらない状況で4コーナーまで来た。完全に上がりの競馬だが、2番手のスラストラインの手応えがなかなかいい。そのまま前のサクラアルディートをかわして勝利した。2着にはサクラアルディート。3着はそこから7馬身も離れて、アドマイヤリボーが入ってきた。

前半3ハロンが37.8と、これ以上ないぐらいのユックリな入り。そんな流れに楽について行って、ペースが上がった4コーナー手前でも、本当に手応え十分のスラストライン。楽な勝ち方が出来た。一方の人気のマスターオブライトは、道中の位置から下がる直線。まだまだ現状では何とも言えない内容であった。むしろ4着に来たソルシエールの末脚が目に留まるもの。2着のサクラアルディート共々、次走はなおの事、上向くに違いない。


土曜阪神6R
3歳500万下
ダ1800m
勝ちタイム1.54.9
勝ち馬
デスペラード(牡3、栗東・安達厩舎)

前走の未勝利戦を勝ち上がった時の、4コーナーからの脚の使い方が凄かったデスペラード。その残映のイメージは間違っていなかった。今回も直線だけでの伸びで前を行く馬をかわして昇級戦をも突破。この2戦は、今までの成績とは別な馬に生まれ変わりつつある感じだ。まだまだ上を狙える馬になりそうな勢いを感じる…。

地方からの参戦馬を交えての9頭立て。当然に、スローな流れは最初から予測はついていた。最内枠を利してペガサスフラッシュが逃げの手に出た。2番手にスズカマジェスタ。前半の1000メートルの通過が1.04.0と、これまた遅い流れである。道中から地方馬は最後方で論外だったが、マリブスターマサシが離れてしまっていた。
4コーナーまで楽に行けていた先行馬、ペサガスフラッシュは当然に内ラチを粘る。2番手スズカマジェスタは終い甘くなる。続いて伸びてきたのがデスペラード。後ろでから上がり気味で来ていたマリブスターが、4コーナーで後脚を流す感じとなってしまっていた。
それらを尻目に直線で伸びてきたのが4、5番手を進んでいたデスペラード。一気に伸びて勝利。そして、それをマークする様に流れについて行っていたキングオブフェイスがデスペラードの外から馬体を合わす様に伸びて来たが、勝ち馬を上回る事はなかった。

最後の1ハロンが13・2とややかかっている。ここらがもうひとつ不満と言えば不満か。だが未勝利の勝ち方が凄く印象的だったデスペラードは昇級戦をも問題なくクリア。少しずつながらタイムも短縮してまだまだ上積みはあるだろう。問題はダートのオープン級のレースがなかなかないのが悩みか。


日曜阪神5R
3歳新馬
芝外1600m
勝ちタイム1.36.3
勝ち馬
サトノフォワード(牝3、栗東・平田厩舎)

道中は2列めにいたメイショウヨウドウとサトノフォワードで、絶好の位置。4コーナーでいい感じで外を上がってきたサトノフォワードだが、ところが4コーナーで前の馬が少し外へ開き気味で回ったのか、コーナーリングでメイショウヨウドウの方が内から先へ出る。その外へ再び並んだのが、残り1ハロン。そこから2頭の叩き合いとなった。僅かに外のサトノフォワードの伸びの方が優りだし、最後は1馬身以上の差となってデビュー戦を飾った。

最内からラスティンメモリーが出て行く。サトノフォワードも直ぐに2番手につけるスタートだった。外からリーサムハーツがサトノフォワードの前へ出て2番手。そのまま落ち着いた流れで、3ハロンぐらいあたりまで行く。そこらで3番手にロングアイリスが出てきて、前の2頭のすぐ後ろに接近。その後ろが内にメイショウヨウドウで、外サトノフォワードが並び加減で続く。
4コーナーに入る手前では前3頭が並び、その後ろにメイショウヨウドウとサトノフォワードが満を持して待っている手応えだ。スマッシュスマイルは真ん中よりまだ後ろの外めで上がってくる気配もない。

直線入り口で前の3頭がけっこう内、中に外と間隔を開けて入ってきた。その開いたところに、メイショウヨウドウがスッと入って出てくる。サトノフォワードは5頭の一番外となる。残り300のオレンジ棒でメイショウヨウドウが追い出して先頭となる。まだサトノフォワードは並べてない。秋山Jの左ステッキがかなり飛んで1ハロン過ぎあたりでメイショウヨウドウと並び出す。そして前へと出て、最後は手綱を押すだけのゴールで先着していた。

その前の2頭から離れた3着争いだが、内で粘るリーサムハーツの後ろからもの凄い脚でスズカファルコンがラチ沿いを迫ってきて抜き去って、3着となった。前半1000メートルを1.01.1とゆったりした流れに乗って4、5番手で脚を貯めたサトノフォワードが、最後はメイショウヨウドウとの叩き合いを制したもの。1週前の坂路で51秒台を、ジョッキー騎乗とはいえ好時計を出してのデビュー戦。追われての反応もしっかりしており、次なるステージへ向けての第一歩をうまく出せたものであろう。


日曜阪神6R
3歳500万下・牝
ダ1200m
勝ちタイム1.13.0
勝ち馬
ミヤジメーテル(牝3、栗東・川村厩舎)

未勝利を勝った後が2着続きのカラフルデイズが、1.2倍の圧倒的人気。心配は1200という距離だったが、それも十分にこなせるだろうと思えていたものだが危惧が当たった。4コーナーでも手応え良く前が開くのを待っている間に、レースはどんどん終盤を迎えてしまい、届かない位置に前の2頭が行ってしまっていた。早めに抜け出したのが、リスポリJ騎乗のミヤジメーテル。早め3番手の外めからのレースで、直線の残り300メートルから先頭に立っての押し切りであった。

スタートで、少しプントバンコがダッシュがつかない。外でエリモミヤビもあまり体勢が良くなかった。ポンと出て行ったのがバライローで、直ぐに先頭となる。トーホウペッグヒカリノーブルと続いて行った2ハロンめぐらいで、外からミヤジメーテルが内の各馬の様子を見ながら3番手、いやもう2番手ヒカリノーブルと並んで行く。カラフルデイズは内ラチ沿いを、その前の3頭を見る絶好の位置ではある。その外にはトウカイシャンテと、さらに外にはレディオブパーシャが上がって来ている。

そして4コーナーのカーヴへと入って来る。直線となって、先頭は外からミヤジメーテルが上がり気味。カラフルデイズは逃げたバライローの真後ろで前が開くのを待っている感じだ。外からはジンワリとレディオブパーシャが脚を伸ばして来ている。そして、完全に追い出したミヤジメーテルが先頭に立った1ハロン。外でレディオブパーシャが2番手に上がって来た。3番手は内でまだバライローが粘り、その2馬身後ろにカラフルデイズ。やっと進路が開いた様子だ。そして残り100を切っていくが、伸びる前の2頭の対してカラフルデイズが迫っていくのだが、かわすだけの脚色にはならない。
ジックリとレースを見直すと、レディオブバーシャがジンワリと無理せずに上がって行くのがよく判る。4コーナーを回る時も、なかなか余裕を持っての手応え。直線に入ってから追い出して行くのだが、やはり先に行って脚を貯めていたミヤジメーテルには敵わなかった。でも国分優Jもすっかりいい感じになっているなと実感する。カラフルデイズは外枠ならばまた違っていたのだろうと思える内容。脚は残ってもいるのだが、この距離では前もそんなに止まらないから、自身の脚を使える時間がなさ過ぎた感じであった。


日曜阪神9R
アルメリア賞
芝外1800m
勝ちタイム1.49.2
勝ち馬
トーセンレーヴ(牡3、栗東・池江寿厩舎)

ブエナビスタの弟、トーセンレーヴが直線で鋭い伸び。ゴール前の2ハロンでは10.4~11.5の鋭さ。そこをステッキは1発のみで、手綱をステッキの様に使うリスポリJの見事なさばきでゴールを駆け抜けたもの。ステラロッサが迫って行ったが、脅かすまでは至らず。また東を意識する馬が着実に足場を固めている感じであった…。

スタートで、タイキパーシヴァルの出がやや悪い。そしてアドマイヤスキップもダッシュがないスタートとなった。そんなに出は良くもなかったアバウトだが、スッと出て行く。2番手にメイショウツガルが続き、少し離れた3番手にトーセンレーヴである。内めにステラロッサで、真後ろにアドマイヤスキップがいる。3ハロンを過ぎるあたりでは、前の2頭の間隔も少し狭まり、3番手のトーセンレーヴも前から5馬身ぐらいの位置だ。
3コーナーのカーヴを回って行くあたりでのペースはと見ると、49.8とかなりユッタリめな流れ。ここらで一番後ろがアドマイヤスキップとなり、前のトップシャインとは2馬身ぐらい後ろであった。遅い流れながら、各馬は折り合いも十分。切れ味勝負になりそうである。

4コーナー手前では、先頭のアバウトからドンジリのアドマイヤスキップをのぞいて8頭がほとんどが一団となってきている。そして直線に入ってきて外回りの生垣を超える。僅かに先頭は内のアバウトだが、メイショウツガルの外にトーセンレーヴとイデアが並んでほとんど差がない状況だ。
そして残り300を待たずに、リスポリJがアクションを起こす。馬をうながしてもう先頭に出て行く。左側からチラっと後ろを見ながら、左右の手綱をまるでムチの様に左右に絞りながら追っていく感じだ。その左後方には、1馬身少しでステラロッサが上がって来ていた。少し迫られて来たかなと思った時がゴールだったが、危なげない勝利であった。2着ステラロッサで、3着に逃げたアバウトが粘った。

当然の様に、トーセンレーヴには手堅い一戦となった。遅い流れにも十分に折り合って行けるし、ゴーサインを出した時の反応もいい。切れ味も十分。やや牝馬かと思わせる様な馬体のラインを見せる馬であるが、能力はやはり凄いものを持っているようだ。
これからの課題は揉まれた時であろうが、そんな事は我々が考えても仕方ない事。偉大なる姉へ近づけという期待は大きかろうが、それも可能性十分と思わせる片鱗は確かに覗かせている。次なるステージがおおいに楽しみとなってきた…。
ステラロッサもなかなかのもの。今回は相手が悪かったが、次走はと、これも夢は膨らむ馬であろう。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。