－：オルフェーヴル(牡3、栗東・池江寿厩舎)とダノンバラード(牡3、栗東・池江寿厩舎)について、池江泰寿調教師に伺います。よろしくお願いいたします。今年は1週遅れ、東京で行われる皐月賞ですが、オルフェーヴルにとってはどんなイメージをお持ちでしょうか？

池江泰寿調教師：オルフェーヴルはスプリングSを勝てたことによって、当初考えていた中3週というローテーションには変わりはないんですけれども、コースが東京に替わることはいいのかなと思います。

－：その前走は見事な切れ味でした。

池：当初は中山コースで施行される予定でしたが、コーナー4つの競馬や小回りは、この馬の持ち味は活かせないんじゃないかと思っていただけに、阪神競馬場に替わった事は良かったと思いました。

－：今回も東京に替わりますね。

池：一回、東京は走っていますが、あの時は色々な悪い事が重なっただけで、あの一度だけで東京競馬場がダメだとは思いませんですし、実際、デビュー戦も左回りでいい勝ち方をしましたから、むしろ、中山の二千よりは歓迎じゃないかと思います。

－：皐月賞へ向けての調整について教えてください。

池：スプリングSから中3週でしたので、この中間も調整程度で仕上げは楽だったと思います。

－：直前の追い切りはどんな指示で、その動きはどうだったでしょうか？

池：今日は坂路でいつものように併せ馬で、先週・今週と池添騎手に跨ってもらったんですけれども、前を行く馬の後ろにつけて、後半は並びかけて、ラスト1Fは強めに流してと伝えました。
タイムはエラーだったんですけれども、本当に指示通りに乗ってくれましたし、ラスト1Fの動きは素晴らしいものがあったので、いい状態で出走させられるんじゃないかと思いますね。

－：先生にとっても、血統面からも思い入れの強い馬だと思います。

池：そうですね。お父さんのステイゴールドも、最後のクラシック・菊花賞は出走できたものの、春は出られなくて、お兄さんのドリームジャーニーは精神面や体力面に課題があって、参加するだけといった形になってしまったのでね、なんとかこの馬でクラシックを獲れればと思います。

－：色々比較されると思いますが、ドリームジャーニーと似ている部分、違った部分を教えて下さい。

池：ドリームジャーニーは、この時期は体調も安定しなくて、調教もソフトな調整しかできなかったのですけれども、オルフェーヴルの方は飼い葉も食べてくれて、体重はそう増えてくることはないですけれども、馬格はあって調教でしっかりとした負荷がかけられる事は違う点ですね。競馬っぷりは似ているんじゃないかと思いますね。

－：クラシックの時点では、このオルフェーヴルの方が完成度は高いと考えていいでしょうか？

池：こちらが思っている負荷をかけられているという点では、オルフェーヴルに関しては自信を持って、送り出せるという感じですね。

－：改めて、今年の皐月賞が東京になること、重賞毎に勝ち馬が替わっている点に関して、先生はどうお考えでしょうか？

池：中山と東京の二千では、全くタイプの異なる馬が活躍する傾向にありますからね。春の東京開催の開幕週というと、先行馬が止まらない事は気掛かりではありますね。

－：先行馬が止まらない馬場の中で、指示などはされることはありますか？

池：今まで通り、折り合いに専念してね。終いの脚を活かすような競馬をした方がいいと思いますので、先行馬有利といっても、オルフェーヴルの本来のスタイルで競馬をした方がいいと思います。

－：折り合いに関してはどうお感じでしょうか？

池：この馬をみていると、折り合いがカギなんですけれども、レースのレベルが高くなればなるほど、流れてくれるので、そういう意味ではGⅠの方がレースはしやすいんじゃないかと思います。

－：折り合い面の克服するために、先生自身が手を施したことはありますか？

池：僕がというか、ウチのスタッフや、牧場のスタッフが普段から対処してくれていますし、池添騎手も競馬で徹底してくれてますからね。それが前走あたりで、ようやく実になってきたんじゃないかと思います。

－：前走の勝利というのは、色々なものを克服した勝利と捉えてよろしいでしょうか？

池：そうですね。2～3走前は流れが遅くて、力を出し切れなかったですけれど、力があることはわかっていたので、前走はそれを発揮できたと思います。

－：枠順に対するこだわりなどはありますか？

池：特に希望の枠とかはないですね。ジョッキーも出たなりで競馬をしてくれると思います。

－：週末は天気も心配されますが、馬場コンディションの対応はどう感じられていますか？

池：切れ味勝負の馬ですから、良の方がいいとは思います。

－：皐月賞へ向けて、見通しをお願いいたします。

池：デビュー戦の時は、この馬はジョッキーを振り落したり、色々な荒削りな部分をみせて、まともな競走馬として育つのかと心配したくらいですけれどね。
本当に牧場やウチのスタッフ、池添君が教え込んだことが身になってきてね、クラシックに出ることが出来て。能力があるのはわかっていたので、いい状態で送り出して、結果を残してくれればと思います。

－：続いて、ダノンバラードについて伺います。転厩前はどんな馬だという印象がありますか？

池：毎回、コンスタントに勝った時のような脚が引き出せないタイプかと思いました。

－：本番へ向けて、どんな調整過程でこられましたか？

池：2度の敗戦の時も、調教を加減したことで気持ちが乗らなくて、競馬でも走らなかったと聞いていたので、今回はレースの間隔もあいているので、強い負荷をかけていこうと思っておりました。
前走も手前を何度も変えて、どこか痛いところでもあるのかと思いましたけれども、中間もしっかり走っていますし、気持ちもだんだん乗ってきていますので、いい状態で本番を迎えられると思います。

－：今日の追い切りでは、武豊騎手を背にハードにみえる動きで、時計も速かったと思います。

池：その通りだと思います。1Fの切れ味というよりも、全体的に強い流れで負荷をかけたいという希望でしたので、思い描いていた通りの調教が出来て、これで本番へ迎えると思います。

－：前走が残念な結果でしたが、昨年暮れが強い勝ち方だったので、そう期待しているファンも多いと思います。

池：そうですね、僕もそう思っています。転厩緒戦で、前走からも間隔があいているので、手探りな部分もありますけれど、ラジオNIKKEIくらいの脚を使えればと思います。

－：この馬のセールスポイントはどんなところだと思いますか？

池：勝ったレースはいい切れ味を持っていますからね。それがセールスポイントじゃないでしょうか？

－：東京の2000㍍はどう思いますか？

池：阪神の二千で勝って、中山の二千も合うかと思っていたのですけれども、東京の二千になることは、それはそれでいいんじゃないかと思っています。前走もコースが悪かったわけではないでしょうし、むしろ、この馬の切れ味を活かすには、東京の二千はいいとも思います。

－：転厩して初戦がクラシックということで、先生もプレッシャーを感じられると思います。皐月賞へ向けての意気込みをお願いいたします。

池：2歳で重賞を勝っている馬をやらせていただいて、いきなりクラシックでプレッシャーを感じていますけれども、中間の動きをみていると、バラード自身が「安心しろ」と僕に語りかけているような感じで、そういう動きをみせてくれています。あの馬を信じていれば、いい結果が出るんじゃないかと思っています。

－：2頭とも遜色のない馬だと思います。その2頭で皐月賞に出られることについていかがでしょうか？

池：2頭とも楽しみにしていますし、まだ、2頭共に100％の自信を持って、不安もなく送り出すという馬ではないですが、頑張ってくれるんじゃないかと思います。