ヴェアデイロス、着差以上の強い内容でデビュー戦飾る!

トピックス

日曜小倉5R
2歳新馬
芝1200m
勝ちタイム1.09.5

ヴェアデイロス(牡2、父サクラバクシンオー・栗東・佐々木晶厩舎)

圧倒的人気のカジキが先手を取って行く。軽快な逃げで押し切ったかと思えたのだが、1ハロンを半分を切ったあたりでリードがなくなり、追い込んできたヴェアデイロスに捕まった。
猛追してきたのは同じくサクラバクシンオーを父に持つヴェアデイロス。男馬ながら416キロと小柄な体だが、切れはなかなか。鞍上の佐藤哲Jが残り1ハロンあたりで左ステッキを1発、そして並ぶ前にもう1発入れて、最後の伸びでかわしきったもので、最後はやや流し気味のゴール。着差は1馬身に満たないものだが、もっと差のあるような勢いを感じたものであった…。

スタートは、カシノアポロンが一番速かった。その向こうのコウエイサツマとヴェアデイロスも差がなく続く。ひとタイミング遅かったカジキ。少し鞍上が押して前へと出て行く。
カジキが単独で先頭に立ったのは2ハロンを過ぎたあたり。それまでコウエイサツマも先手を行く構えを見せて少し並んでの先行となっていた。この間の2ハロンが12.3~10.6とやや入りが速かった。3ハロンを通過した時が34.0とソコソコの流れだ。3番手にカシノアポロンとヴェアデイロスが差なく続く。
4コーナー手前の残り2ハロンの棒を通過の時には、カジキとコウエイサツマがまた並び加減でカーヴへと入って行った。その時すでにヴェアデイロスはコウエイサツマの1馬身後ろに位置している。
直線に入って、どうにかカジキがコウエイサツマを振り切って、先頭に立ったのもつかの間。外からヴェアデイロスの脚がいい。1ハロンを過ぎて何とか逃げ込まんとするカジキだが、追う方の脚色が良く、ヴェアデイロスがかわしたところがゴールであった。

最後の1ハロンが12.4とややかかった格好だ。やはり前半を楽に行けなかったカジキには辛い流れとなった模様。
ヴェアデイロスは、好発から少し控える形にもなって理想的な流れ。直線も良く反応してくれて、デビュー勝ちとなった。
3着には、4コーナーで前から少し離れた5番手のインにいたネオヴァンクルが終いを生かしてきた。
ほとんどが前々で決まった形の中で光る脚でもあった。ヴェアデイロスは小柄な男馬だけに、今週はゲート中心の仕上げであった。母系にサンデーサイレンスが入る血筋。しかし今年はこの勝負服が良く新馬勝ちをしているのに気が付く。好素材が多い様だ。


日曜函館5R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.52.1

ヒーラ(牝2、父ディープインパクト・栗東・森厩舎)

東西のディープインパクト産駒の対決ムードそのままの結果となった新馬戦。ディープインパクト2世代目の初勝利となったのは、416キロの小柄な牝馬のヒーラの方。1番人気のアーデントは4コーナーで馬群を抜けるのに時間がかかり、脚を使うのが遅かった分の負け。でもキッチリと結果を出したこの2頭、これからも長い戦いが続くものであろう…。

《細胞が熱烈な方》を負かした様だ。馬名の由来である。JRAの馬名の意味で調べたのだが、《ヒーラ》とは理系の人なら知っている有名な単語であり、不滅な、便利ないい最近の様だ。
さて新馬戦の話に戻そう。やはり長い距離だけに、ジワッとした流れは予測どおり、1000メートルを1.02.7とゆったりした展開に持って行ったのがヒシタイヨウであり、2番手アドマイヤシャドウとゆったりと進めていた。当然、後続馬も離れずに追走。
3コーナーでは、前から7頭目ぐらいに並んでいたアーデントとヒーラ。枠順どおりにアーデントが内。しかしほとんど前から離れてはいない。
4コーナーのところで先に動いたのが、ヒーラの方。先頭に立ったアズマターフィーの外へ、一気に出て行き並びかけてカーヴを回った。逆にアーデントの方が、前の馬群がちょうどふたをする形で何もできないで、そのままの位置でカーヴを回る。

直線に入る時には先頭となったヒーラは、そのままゴールを目指す。内で粘るアドマイヤシャドウ。アズマターフィーも頑張っている。
回り切ってから外へ出す事が出来たアーデント。もう相手はかなり前へと行っている。とても届かない差であった。
しかしアーデントも只者ではない。仕掛けられると加速して、前の馬たちを一気に抜いて行く。あと2完歩分ぐらい時間があったならと思わせる脚。
2馬身近い負けとなっが、脚は見せたアーデント。熱烈な脚は使った。ヒーラは鞍上の好判断で早めの仕掛けが勝負を分けた様子だ。

ヒーラは、私が函館の開幕週にお邪魔した時には、すでに角馬場で姿を見た馬である。森厩舎としては珍しく現地に早くから入っての仕上げ態勢。小柄な牝馬という事で、機動力も抜群なのであろう。対してアーデントも、同じころから美浦でやっていた馬で、調教量はこれも満足できるものだった様子。
今回の勝敗の分け目は4コーナーに入る時の判断ひとつであり、あそこで勝負に出た四位Jに軍配が上がったもの。これから何度もぶつかる事はあろう2頭であるはずで、今回はヒーラが先着したと言う見方でよかろうと思う。
そこから3着には2番手を進んでいたアドマイヤシャドウが粘っていたが、2着から5馬身の差をつけられていた。何せ1,2着馬ばかりが下馬評どおりに目立った新馬戦であった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。