-北九州記念-平林雅芳の目

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日曜小倉11R
北九州記念(GⅢ)
芝1200m
勝ちタイム1.07.2
勝ち馬
トウカイミステリー(牝5、父キングカメハメハ・栗東・安田隆厩舎)

※※短距離馬王国!安田隆厩舎・トウカイミステリーが勝利!!

メモリアルイヤーが先に出て、それをかわしてテイエムオオタカが行く流れ。2ハロンめは10.0ともう少しで9秒台突入。3ハロン通過が32.4。競りこそはしてないが、総じて速い流れを演出の2頭は、その後も4ハロン通過を43.5。直線でもテイエムオオタカは粘っていた方だが、苦しくなって外へもたれてもいた。そのアオリをやや喰った感じは、2着のエーシンリジル。スムーズならもっと際どかったかも知れない。
そんな内のゴチャつきをよそに、外めをトウカイミステリーが抜けてきた。52キロの軽量もあるが、早めの入厩で馬体も維持。元々ケイコを抜群に走る馬。そしてこの勝利で、安田隆厩舎はダッシューゴーゴー、カレンチャンに次いで短距離戦での重賞制覇。
勢いはとどまるところを知らない、これからも続くスプリント路線。新しい悩みが出てくるだろう安田隆厩舎のひとり勝ち、そんな感じも覚えた夏の韋駄天合戦ではあった…。

やはり48キロの軽量は速い。メモリアルイヤーは開いた瞬間に出ていた。メモリアルイヤーが出て行った後をヘッドライナーの方が前だったのだが、テイエムオオタカ、そしてテイエムキューバとダッシュがついて前へと出て行く。エーシンヴァーゴウもそれらに負けじと上がって行く。
1ハロンを過ぎて、先頭は内からテイエムオオタカが出た感じだが、メモリアルイヤーも食い下がって行き、3番手にエーシンヴァーゴウが続いていく。
2ハロンを過ぎたあたりでテイエムキューバがやや置かれ気味になって下がり出す。ヘッドライナー、シゲルキョクチョウで5、6番手である。タマモナイスプレイがその後に続く。直後の内めにエーシンリジル。その後も数頭が団子状態で続く。

3ハロンを通過の時には、また外メモリアルイヤーが前へと出ようとするのか、もう一度踏み込んで行く。3番手エーシンヴァーゴウには絶好のポジション。前の2頭から2馬身差の後ろ。そこからまた2馬身ぐらい後ろにヘッドライナーだが、追いどおしである。
残り2ハロン棒の標識がある4コーナー手前では、先行する2頭の外へ出したエーシンヴァーゴウで、直後がヘッドライナー。その内へ潜り込んできたエーシンリジルが上がって来ている。
先行する馬が内で追い上げる馬がその外へと順々に並ぶ扇型の格好となった7頭が、カーヴを回ってくる。少し空いた後ろにはスズカコーズウェイが外、その内をトウカイミステリー、一番内へスカイノダンと、前から3~4馬身差まで中団馬群の馬も急接近してきた。

直線に入ってきて、まだ内で先行馬が粘っている。テイエムオオタカの外めにコーナーリングでエーシンリジルが上がって来ている。その少し外にエーシンヴァーゴウだ。半馬身後ろの外にヘッドライナーがいたが、その後ろからタマモナイスプレイとの開いたところから、トウカイミステリーがいい感じで伸びて来ているのが見えた。
前はエーシンヴァーゴウが中から出かかる。内ではテイエムオオタカが外へとヨレ気味となって、ちょうど上がって来ていたエーシンリジルが、一瞬ヒルむ感じを見せる。しかしまだその3頭が勢いが残っていて、ゴールへと向かって最後の伸びを見せている。
と、ヘッドライナーの外からトウカイミステリーが、北村友Jの左ステッキが大きく回って追い出されて、前を全部抜いて一番前へと出たところがゴールであった。
2着には、内からエーシンリジルの方が前、エーシンヴァーゴウは僅かに遅れての3着であった。
逃げたテイエムオオタカが4着。ヘッドライナーが5着となった今年の北九州記念であった。

11.8~10.0~10.6の、前半3ハロンが32.4の猛ラップを踏んでいったテイエムオオタカとメモリアルイヤーの造ったペースである。その後も11.1~11.4と、1000メートル通過が何と54.9である。新潟の直線1000競馬でもかなり速いランクに入るタイムだ。
それを行って粘ったテイエムオオタカ、55.5キロの斤量を背負って踏ん張ったエーシンヴァーゴウ。53キロと内々と経済コースを通ってきたエーシンリジル。直線でテイエムオオタカの張りがなければと惜しまれたもの。
しかし何と言ってもトウカイミステリーだろう。52キロの軽量もあるが、早めに現地入りしての馬体増。元々ケイコでは目を見張るほどに動く馬だったが、芝でこれだけの芸当をする様になるとはである。見事大輪を咲かせた感じであった。
3コーナーから4コーナーで外を回らない様に、多少内へと進路を取れてきたのも良かったはず。全てが上手く行くから勝利なのであるが、お見事なレースぶりであった。

それにしても、安田隆厩舎の勢いはとどまるところを知らない感じである。勢いがある、そんな夏であった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。