-高松宮記念他-平林雅芳の目

トピックス


日曜阪神11R
高松宮記念(GⅠ)
芝1200m
勝ちタイム1.07.9
勝ち馬
キンシャサノキセキ(牡8、美浦・堀厩舎)

※高松宮記念、連覇を土産にキンシャサノキセキが引退!

3コーナーに入るあたりで、ジョーカプチーノが大きく不利。その後でウエスタンビーナスが故障。このアオリを喰った馬が多数出た。そんな混雑した中から抜け出して来たのは、今年もキンシャサノキセキ。8歳の年齢は数字だけ、伸び脚は若くてイキイキしたもの。ゴール板を過ぎて、リスポリJの大きなアクションと雄叫びが何度も出た。

スタートは格別遅い馬もいなかったし、ロケットスタートもなし。その中からヘッドライナーが出て行く。押して押して先頭に立つや、左ステッキが飛ぶ。1ハロンで完全に1馬身は出ただろう。その後で少し内めへと進路を取ってくるヘッドライナー。最内枠からレッドスパーダが2番手だったが、少し前が狭くなりだして意識的に抑えたところへ、外からダッシャーゴーゴーが2番手の外めから前へと出る。ここらが3コーナーのカーヴへと入るあたり。レッドスパーダの左横にキンシャサノキセキ、その外へジョーカプチーノがいた。ジョーカプチーノの外にいたビービーガルダンは先に少し下げた様子。ワンカラット、ウエスタンビーナスもジョーカプチーノの外へ並んでいた。次の瞬間にジョーカプチーノの白い顔が上がってしまい、馬群から下がるのが見えた。

その後ろにいたビービーガルダンが、瞬時に外へと避けている。先頭集団はヘッドライナーにダッシャーゴーゴーが並びかけていた。ジョーカプチーノは7番手ぐらいに下がった。ビービーガルダンは1馬身ぐらい開いた。すぐ右後ろにアーバニティーがいてサンカルロが直後に位置していた。3ハロンへとかかろうかと言う時に、ジョーカプチーノの前の外めにいたウエスタンビーナスにアクシデント発生。故障した様子だ。ビービーガルダンを始めとする、中団以下の馬がそれを避けて行く。3ハロンを33.6で通過した前の2頭。3番手の外目にキンシャサノキセキ。内にレッドスパーダが構えている。そして4コーナーへと入って来た。
ヘッドライナーを振り切って、ダッシャーゴーゴーが先頭となる。直ぐ後ろにキンシャサノキセキがいる。残り300のハロン棒を過ぎて、一番内へ入るダッシャーゴーゴーだが、その外へキンシャサノキセキが並んで来た。まだ抵抗するダッシャーゴーゴーを、残り100のハロン棒手前ぐらいでやっとキンシャサノキセキがかわして先頭となった。

3番手が大接戦となる。レッドスパーダの外にアーバニティーが並ぶ。その外にビービーガルダンも来ている。さらにサンカルロが凄い脚で迫って来ている。ゴールが迫ってきて、前の2頭に迫る3番手グループだ。
レッドスパーダの脚色が落ちてアーバニティーが前に出たかと思った瞬間に、その内からサンカルロが前に出た。
アーバニティが少し遅れて3着。ダッシャーゴーゴーが内で4着。外のビービーガルダンは5着でゴールへと入った。キンシャサノキセキが連覇したのは確実だった。

審議ランプが点いていたが、すぐに上位3頭の着順は決定した。少し時間が経ってからダッシャーゴーゴーの降着が発表された。パトロールビデオは大混雑。いつの間にか横山典Jが傍に来て見上げていた。明らかにダッシャーゴーゴーが3コーナーへ向かうところでの入りが早いのが判る。そしてその後のウエスタンビーナスの故障と、2度の大きなアクシデントがあった。ジョーカプチーノは全く競馬をさせて貰えなかった。直線では外へ出して来ていたが、もう脚も闘志もなくなっていた様子。
ビービーガルダンは最初から被害を受けていたし、後半ではサンカルロも故障馬の影響があって、位置がまた悪くなっていた。しかし直線での伸びは凄いもので、レッドスパーダの横山典Jが真横を通って行くサンカルロを《何じゃーこいつは》と思える仕草で見やるのが見えた。

キンシャサノキセキは、最初のアクシデントを最小限にうまく乗り越えられていたし、絶好のポジションはそのままキープできた。直線もその優位さを保ったままでのゴール。この8歳馬は衰えるどころか、ますます進化して来ていた感じを受ける。火曜朝に、栗東でも引退の報を聞いた。いいタイミングで、種牡馬としての花道を飾った。
そしてサンカルロ。いつも思うのだが、この馬の切れ味は半端なものでない。直線でもまともに追えている様には見えなかったのだが、ドンドンと前の馬との差を詰めて行く。1400芝までの距離なら、この馬はこれからも確実にいい仕事をするだろう。まして一番強い馬の引退。これからはサンカルロがその後継者となりそうだ。
そしてパドックから目についたのがビービーガルダン。やっとこの馬らしい毛艶のいい馬体が戻ってきた感を受けた。
8歳馬キンシャサノキセキが12勝目を、高松宮記念の連覇で飾った。そして引退と華々しい最終戦となった。



日曜阪神12R
毎日杯(GⅢ)
芝1800m
勝ちタイム1.47.1
勝ち馬
レッドデイヴィス(セン3、栗東・音無厩舎)

※何でGⅠ競走に出れぬ!デイヴィスが連勝だ!!

直線では一番内の狭いラチ沿いを伸びて来て、一番前に出たのがレッドデイヴィス。ゴール前では、外からコティリオンも凄い脚を使って伸びて来ていたが、クビ差退けてのシンザン記念からの重賞連覇。超良血のトーセンレーヴを寄せ付けない勝利で、クラシック競走に出れない鬱憤を晴らすかのような脚どりの確かさを見せつけてくれた。

逃げたサンビームが、ゆったりとした流れにする。2番手ゲットハッピー。3番手で進めたのが、レッドデイヴィス。3コーナー過ぎからその外へトーセンレーヴが上がって来て並ぶ。直後が内にアルティシムスで、外にエチゴイチエとピサの勝負服のデスペラードだ。4コーナー手前では、トーセンレーヴがより前の馬との差を縮めて上がる。内で脚を貯めるレッドデイヴィス。デスペラードがいる。まだどの馬も十分に手応えが残っている。

馬群が一気に固まって4コーナーへと入って来た。直線へと入り、やや横に広がる後続馬。内めでは先頭に立ちそうだが、まだ追っていないトーセンレーヴ。その外へアストロロジーが並ぶ勢いで迫って来ている。パカッと開いた外回りと内回りの切れ目。そこで一気に最内を狙ったレッドデイヴィスが追い出してサンビームの内へと入り、先頭に躍り出た様子だ。その動きに合わすかの様に、リスポリJがトーセンレーヴにゴーサインを出した様子だ。その後ろがひしめきあう。サンビームの内からアルティシムス。ゲットハッピーの外にはエチゴイチエとアストロロジーと、5頭が横一線となる。
その後ろからコティリオンがもの凄い脚で迫って来た。先頭は完全にレッドデイヴィスが出て、トーセンレーヴとの差を広げだ出した。そのトーセンレーヴを抜いたコティリオンがグイグイとレッドデイヴィスに迫って行ったのだが、半馬身近くまででゴール。

パトロールビデオで見ると、トーセンレーヴはやや掛かり気味の道中であった。逆に、内々で折り合いがついていたレッドデイヴィス。コティリオンはアルティシムスの後ろで4コーナーまで進め、直線半ばで後ろを確認してから外へ出して一気の詰め。
惜しまれたのがアルティシムスで、レッドデイヴィスの真後ろを進む道中。直線で同じく最内を突くのかと見ていたら、少し外へ出し気味。進路がないと内へと切り替えたのだが、狭くてなかなか抜け出せないスペースとなっていた。
前半から3番手の絶好位を取りにいった浜中Jのレッドデイヴィスが、思い通りのレースで着差以上の完勝であった。
火曜朝に音無師は、《NHKマイルカップも出られない。京都新聞杯から安田記念に出走するプランになりそうだ》と語っていた。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。