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-ローズS-平林雅芳の目
2011/9/20(火)
日曜阪神11R
ローズS(GⅡ)
芝外1800m
勝ちタイム1.48.1
ホエールキャプチャ(牝2、父クロフネ・栗東・田中清厩舎)
※※ホエールキャプチャ、秋初戦を粘っこい勝利で滑り出しOK!
パドックで見ていても、マルセリーナ16キロ増。エリンコート14キロ増が別段太くも感ぜずであった。むしろドナウブルーが《いい体になったな~》の印象。ホエールキャプチャが、《入れ込むちょっと前ぐらいのやや高いテンションかな》と思えたぐらい。内ピッタリを回って、直線でもロスのない最内からの競馬で前哨戦を完封したホエールキャプチャに対して、マルセリーナの伸びのなさ。エリンコートは、全く反応さえしてない感じに見受けられた。
秋が深まっていって、果たして本線モードになってくるのだろうかと、この一戦だけで危惧してはいけないのだろうが、フト思えたものであった…。
固唾を飲んで見守っている4コーナーから直線入口。いわゆる勝負所である。春のイメージでどうしても見ているだけに、そこから各馬が自分の武器を発揮して伸びてくるものと思って観ている。それを思いっきり裏切ったかの様なマルセリーナ。4コーナーで内へもたれてしまって、一旦伸び脚が止まりかけたドナウブルーに最後は差されてもいたのである。
これが、あの桜花賞でモーゼの如く馬群の波を割って出てきたマルセリーナとは思えなかった。
そしてエリンコート。こちらは早々と4コーナー入り口あたりで、もう手応えがなかったぐらい。
マイネジャンヌが逃げ、ホエールキャプチャが2番手。この流れ、ポジションを誰が予測しただろうか。マルセリーナ3番手。その後ろにエリンコートがいる前半から坂の下りまでの位置取りだ。
前半3ハロンが36.7。1000メートル通過が1.01.7と、予測以上に遅い流れとなっている。だから主力馬のジョッキーの判断は、すこぶる当を得ている乗り方だろう。ほとんど前の馬の位置取りが変わらないままに、4コーナーまで来ている。後続馬が追い上げてくるのは当然で、キョウワジャンヌとビッグスマイルが押し上げてきて、直線入り口ではその前の4頭に迫る位置となっている。
生垣を過ぎて、内回りのカーヴを過ぎるあたりでも、まだ追い出してないマルセリーナとホエールキャプチャだが、エリンコートはここではもうステッキが入っている。
残り300メートルのオレンジ棒を過ぎるあたりで激しく動きが出る。マイネジャンヌの内を抜いたホエールキャプチャが、スルっと一番前へ出る。マルセリーナがマイネジャンヌを抜こうかという時には、外にキョウワジャンヌとビッグスマイル2頭が並んで襲いかかってきた。
ホエールキャプチャは、もう楽勝パターンで前をドンドンと差を開いていく。キョウワジャンヌとビッグスマイルが2着争いかと思えた瞬間に、外から一気にマイネイサベルが凄い脚で抜き去る。
内ラチ沿いを最後の締めでステッキを入れて叱咤激励をしていたホエールキャプチャにクビ差まで迫るマイネジャンヌの勢いであった。しかし内でチラッと外を見ていた池添Jの仕草は、もう完全に勝ちを意識している風に見えたものでもあった。
逃げたマイネジャンヌの和田Jのコメントでは、終始物見をしていて内を少し開けながらの先行だった様子。だから、直線入り口から最内をホエールキャプチャにいとも簡単に内を抜かれたようだ。4コーナー2番手のマルセリーナも最後の1ハロンからは伸びあぐねている。
逆に直線1ハロンからは、キョウワジャンヌとビッグスマイルが臆せずにジワジワと伸びて行っていた。しかしそれらをも上回るマイネイサベルの伸びである。直線に入って来た時にはメデタシの内にいたマイネイサベルである。やや前が窮屈で少し待っているぐらいのシーンもあったぐらいである。少し前に進路が出来てからの進出。だいぶロスタイムもあった様に思えるマイネイザベルだ。それでなお、最後はホエールキャプチャにはクビ差まで迫っている。キョウワジャンヌとビッグスマイルの粘っている脚色とはかなり違う脚色であった。
そしてドナウブルー。あの4コーナーで追い出す前に内へもたれてしまっていた。そこのラップは10.9と一気にペースが速くなっている時。もたれていて追い出すまでの《間》があったのが惜しまれる。でも確実に馬体がボリュームが出て、パワーアップを感じるもの。
それにしてもエリンコートが4番手を進んでいながら伸びあぐね、マルセリーナも意外と伸びがなかった。やはり数字面が物語っているのだろうか。
それにしてもホエールキャプチャは競馬が上手い馬だという印象を受けた。このメンバーに、北海道で復活したアヴェンチュラを加えた秋華賞での戦い。池添Jの選択はホエールキャプチャだった様子。
トライアル戦では、その思惑も当然と思わせる、完封したローズSの着差以上のホエールキャプチャの勝利であった。
平林雅芳 (ひらばやし まさよし)
競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。
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