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-桜花賞-平林雅芳の目
2011/4/12(火)
日曜阪神11R
桜花賞(GⅠ)
芝外1600m
勝ちタイム1.33.9
勝ち馬:マルセリーナ(牝3、栗東・松田博厩舎)
※まるで『十戒』のワンシーン。マルセリーナの道が開いた!!
フォーエバーマークが先手を取って逃げに出た。有力どころは後方で位置する。そのまま直線へと入って来たフォーエバーマーク。内で粘る。横に広がった2番手グループから、マルセリーナが馬群の中から抜けて出てきた。内から外へ出して行くマルセリーナの進路が、行く前方がまるで割れる様に開いていく。大外からホエールキャプチャも追い上げて来て一瞬、マルセリーナより前に出た様に見えたのだが、その内めを違う脚色で抜けていくマルセリーナ。内で粘るフォーエバーマークがいたが、勢いから桜花賞の女王は確実の脚であった。ディープインパクトが持っていた最大の特徴『切れ』を、マルセリーナはここぞとばかりに桜の舞台で発揮した。《牝馬には負けない》、その伝説は続きそうだと、満開の桜の下を勢いよくゴールへと続いた。
パドックで周回の各馬を見ていた。ダンスファンタジアも、暮れの時とはだいぶ違う落ち着きを取り戻している。マルセリーナは、時折外の大観衆を見るほどに落ち着き払っている。僚馬トレンドハンターが、今回はややテンションが高い。その前の芦毛ホエールキャプチャも静かに歩いている。フレンチカクタスがなかなかいい雰囲気だ。返し馬ではそのフレンチカクタスがちょっと入れ込んできたのか、一番最後に目の前を通って去っていった。ゲートイン前には、いつものGⅠの喧騒と音楽も戻り、埋め尽くすスタンドが一体となっていた。ゲート入りでハブルバブルがややうるさい。《ダンスファンタジア、マルセリーナの同じ勝負服が一緒に入ります》とアナウンスが告げた後、最後に大外馬が入って今年の桜花賞のゲートが開いた。
スタートは外の方が遅かった。トレンドハンターが一番後方になったのが見えた。内からダッシュを利かせてフォーエバーマークが出て行った。すぐ2番手にマルモセーラ、その後がカフェヒミコにダンスファンタジア、サクラベルと続く。1ハロンを過ぎたあたりで、後方のマルセリーナがやや窮屈になったのか、安藤勝Jが手綱を絞るシーンがあった。
3ハロン通過のフォーエバーマークは34.6。2番手に3馬身ぐらい開けての先頭。ここらで外からウッドシップが上がって来て、逆にサクラベルが下がり気味となる。次の800メートルのハロンではフォーエバーマークのリードがなくなり、ウッドシップが1馬身もない2番手。マルモセーラと続く。ダンスファンタジアは絶好の5,6番手の内めにいる。最後方が1頭だけ前から1馬身離れて、トレンドハンターだ。マルセリーナがその前の内ラチ沿い。その大外にはホエールキャプチャも見える。
4コーナーに入って前は2頭。まだ内のフォーエバーマークは粘っているが、ウッドシップも並び気味だ。外回りから切れ目を通って、再び内ラチが見えた。追い出しているフォーエバーマークが、またもうひと伸びしだした。ダンスファンタジアはと見ると、3番手ぐらいに上がっているが、伸びがもうひとつ乗らない。
残り1ハロンあたりで、ダンスファンタジアの外からマルセリーナが凄い勢いで上がって来ている。外から芦毛のホエールキャプチャの馬体も迫って来ている。大外にトレンドハンターも来ている。しかしまだ先頭はフォーエバーマークが2馬身ぐらい抜けている。
と思えた瞬間に、マルセリーナが一気に並ぶ間もなく前へと出て行った。鞍上の安藤勝Jの左ステッキが飛んだ後は、手綱で追っているだけ。外でホエールキャプチャが2番手に上がり、トレンドハンターが続く。そこへメデタシが突っ込んで4着に上がったところがゴールだった。
手綱を抑えた安藤勝Jが、チラリといつもの癖で相手馬を見て、今年の桜花賞も終わった。
パトロールビデオを見る。マルセリーナは、スタートが少しヨロけて出たぐらいの感じだった。その後でも1ハロン行ったあたりで進路が狭くなり、少し抑えるシーンもあった。その後は内へ入って4コーナーを迎えた。
3コーナー過ぎぐらいでは、後方に1着から4着までの全馬がいた。4コーナーを回る時には1頭分外へ出たマルセリーナだが、直線では少しずつ進路を探して外へと出てきた。ちょうど真ん中あたりで、エーシンハーバーのところでラテアートと同じ様な行動だったが脚が違って、そのラテアートを弾いて前の開いた空間に突っ込んで来た。
後は鞍上の左ステッキが5、6発飛んで、マルセリーナは弾かれた様に伸びて来ての栄光のゴールを目指した。
ホエールキャプチャにトレンドハンターは、枠順の差で内へ入ることが出来ずに最後も外へ進路を取っての追い上げ。この差は大きかったようだ。
ディープインパクト産駒が初年度のクラシック。3頭出て1、4、6着はやはり勝負強い血統の証でもあろう。
マルセリーナ、まだ牝馬には1頭も負けてはいない。このまま2冠めもいきそうな勢いであった。
日曜阪神12R
マーチS(GⅢ)
ダ1800m
勝ちタイム1.50.0
勝ち馬:テスタマッタ(牡5、栗東・村山厩舎)
※テスタマッタ、一昨年のJDダービー以来の美酒に酔う!
重賞ウイナーが揃ったダートのハンデ戦。戦前から混戦模様は覚悟していた。そんな中から直線1ハロンから抜け出てきたのはテスタマッタ。3歳夏に大井のJDダービーを制した実力馬であるが、あの後は勝利を挙げる事がなく時間を費やしてきたが、鞍上四位Jとのコンビでの2戦2勝目を復活勝利とした。これからダートの重賞路線で大いに期待できるというもの。そんな嬉しい勝利に違いない。
スタートしてすぐにマチカネニホンバレが押して前に出る姿勢を見せるが、その内からメテオロロジストが出して行く。ブラボーデイジーが外の3番手。タガノジンガロがその内にいて、直後のインにキングエンスブレムと続いて1コーナーに入って行った。
2コーナーを過ぎて少し後ろを離したメテオロロジストだが、5馬身後ろにマチカネニホンバレ、ブラボーデイジーがそこから1馬身で向こう正面を迎える。ここらで後方の馬群の中にいたテスタマッタが中団より前に押し上げて来た。1000メートルを通過したあたりでだいぶペースを落としたメテオロロジストに、2番手グループが急接近。3コーナーのカーヴを回る時には、マチカネニホンバレが半馬身差の2番手で、外から来ているブラボーデイジーをちらっと見たウチパクJの仕草が見えた。その直後に、テスタマッタが内のタガノジンガロよりいい行きっぷりだ。インバルコにラヴェリータ、キングスエンプレムと続いて4コーナーへと入って行く。
カーヴを回った時点で、前は4頭が並び気味となる。メテオロロジストの外にマチカネニホンバレ、その外に芦毛のブラボーデイジーで、その外にテスタマッタだが、テスタマッタが一番勢いがいい。残り1ハロンが近づくと、内ラチ沿いをキングスエンブレムがいい脚で迫り、その外めをタガノジンガロも加速をつけて来ている。
先頭は、ブラボーデイジーとテスタマッタが並んで追い合いとなる。ややブラボーデイジーの脚色が悪くなって、内で伸びが止まり出す。外からインパルコが脚を伸ばして来る。もう先頭のテスタマッタは大きなアクションで、勝利へのゴール。2着争いが厳しくなったが、何とかブラボーデイジーがインパルコを抑えて2着。タガノジンガロは、マチカネニホンバレに遅れての5着だった。
レースの上がりが36.1と遅くない。勝ったテスタマッタは、向こう正面までに早めに前に位置しての追い上げ。このメンバーで一番の上がり脚を駆使している。オーロマイスターに次いでの58キロを背負ってのもの。早めの積極策が功を奏したようだ。
今年の初戦となった前走から10キロも絞れ、動きやすくなったのもあるのだろう。元々力のある馬。上位で競馬していながら、なかなか賞金面で加算できずに思うように使えてなかった経緯がある同馬。これで少しは出たいレースに出られる様になったのだろうか?何せ、ダートの重賞路線は層が厚く、まだまだ群雄割拠。しかし、テスタマッタは復活のイメージを出せたのが大きいだろう。
日曜阪神9R
忘れな草賞
芝内2000m
勝ちタイム2.02.4
勝ち馬:エリンコート(牝3、栗東・笹田厩舎)
※オークスへ密かに準備、エリンコートが連勝で待つ。
今年は何と言ってもディープインパクト産駒が話題。その子供たちが3頭出走のこの断念桜花賞(昔はそう言った・・が)。息を飲む直線での追い合いに、そのディープの子供たちが抜け出るのかと思った瞬間に、したたかなデュランダル産駒のエリンコートがその3頭の前に立ちはだかった。
スタートして内の方がゴチャついて、シシリアンブリーズが抑えて最内へと入った。外からやっぱりキンショーオーロラが出て行った。1コーナーを回り2コーナーに入る時には、後続を構わずとっとと前へ前と出ていった。
向こう正面では2番手ベルモントカントルに7、8馬身の差をつけた。3番手がライトレール。その後ろにハッピーグラスとリトルダーリンのディープの子供が前後して進める。1000メートル通過が1.00.1と、やっぱり先頭は速い。最後方オースミマイカまでは100メートルはあったか。
3コーナーを過ぎて4コーナー手前で、先頭のキンショーオーロラのリードが一遍になくなって、後続馬がドッと急接近となる。4コーナーのカーヴを回る時は、最後方のオースミマイカも一気に外へ押し上げて、馬群の中団の後ろの大外へ回る。
直線に入ってますます混戦となり、ほとんどの馬が差がなくなり横に広がってきた。直線半ばでも、バテた先行馬と追い上げて来て脚が貯まっている馬とが入り乱れて、アチコチで不利が発生している。その間に外からエリンコートが一気に前に出た。中を割って出て来たハッピーグラスが追い上げる。外からオースミマイカも脚を伸ばして来た。抜け出したエリンコートだったが、内からハッピーグラスに並びかけられそうになる。もう一度ゴール前にもう一度少し伸びて、先着してゴール、外でオースミマイカが単独の3着。その後にリトルダーリンとディープの子供3頭が、1着をのぞいて上位独占となった。
勝ったエリンコートは、前走が1800と距離を伸ばし、今度はさらに1ハロン延長してきた。道中の折り合いもつくし、追い出して先頭に立って遊んだのか、一旦差を縮められたが、馬体が接近するや、また伸び出す感じ。距離はまだ大丈夫そうだ。
桜を抽選除外でここへと、まさしく断念桜花賞とひと昔前のレースイメージとダブルような勝利。でも勝ち方はオークスへ向けて悪くなさそうな感じでもある。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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