2歳馬らしからぬ競馬!ゴールデンムーン差し切る!!

トピックス

土曜小倉5R
2歳新馬
芝1200m
勝ちタイム1.09.4

ゴールデンムーン(牝2・父アドマイヤムーン・栗東・須貝尚厩舎)

ゲート・オープンした時にはどの馬よりも後ろになっていたゴールデンムーンだが、その後の追い上げは速く中団ぐらいを進む。4コーナー手前では好位の内め。そこから直線では馬込みの中を進路を探すぐらい。少しの隙間から脚を伸ばしていった。勝利の体勢に入っていたビキニブロンドを差し切ったもの。古馬の様なレースぶりで勝利したゴールデンムーン。アドマイヤムーン産駒はなかなかである…。

真ん中からカシノチャームと、その内のオレニホレルナヨの2頭の出が速い。2頭が競るのかの勢いだったが、オレニホレルナヨの方が引いて、カシノチャームの先手で行く。少し速い流れで進んで行く。ビキニブロンドは5番手ぐらい。後ろから馬群の中を上がって行くのがゴールデンムーン。向こう正面では中団ぐらいまで進出して行く。
3コーナーを過ぎて軽快に飛ばすカシノチャーム。オレニホレルナヨもまた接近していく。4コーナーまでの中間では、外めをエリアコンプリートが追い上げて行く。ビキニブロンドの少し後ろにゴールデンムーンも取り付いてきている。
4コーナーを回って、オレニホレルナヨが前に出て行くが、ビキニブロンドの方が伸びがいい。しかしその後ろをゴールデンムーンが、ビキニブロンドの外が少し開いた途端に出て追いかけてきた。ビキニブロンドがもう少しでゴールへと入るかと思える時に、ゴールデンムーンの勢いが優り外を通過して行った。

ゴールデンムーンは、4コーナーで内めの6番手ぐらいまで上がってきて、脚を貯めていた。しかし外のメイショウヒショウがちょっと内へと入った感じがあり、それを一瞬気にして馬自身がひるむ様な仕草。瞬間的に遅れた感じもあった。
直線に入った時には、内めで前からもまだ間があったが、少しの隙間をみつけて出てきた。武豊Jのステッキが飛び追い出しにかかると、いい伸びをみせて前を追いかけていった。
最後は手綱だけで押してキッチリとかわしてのデビュー勝ち。なかなか渋い勝ちっぷりでもあった。
前半3ハロンが33.9と新馬戦にしては速い流れにもなって、先行馬には辛い流れ。オレニホレルナヨ3着で逃げたカシノチャーム4着も仕方ないだろう。

須貝尚厩舎は、函館と新潟で新馬勝ちを2頭。そして小倉では先週のマコトリヴァーサルに続いてこのゴールデンムーンの勝利と、2歳馬4頭がデビュー勝ち。質のいい2歳馬が揃っている様子だ。
まだまだこれからも目が離せない厩舎でもあろう。


日曜小倉5R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.52.3

カイルアロマンス(牝2・父デュランダル・栗東・森厩舎)

レースの前半を造った馬が直線では脚も止まり、10頭ぐらいがひしめくあう大混戦。そんな大混雑のなか、馬場の外めを終い一気に伸びてきた4頭がゴール前を賑わす。外から2番目のカイルアロマンスの伸びがなかなかで、脚色が違う伸び。4頭で一番内のスタリアも負けじと伸びてきたが2着。最外に進路をとったハンズアップが3着。1番人気のメイショウブシドウは伸びが思いのほかで4着であった。勝ち馬から4着までがクビ・クビ・クビの大接戦であった…。

前半から出て行ったのがジョウショーキング。それを1コーナーでは外のトップイージスがかわそうかの勢いで行く。コスモブジーが続きピコピコハンマーサンライスシャトーと差なく行く。メイショウブシドウは中団ぐらい。少し外目に位置している。
2コーナーからはペースも13秒台を3回マークとゆったりと流れていく。向こう正面では、逃げるジョウショーキングの内からサンライズシャトーが顔を覗かせていく。2頭が並び加減でいく。少しピッチが上がるのかと思うが、また落ち着きだす。後続馬も一団となって追走していく。

3コーナー手前では、後続馬が先行馬に接近する。ここらではメイショウブシドウも馬の中を仕掛けて上がって行った。
4コーナー手前では、後続馬がドッと近づき、外を回って順位を上げて来たカイルアロマンスの勢いが目立つ。
カーヴ手前ではトップグループは4頭が並ぶ。その直後をメイショウブシドウ、カイルアロマンスらが、好位を悪くない手応えで待っていた。

直線に入った時にはサンライズシャトーが僅かに先頭で、1馬身ばかり前に出ていたが、後ろ13頭ぐらいがほとんど一団となってひしめく。しかし外めの馬の伸びが目立つ。メイショウブシドウ、その外をカイルアロマンス。ハンズアップが外でそう差はない。ワンテンポ遅れて、内でスタリアが伸びてきている。
勢いづいて追っていく4頭が、馬場の外めをひしめく。そのなかでもカイルアロマンスの勢いがやや優る。逆にメイショウブシドウの伸び具合がそれ程でもない。内へ入ったスタリアの伸びもなかなかだ。

そしてゴール。カイルアロマンスがクビ先に入っていた。カイルアロマンスにしても2着のスタリア、また3着ハンズアップも、向こう正面ではメイショウブシドウの後ぐらいの位置であった。そこらが絶好のポジションだったのは歴然。そして3コーナーから外めを上がって行った時のカイルアロマンスの行きっぷりには目を見張るものがあった。

終わってみれば1、2着ともに牝馬。切れの面で勝っていた感じでもあった。火曜朝に馬上の小牧Jに声をかけたのだが、彼は《思っていたイメージとまったく違っていましたよ~》とケイコの感触はうるさい馬の感じがあった様子が、レースではむしろまったく正反対なパフォーマンスだったようだ。
函館の1800といい小倉の1800といい、森厩舎の牝馬が制した。それも悪くない内容である。今年は注目の2歳馬が多い様子だ。


土曜札幌5R
2歳新馬
芝1500m
勝ちタイム1.30.7

オメガホームラン(牡2・父ダイワメジャー・栗東・安田隆厩舎)

函館戦でもなかなか逃げ切り勝ちを見なかったが、札幌と場所は替わってもその傾向は変わらない新馬戦の勝ち方である。好位で脚を貯めていたオメガホームランが、直線では手応えどおりに脚を伸ばしての勝利であった。最後の上がり3ハロンが11.9~11.8~11.7と切れが要求される競馬となり、2着にも勝ち馬の後ろの内でじっとしていたマイネルバウンス

好発で最内のシゲルマンゴーに次いで2番目に出たオメガホームランだが、その後はじっとして5番手の位置と、外から行く馬を行かす競馬をする。その前は、シゲルマンゴーをかわして行ったジュドポーム
2コーナーを過ぎたあたりからやや馬自身が行きたがったのか、前をかわして行く。その後もグインネヴィアオナーコードと前へ前へと出て行く。最初のカーヴを回るあたりから少し外めに逃げそうな格好をしていたオメガホームランだが、矯正できる範囲。そのまま5番手の内めでじっと我慢させて、4コーナーまで来る。
最後のカーヴを回る時には、その前の馬も2頭だけ。先頭はジュドポームで、2番手にグインネヴィアが上がり、馬体を合わせに行っていた。オナーコードの内にスッと入ってきて3番手の絶好位を決めたオメガホームランが、カーヴを回って直線へと入ってくる時には、先行する2頭の外へと出してきた。

直線、残り1ハロンぐらいで前2頭を抜くあたりでは、左ステッキを2発程入れてゴーサインを出した横山典J。その後は左手に持たれたままで微動だにしない。ゴール前30メートルぐらいはもう流し気味で入った。

2着にも、そのオメガホームランをマークする様な位置でレースを進めたマイネルバウンス。直線に入ってくる時も、カーヴを小さく回って内めを通過。そこから前を行くオメガホームランの後を追う様に伸びてきた。なかなかいい脚を使ったのだが、前に届くまでの勢いではなかった。
3、4着には、途中から2番手でレースを進めたグインネヴィアが3着、先行したジュドポーム4着であった

ゴールまでの最後3ハロンが尻上がりに速くなるペース。そんな切れに切れている状況でも、ほとんど最後は馬なりに近い感じでフィニッシュをしたオメガホームラン。人気どおり抜けていた存在だった。
そしてここでも新種牡馬ダイワメジャーの産駒。またまた楽しみな馬が出てきた。この後も注目の馬であろう。


日曜札幌5R
2歳新馬
ダ1700m
勝ちタイム1.49.9

チェスナットバロン(牡2・父フジキセキ・栗東・村山厩舎)

4コーナーを回る時の手応えも、ミレニアムゴールドがかなり良く、それまでのロスのない福永Jの騎乗ぶりからも勝利を確信したもの。しかし好位の5番手でミレニアムゴールドの真後ろを追走していたチェスナットバロンの伸びが優る。やや大きな飛びながら、ミレニアムゴールドをキッチリと差し切ってのデビュー勝ち。セレクトセールでも3300万とけっこうな値段での購入。いきなりから結果を出した競馬内容であった…。

道中では、14.1とかなり遅いラップをマークするユッタリな流れで進んだ新馬戦。そんな先行馬ペースに上手に乗ってきていたミレニアムゴールド。
4コーナーを回る時には外めを先頭に出たミレニアムゴールド。そのまた外へ、向こう正面から追い上げて脚を使ってきていたエリクサーが、一気に来ていた。それを従えて直線に入ってきたが、脚色からもすっかり勝ちパターンに見えたミレニアムゴールドだった。
しかしエリクサーはその後に伸びを欠き、代って追いこんできたのがチェスナットバロン。1番人気のミーシャレヴューではなく、546キロの巨体チェスナットバロンであった。
フットワークも大きい馬だがジワジワと詰寄り、最後はクビの差でチェスナットバロンがデビュー戦を制した。勝ち時計の1.49.9は、流れがスローだっただけに仕方もあるまい。レースの上がり3ハロン自体が36.6とけっこう速いものである。勝ち馬で36.3といい切れ味を見せていた。
3着に入ったのミーシャレヴューは、前の2頭から3馬身の差だけに完全に今回力負け。ややゲート入りでも手こずっていたし牝馬のデリケートさも出ていたかも知れない。

チェスナットバロンは、函館で入厩した馬。追い切りの度に丸山Jが乗って仕上げてきた様子。一杯にやったのが今週だけで、後は馬なりでの調整。大型ながら仕上がり具合も良かった様子で、いきなりから結果を出したものだ。
ミレニアムゴールドは火曜朝に池江師に窺うと《4コーナーで蛯名Jの馬が仕掛けてきていたし勝負どころ、少し早く出てしまったかも知れません。でも悪くない内容でした》・・・と言っていた今年の2歳の初陣となったこのミレニアムゴールドだがまずまずの感触だった様子だ。


日曜札幌6R
2歳新馬
芝1800m
勝ちタイム1.52.0

ベストディール(牡2・父ディープインパクト・美浦・国枝厩舎)

逃げたドリームキャプテンの2番手を進んだベストディールが、直線1ハロンを過ぎて残り50メートルというあたりで、蛯名Jのステッキに反応して伸びた。上がり3ハロンが34.9の、完全に前残りの流れ。
惜しかったのが1番人気のストローハット。インで脚を貯めていて、後は直線で爆発という手応えだったが、さすがにスローだけに直線で隙間がなかなか出来ず。スペースが出来て前を向いて伸びた時には、もう遅い時間帯。でも伸びはなかなかであった。さすがに札幌の好メンバーが揃った一戦であった…。

スタンド前からのスタート、外めの馬の方がやや速くスッと前へと出て行く。ドリームキャプテンが内へ切れ込んで先頭へ。素早く蛯名Jベストディールがついて行く。内めではストローハットも悪くない位置ではある。
その前にセイクレットレーヴが入って、最初のカーヴを回っていった。逃げるドリームキャプテン、2番手ベストディールで3番手にインザライフ。その後にセイクレットレーヴが内で4番手、外をタガノレイヨネ。その後ろの内めをストローハットという順番で、2コーナーを回って行く。
向こう正面に入っても、流れは淡々と進む。3コーナーに入って行ったが1000メートル通過が1.04.1と、完全に前残りの流れとなっている。3コーナーを過ぎてややピッチが上がって行く。

4コーナーまでの間に、馬群はよりコンパクトとなって行く。こうなると外を回る馬よりも内々を進んでいた馬が有利。逃げたドリームキャプテンはともかく、直後のセイクレットレーヴ。そこからまた1馬身差でストローハットのラチ沿いを進んだ馬が、直線でどれだけ弾けるのかも興味ある。
先頭にベストディールが並びかけて、最後のカーヴへと入って行った。馬体を少し離して回ったベストディール、先頭のドリームキャプテンになかなか並べていけない。ここらは11.6のラップを刻んでいる時である。
ドリームキャプテンがトップスピードに入って行った時だ。残り1ハロンを切ったあたりで、やっとベストディールが馬体を並べた。その後ろではセイクレットレーヴとタガノレイヨネも合わせる形で前を追う。さらにその直後の内めにストローハット。手応えは抜群なのに、前が開かずに出て行けない感じだ。

ドリームキャプテンを抜いて前へと出だしたベストディール。蛯名Jの左ステッキが飛んで、最後のフィニッシュだ。半馬身、1馬身。さらに広げてゴールへと真っ先に入った。後ろではやっと外へ出れるスペースを確保したストローハットが矢の様な伸びを見せる。しかし前の2頭とはかなりの差があった。ドリームキャプテンに半馬身差まで詰め寄ったところがゴールであった。

ゴール前最後の1ハロンが11.2のスピード。さすがにこれを抜き去るのには相当なる脚を使わねばならない。ストローハットの伸びは目を見張るものであったが、道中がもう少し前の位置で競馬出来ていられたら、4コーナーから直線に入ってもう少し早く前が開いたら、そして最後が12.0ぐらいかかっていれば・・と思える脚色ではあった。

勝ったベストディールは、完璧な競馬での勝利。逃げたドリームキャプテンも全能力発揮であろう。3着ストローハットだけが惜しまれる競馬内容。でもこの馬の事は記憶に残った。次はアッサリと勝ち上がって、どこかでステークスへと出てくる馬であろう。
ディープインパクト産駒の勝ち星最初の関東所属馬である。関西でもヒーラ、そして日曜1Rのレーザーインパクト。計3頭の勝ち上がり。馬格も454キロと理想的な体型。競馬巧者のイメージで初戦を勝ち上がった。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。