ヴィットリオドーロ、マッチレースを制して快勝!!

トピックス

土曜阪神5R
2歳新馬
ダ1800m
勝ちタイム1.56.5

ヴィットリオドーロ(牡2・Medaglia d`Oro 栗東・池江厩舎)
※ヴィットリオドーロ、マッチレースを制して快勝!!

たった6頭立てのダート新馬戦。外国産馬が2頭の出走だったが、その1頭のメダリアドーロの子供ヴィットリオドーロが、逃げて粘るカレンシュガーレイとのマッチレースを制しての新馬勝ち。2頭で後続を引き離したものだが9馬身差がすべてを物語っていた…。

ダートの1800戦だけに、500キロを超える大型馬が6頭中3頭も出ていた。最軽量がカレンシュガーレイで456キロ。
そのカレンシュガーレイがゲートを真っ先に出て行き先頭。外国産馬の1頭スノーウエーブが2番手、そのすぐ後をヴィットリオドーロが続く流れ。小頭数だけにそう隊列も離れずに進む。前半3ハロンを39.3とかなりユッタリな流れも当然だ。
向こう正面半ばで2番手スノーウエーブがやや脱落気味で、もう2番手にヴィットリオドーロが上がる。逃げるカレンシュガーレイに1馬身差もないぐらいに接近。その直後にビッグファイアも位置を上げてきて外へ並びかける。
3コーナーへと向かって行くが、終始最後方のエイユーミラクルだけが3馬身後ろで、後の5頭はほとんど差がなく続く。1000メートル通過が1.06.0のかなりユッタリなペースだ。
4コーナーへと向かって行くが、少しピッチは上がって逃げるカレンシュガーレイと追走するヴィットリオドーロ以外は、やや手が動き出す。それでも5頭が2馬身ぐらいの間で4コーナーのカーヴへと入って行く。

先頭のカレンシュガーレイの方がコーナーリングが上手くない感じで、むしろ外のヴィットリオドーロの方が上手く回っている。
カーヴを回った瞬間に後続とは差が開いた。先に追い出したのが外のヴィットリオドーロの方。
川田Jのステッキが飛ぶ。馬体を並ばれたカレンシュガーレイだが、それでもまだ半馬身ぐらいは出ていた。手綱で押して促して残り1ハロンを迎える。もう後続はうんと後ろに離れてしまって2頭のマッチレースとなっている。カレンシュガーレイにもステッキが入って応戦するが、段々と脚色が外のヴィットリオドーロの方が上回ってくる。半馬身、1馬身と差が開きだしていって、2頭の決着にも差が出てのゴールとなった。
3着は、カレンシュガーレイから9馬身も離されてスノーウエーブが、内から一旦出かかったジョウショウサニーを外から抑えて確保していた。

ヴィットリオドーロはセレクトセールでの購入馬で4000万である。この父からはけっこうダートで活躍している産駒を見る。
馬連220円が示すとおりに2頭のマッチレース様相だったが、それを制したヴィットリオドーロ。追われてなかなか渋い馬である。まずは初戦を手堅く勝利。そんな印象であった。
2着カレンシュガーレイも、負けはしたがすぐに勝利も来るだろうし、またの再戦を楽しみにしたい2頭であった。


日曜阪神4R
2歳新馬・牝
芝1200m
勝ちタイム1.10.5

ディザイラブル(牝2・父タニノギムレット・栗東・清水久厩舎)
※《価値のある》最後の伸び、ディザイラブルが初陣を飾る!

新馬戦にかぎらず、返し馬を見るとけっこうその馬の雰囲気、特徴が少しは判る気にもなるものである。いい感じの馬が意外と硬い歩様を見せたり、ややテンションが高いなと見ていた馬が、返し馬の入りが良く、結果もやっぱりいいものを出す、なんてシーンに何度もぶつかる。返し馬の入りを見るのが意外と馬券に直結するかも知れないと感じる最近である。
ここもディザイラブルとパーティブロッサムの2頭に思わずメモ帳に○をつけた返し馬であった。そして先に抜け出すパーティブロッサムを、ディザイラブルが最後の右ステッキで2発でハナ差交わしての勝利であった…。

前半3ハロンが35.2、レースの上がり3ハロンも35.3と、ほとんど前後半が変わらない様な平均ペースの流れであった。メイショウハチドリが逃げニホンピロシトリンが2番手だが、その2頭がほとんど馬体を並ばせて造った流れである。並んで行ってはいるが、そうは速くもないだけに、後続も楽について行けていた。
4番手の外めにパーティブロッサムがつけて、そのすぐ後ろの内めをディザイラブルがつける位置取りで4コーナーまで進む。カーヴを回ってもまだ前の2頭は並んではいたが、後続の脚色が良く、パーティブロッサムがその2頭の外へと進出して行く。
内でフラつくニホンピロシトリンを後目に先頭に立っていくパーティブロッサムだが、まだ追ってはいない。その後ろの外をディザイラブルが迫って行く。追い出したパーティブロッサムで1馬身からもう少しは前に出ただろう。やや進路を内めに取って行く。その外を追うディザイラブル。内と外と離れての追い合い。
まだそんなに際どくは接近してない2頭。もう後続からは迫ってくる馬はいない。逃げ込みを図るパーティブロッサム。ゴールがどんどんと近づいてきた瞬間に外ディザイラブルの伸びが優って《並んでゴールイン》のアナウンスと共に入って行った。ハナ差先んじていたのが、外のディザイラブルの方であった。

パトロール・ビデオで見ると、パーティブロッサムは3コーナーでやや外へ少し逃げ気味とか、4コーナーでもあまり上手くないコーナーリングであった。もっとも勝ったディザイラブルも、直線半ばではやや外へ逃げ気味なところも見せていた様に見受けた。それを矯正してからの追い出しでもあり、最後のステッキでキッチリと交わしきったのであるから切れ味はなかなか。
馬名の意味は《価値のある、魅力のある》とあったが、なる程と思えるディザイラブルの勝ち方であった。


日曜阪神5R
2歳新馬
芝外1600m
勝ちタイム1.37.0

ヒシワイルド(牡2・父ゴールドアリュール・栗東・河内厩舎)
※切れはなかなか。ヒシワイルドが新馬戦を飾る!!

パドックで可愛い声がかけられた。《アンドウさ~ん!!・・・》とおそらく小さな子供さんたちの黄色い声の合唱であろう。思わず馬上の安藤勝Jもその声の方を見ていた。
そんなほのぼのとした雰囲気のパドックから馬場へ出て返し馬に散っていった各馬。その中で先ほどは《馬っ気》を出していたヒシワイルドが、まったく雰囲気を換えて、なかなかの返し馬のキャンターである。思わず父親を確認する。《そうか~、ゴールドアリュール・・か》と。《芝ではね~》の気持ちが少なからずあった。
そしてレース、直線、安藤勝Jプレザントライフの外から内の馬たちを押しこめる様な勢いで伸びてきたのがヒシワイルド。まったく勢いが違っていた最後の1ハロンではあった…。

4コーナーを回って、外コースの生垣と内回りの生垣の間の空間でアクシデントがあった。逃げていたトーワオモカゲの後ろを追走していたマイネルバルビゾン。そしてショウナンラムジの3頭が、1頭が内へと逃げ気味になったのにつられて同じような行動を起こしてしまっていた様にパトロールビデオでは感じた。いわゆる内へと逃げ気味になってしまった様だ。そのロスタイムの間に後続がドッと接近して前へと出て行ったから、この3頭はもう競馬にはならなかった。
外めでも違うアクシデントがあった。先頭に立ったカネトシカトリーヌが外へともたれ気味となって、大外から来ていたヒシワイルドとその間を伸びようとしていたプレザントライフが一番の不利を受けた様に見受けた。

ヒシワイルドは、道中は後ろから2頭めぐらいの位置。ややスタートが良くなかったもので、この位置も仕方なし。逃げたトーワオモカゲが造ったペースは1.02.2とやはりユッタリ。マイネルバルビゾンとマイネルヴォヤージ、そしてショウナンラムジが好位でのポジションとなっていたもの。
アリスマインの内にいたのがカネトシカトリーヌで、その後ろの外めにプレザントライフが追走しての3コーナーの下りであった。

4コーナーを回ってきて完全なる追い合い、決め手の勝負となった訳だが、その中からカネトシカトリーヌが勢い良く出て行っての1ハロン過ぎ。そこをプレザントライフとヒシワイルドの2頭が外から並んで追いこんできたもの。その2頭では、ヒシワイルドの方が勢いで勝り、真ん中のプレザントライフが絞られる様な格好となってしまった訳でもある。

芝での走りがなかなか良かったヒシワイルド。スタートひと息ながら、長い脚を使ってきての勝利で、なかなかの感じを受けたものである。
パドックでも若さを出していたあたり幼さがありながら、レースでは集中したものを持っている馬。次走が楽しみだ。


平林雅芳 (ひらばやし まさよし)

競馬専門紙『ホースニュース馬』にて競馬記者として30年余り活躍。フリーに転身してから、さらにその情報網を拡大し、関西ジョッキーとの間には、他と一線を画す強力なネットワークを築いている。