-阪神牝馬S-平林雅芳の目

トピックス


土曜阪神11R
阪神牝馬S(GⅡ)
芝内1400m
勝ちタイム1.20.4
勝ち馬
カレンチャン(牝4、栗東・安田隆厩舎)

※坂路で凄いタイムと絶好調のカレンチャン。重賞初制覇!!

坂路で絶好の動きを見せて好タイムをマークしたカレンチャンが、1番人気の支持を受けた。好発のスタートで、3コーナーでは先頭に追いつきそうな勢いでの3番手で進める。4コーナーでは絶好の位置で隣りにはアンシェルブルー。直線入り口から、内めからスルスルと抜けてきた。相手はやっぱりアンシェルブルー。向こうは4コーナーで少し外めを回ったが、馬体を併せての追い合い。最後までカレンチャンの勢いが衰えず、待望の初重賞勝ちをおさめた。

今日のメンバーで出が悪かったら勝負にならないと思っていたスプリングサンダーだが大丈夫、五分に出た。まずは横一列のきれいなスタートだった。クロワラモーがやっぱり出て行く。同じ勝負服のトゥニーポートが2番手に上がり、外にサングレアズールジュエルオブナイルが並び、内にはカレンチャンがピッタリといる。そこから1馬身ぐらい後ろにアンシェルブルーが早めに上がっていた。
3コーナーを過ぎてもまだペースが上がらない。先頭のクロワラモーは3ハロン通過が34.0と理想的なペース。2番手もトゥニーポートで淡々と流れていく。
4コーナーを回る時は、前の4頭がクロワラモーだけが半馬身出ているが、その後は3頭がほとんど並ぶ。その直後にカレンチャンがラチ沿いで、外にアンシェルブルーも手応え十分でいる。もっとも、その後ろの馬たちもかなり手応えはありそうな馬ばかりだ。

直線に入って、少し過ぎて前が開いた。そこへスッと入るカレンチャンに、1頭置いて外へ出たアンシェルブルーの2頭が完全に前に出た。追い出した2頭だが、瞬間に外アンシェルブルーが前に出た様子。しかしもう一度内のカレンチャンが出た。少し遅れて混戦の中からスプリングサンダーが出て前を追う。ジワジワと前の2頭に迫るスプリングサンダーだが、かわすまでの勢いではない。カレンチャンが半馬身前に出て、重賞で先頭のゴールとなった。

10戦目で5勝目が重賞初制覇となったカレンチャン。確か、最初の騎乗は武豊Jがダート戦新馬だったと記憶している。その当時からもケイコは良く動いていた馬だと思えたが、最近は坂路でかなりの好タイムを出す馬に成長。なかなかに渋い勝ち方であり、距離面もあと1ハロンぐらいまではいけるのではなかろうかと思えるもの。
上位3頭が4歳馬で、4着に連闘のプロヴィナージュがいつもと違う競馬内容で上位に喰い込んできたのが目立っていた。



土曜阪神12R
ニュージーランドT(GⅡ)
芝外1600m
勝ちタイム1.34.5
勝ち馬
エイシンオスマン(牡3、栗東・松永昌厩舎)

※内目をスルスルと抜け出たエイシンオスマン。重賞制覇だ!!

2週前のスプリングSで内めでなかなかいい粘りを見せていたエイシンオスマン。今回は好発から2番手の絶好位でレースを進め、直線でもそのまま早め先頭に出て押し切った。混戦の2着争いでは、最後の最後にエイシンジャッカルが馬群の中からゴール寸前に伸びてのエイシン丼となった。3着のグランプリボスまでが、NHKマイルCへの優先出走権を確保した。

パドックで見ていて、《ディープサウンドは太くない?》と思える体。数字は10キロ減だが太く映る。ラトルスネークはいい馬体なのだが、周回する毎にうるさくなっていく。ダノンシャークも落ち着きがない。最後尾を歩くドナウブルーはますます細く見える。
ゲートは一番内のロビンフットグランプリボスがいいスタート。スギノエンデバーに⑧枠ピンク帽の2頭が遅れ気味だ。すぐにエイシンオスマンとタツミリュウが押して前へと出て行く。
1ハロン行ってタツミリュウが外から先頭に躍り出たところで、リキサンマックスがやっとエンジンがかかったのか、一番前へと出る。エイシンオスマンが3番手に下げている。そこから1馬身差でグランプリボスで、リアルインパクトが外。ディープサウンドがそこらの内にいる。直後がダノンシャークと続く。

3ハロンを通過した。35.9と決して速くはないリキサンマックスの逃げだが、2番手には3馬身ぐらい水が開いている。ラトルスネークはブービーで、最後方がスギノエンデバーとなっている。
800メートルを通過したが、変わらず3馬身ぐらいのリードをつけてリキサンマックスが先頭、エイシンオスマンにタツミリュウ、グランプリボスと続くが、まだ誰も動きがない。
4コーナーのカーヴを回って直線に入ろうかとするあたりで、外にラトルスネークが上がって来た。生垣を過ぎてリキサンマックスがペースを上げて後続を離そうとするが、直ぐにエイシンオスマンが迫って来た。後ろを最内からディープサウンド、ロビンフットも追い上げて来た。
1ハロンを過ぎて馬群がグッと狭まってきたが、エイシンオスマンがリキサンマックスをかわして先頭となる。ズラリと広がる2番手争いに、グランプリボスの内の僅かに開いたところにエイシンジャッカルが入って来た。
ディープサウンドが2番手粘ろうかというゴール前で、エイシンジャッカル、グランプリボスが際どく迫って来て鼻づらを並べる様にゴールへと入った。

逃げたリキサンマックスが9着だが、2着馬からコンマ2秒差。そのリキサンマックスの前半1000メートル通過が59.9とかなりユッタリした流れとなった。
その2番手で十分に脚を貯めて直線でのスパートから、いち早くゴールを駆け抜けたエイシンオスマン。今年の2戦目が前回のスプリングSから中1週でここ。一度使って上昇したところに絶好の流れ。そこに乗じての素早い対応が出来たのも前走が利いているのだろう。
そして2着エイシンジャッカルが凄い内容だ。4コーナーまではインでちょうどディープサウンドの真後ろ。直線では少し外へと出してスペースを探す。最後は狭いところを、鞍上岩田Jのステッキで促され、こじ開ける様に出てきて2着争いに加わった。
グランプリボスにダノンシャークは、前半にやや掛かる様なシーンをも見せていた。この距離でも流れが少し緩いとそんな面も見せるのか。
これでエイシンオスマンを始め、上位に入った馬たちはNHKマイルCにこぞって出て来るのだろうが、まだまだ混戦は続くと思われるものだ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。