-東海S-平林雅芳の目

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日曜京都11R
東海S(GⅡ)
ダ1900m
勝ちタイム1.53.7
勝ち馬
ワンダーアキュート(牡5、栗東・佐藤正厩舎)

※※ ワンダーアキュートがレコードで快勝!!

トランセンドのレコードを1秒7も縮めての勝利。不良馬場で脚抜きがいいコンディションではあったが、前を行くランフォルセとの叩き合いを制したワンダーアキュート。これで重賞は3つめ。エスポワールシチーの2着。前走のアンタレスSではスタートで後手を踏んでゴルトブリッツの2着。その前走の鬱憤を晴らした格好だ。逆に今回完敗だったゴルトブリッツ。自分自身に負けてしまった内容であった・・。

今回の東海Sでの道中の一番遅いラップが12.4。ゴール板の最後1ハロン12.2が、次に遅いラップタイムの数字。全体に平均速い流れを演出した横山典Jとランフォルセ。パドックでは、萩原師も厩務員さんと二人でランフォルセの手綱を持って引いていたが、時折首さしを愛撫する様になだめている姿が目に入った。気負いが、もう少しで入れ込む寸前というか、緊張気味のランフォルセをなだめている様子だった。そんな印象のパドックだった。

スタンド前からのスタート。ゲートが開く寸前にゴルトブリッツがやや立ち上がり気味になったが、脚が降りた時にゲート・オープン。しかし、その出た瞬間に内からメダリアビートがヨレて寄って来て少しぶつかった様子。そのせいで、最初の位置取りが後ろになった。
スッと外からランフォルセが先手を取って出て行き、2番手にはピイラニハイウェイ。その外へメダリアビートと、前へと出てきたゴルドブリッツが並んで1コーナーを回って行く。

ランフォルセの真後ろが、今日はスムーズに出たワンダーアキュートが付いてラチ沿いを付いて行く。2コーナーまでには内のワンダーアキュートがコーナーリングで前へと出て行き、ピイラニハイウェイの内めの半馬身差を行く。メダリアビートが外に並び加減で、そこから後ろにバーディバーディが内で外にゴルトブリッツ。その真後ろがテスタマッタキングスエンブレムが並んで向こう正面を通過だ。シルクメビウスはその後ろで、ちょうど馬群のど真ん中ぐらいか。

動きがあったのは3コーナー過ぎあたり。ハギノリベラが後ろから外をマクって出て行った。その動きにテスマタッタも併せて、その内めを同じ様に動いて上がって行った。その動きにゴルトブリッツがついて行きかけるが、外の2頭の勢いがいい。
4コーナーを回る時には、内から4頭めのテスタマッタが先頭に出てカーヴを廻る。最内ではランフォルセがジッとしていたが、コーナーリングでまだ先頭をキープ。その真後ろでは、ワンダーアキュートもジッと我慢している。ゴルトブリッツは外からの押圧と、内の馬の勢いが良く出てくるちょうど真ん中あたりの窮屈なポジションで、一旦後ろへ置かれ気味になった。

直線に入って来た。先頭に出たはずのテスタマッタだったが、内からランフォルセ、その外へとワンダーアキュートが出てきた勢いが良く、3番手と瞬時に置かれる。前は完全にランフォルセとワンダーアキュートの一騎打ち様相となり、シルクメビウスが押し上げて来ているが、前の2頭とはちょっと水を開けられた感じだ。

逃げ込まんとするランフォルセをかわしたワンダーアキュート。勢いでも優っていたはずなのに、ゴール板が近くなると、またランフォルセとの差がジワジワとなくなりつつあった。何とか1馬身近いリードでワンダーアキュートの勝利のゴール。そこから少し差があった3着には、テスマタッタをかわしたシルクメビウスが上がった。ゴルトブリッツはその後を流れ込んでいた。

《1.53.7か~、たいして速くなかったな~》と電光掲示板を見て思っていると、場内アナウンスの『レコードです!』の声に気がつく。《え!、1900でこのタイムだったのか~・・》と。
パトロール・ビデオを見る。勝ち馬も2着馬もラチから離れていない。そして一旦4コーナーではテスタマッタの方が外から先に出た様子であったが、そこからゴールまでの間はさほど伸びてない印象でもあった。結局は、コースの内外の差が出た様子である。

この馬場で前々の経済コースを進めていた2頭の決着。こんなコンディションの馬場だけにこうなるのは理解できるのだが、その位置を誰が占めるのかがなかなか読めるものでもない。後ろからの馬では届かない、そんな今年の東海Sでしたが、ゴルトブリッツがスタートから一貫して自分のリズムで走れきれてない印象であり、こうなってしまうパターンを見た思いでもありました・・・。

ワンダーアキュートは、デビューからダート戦をもっぱら使われている馬で、一度だけ芝に参戦。青葉賞に出走して、アプレザンレーヴに1秒6負けた10着だけ。後はダートを主戦場にしているもの。今年はこれで4戦目。おそらくこの後は、帝王賞へと駒を進めるものと思える。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。