ダート千四は負け知らず、アイアムアクトレス!《平林雅芳 3歳観戦記》

トピックス

日曜京都9R
昇竜S
ダ1400m
勝ちタイム1.22.8

アイアムアクトレス(牝3、栗東・長浜厩舎)

4コーナーではもう先頭に立ち気味のアイアムアクトレス。先行した内のクィーンオブライフコロカムイが押して押しているのに、持ったままの手応えだ。直ぐ後ろにいるシゲルソウサイの追撃が続く直線ではあったが、最後まで抜かせずにクビ差振り切ってのゴール。
これでダートは3戦3勝。その全てが1400での戦いである。初勝利時の凄い勝ちっぷりからダートはかなりの上手だとは思っていたが、ここまで強いとは!着差こそ少ないが、シッカリと勝ち抜ける地力。これからは距離との戦いが待っているのか…。

ダートの1400戦。全てが2勝馬であるだけに、人気は二分、三分された支持であった。この距離で2戦2勝のアイアムアクトレス。ヒヤシンス賞で2着同着だったシルクシュナイダーとシゲルソウサイ。この3頭が上位人気の馬であった。

芝からのスタート。ゲートを一番先に出たのは、芦毛のスノードラゴン。しかし外からコロカムイ、内からクィーンオブライフが前へと出て行く。シゲルソウサシがその後に続き、ヴォトレメイヤーが内、アイアムアクトレスがそのすぐ後ろの外めと続く。シルクシュナイダーも、今日はスタートを五分に出た。

芝からダートに替わったあたりで、今度はアイアムアクトレスがシゲルソウサイの前に出て3、4番手となり、馬群は3コーナーのカーヴへと向かう。3Fを34.6とまずまずの流れで進める前の2頭。僅かに内の分でクィーンオブライフが前に半馬身ぐらい出て、コロカムイが続く。そこから1馬身差でアイアムアクトレスが、内のヴォトレメイヤーと並び、さらに1馬身後ろにシゲルソウサイが続く。カラフルデイズがその後ろの内ラチ沿いを進む。馬群のちょうど真ん中あたりにはセイカプリコーンで、そこから2馬身ぐらい後ろにシルクシュナイダーが待機している形だ。もうここらではペースは落ち着いて流れている様子。

前のグループに動きはなく、後方のセイカプリコーンとシルクシュナイダーがやや位置を上げて4コーナーへと近づいて来た。馬群がかなり凝縮されて、一気に急接近する。アイアムアクトレスが前の2頭の外へと並び、むしろかわし気味だ。その外にシゲルソウサイが押し上げて来ている。

カーヴを回って、コーナーリングでまだ先頭がコロカムイだが、アイアムアクトレスの勢いが良く先頭に躍り出て行く。それを追うシゲルソウサイ。セイカプリコーンとタイセイファイターも続く。そして直後に、真っ白の馬体のスノードラゴンが続く。シルクシュナイダーはカーヴを回った時点で、また前の馬と差が出てしまった格好だ。

残り1ハロンを通過して完全にアイアムアクトレスが先頭で、1馬身もないぐらいの差でシゲルソウサイが迫って行く。その後は少し水が開きだして、セイカプリコーンにスノードラゴンだ。
完全に勝負は前の2頭のもの。逃げ込まんとするアイアムアクトレスにジリジリっと迫って行くシゲルソウサイの争い。
少しずつ差が縮まっては行くが、もうかわすまでの時間がないシゲルソウサイであった。

アイアムアクトレスがクビ差で押し切ったが、3着争いはゴール寸前にスノードラゴンが前に出て決まった。
最後の2ハロンが11.9~11.9の切れ味勝負。そこを少し前に位置していたとは言え、抜かせないアイアムアクトレス。
これでダート戦は負けなしの3勝目となった。シゲルソウサイも、やはり距離はこれぐらいの短い方が切れがいい。芝なみの時計の1.22.8で、牝馬のアイアムアクトレスがいよいよ足固めの感じであった。


土曜京都9R
こでまり賞
芝1200m
勝ちタイム1.08.5

ラインアンジュ(牝3、栗東・領家厩舎)

今回もゲートを立ち上がり気味だったが、中間の練習が利いたのか、直ぐに収まって事なきを得た。そんないいタイミングで出たラインアンジュ。直線入り口では中団の少し前の位置で、大外ではなく1頭分ぐらい内で待機。そこからカーヴを回って外に出して逃げ粘るオーラレガーレを、外から一気に差しての勝利。2着もマイネルロガールが差して人気馬の決着であった…。

まずは五分のスタートだったが、中からオーラレガーレが出て行く。内の馬を見ながらの先行。外からビービーマキシマスアスターヒューモアが付いてくるが、ジンワリとした感じで流れはユッタリ。やや頭の高い走りだが、オーラレガーレが前半3ハロンを34.6と、このクラスとしてはややユックリめの行きっぷりだ。

4コーナー手前では、オーラレガーレにアスターヒューモアとビービーマキシマスが並び加減となってカーブに入って来た。コーナーリングでまだ先頭オーラレガーレで直線へと向いて来た。内からハノハノがいい手応えで追走しているし、その後ろのエーティーガンダムも絶好の手応えだ。

馬群が真っ直ぐに見える直線となったが、まだ先頭はオーラレガーレ。何とか逃げ込まんとしている。残り1ハロンを過ぎても、まだ2馬身ぐらいの余裕だ。その2番手に、中からマイネルロガールが出てきたが、外にラインアンジュが勢いついてきた。
ゴールが近づくにつれて、段々とオーラレガーレの頭の高さが目立つ。外からラインアンジュの脚がいい。一気に前へと出て。最後はもう手綱を動かさずにじっとしたなりの岩田Jで、2馬身近いリードでゴール。2着も中のマイネルロガールが上がっていた。

4コーナー手前では、中団の真ん中ぐらいに位置していたラインアンジュ。枠順は大外から2頭めだったが、ここらでは最外ではなく、少しでも内めの意識か、外にも数頭がいるポジションだ。カーヴを回りきってから外へ出しての追い上げ。
最後の2ハロン11.4~11.2のトップスピードの処を、ゴール前ではもう抑え気味。かなり切れる脚を使っているのが判る。
デビュー戦といい、前走そして今回の切れ方を見ていると、1200がベターなのかも知れない。

火曜朝の取材では領家師は《次走は6月5日の阪神1200のあじさいS。川田Jを用意していますよ》との事。古馬混合戦よりも3歳どおしでの戦いを次走にセットしてある様子だ。490キロもある牝馬のラインアンジュ。《面白い馬がまだまだいます》そんな印象であった・・・。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。