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【安田記念】人気の盲点をあぶり出せ!
2018/5/27(日)
日本中央競馬会の初代理事長を務めた安田伊左衛門の功績を称え、1951年に「安田賞」の名でスタート。安田氏が死去した1958年に現在の「安田記念」に改称、当時はハンデ戦として施行されていたが、1984年のグレード制導入でG1に格付けされ、春のマイル王決定戦としてニホンピロウイナー、オグリキャップ、タイキシャトル、ウオッカ、ロードカナロア、ジャスタウェイ、モーリスといった時代を彩る名馬を輩出している。
今年は大阪杯を快勝したスワーヴリチャード、昨年のマイルCSを制したペルシアンナイトらをはじめ7頭のG1ホースが激突する豪華な顔触れ。春の東京G1を締めくくるにふさわしい一戦をデータから紐解きたい。
京王杯SCがやや優勢
[前走レース]マイルを中心に使っている馬はもちろん、短距離路線、中距離路線、また海外からの参戦もあり、馬券圏内があるローテーションは国際色豊かでバラエティに富んでいる。中心となるのは京王杯SC組で、出走頭数が多いため、アベレージは低めに出ているが、2勝、2着3回、3着1回と数多く馬券に絡んでいる。ここで気になる数字はマイラーズC組で連対馬8頭を送り込んでいるのだが、勝ち馬はおらず、何と3着馬が7頭。サングレーザーには勝てないジンクス打破の期待がかかる。
過去10年注目データ
[年齢]過去10年、6歳馬が4勝。5歳馬3勝、4歳馬2勝、3歳馬1勝と勝ち馬は6歳まで年齢を重ねるに増えている。3歳馬が初めて古馬と激突するG1で、過去10年でわずか3頭と少ない参戦の中から11年はリアルインパクトが金星を挙げている。今年は重賞2勝のタワーオブロンドンが古馬の胸を借りる。
[前走着順]前走から連勝を果たした馬は5頭。昨年、京王杯SC9着から一変を見せたサトノアラジンを除く9頭が前走4着以内。前走掲示板を外した馬が勝ったのは過去30年まで遡っても2頭しかおらず、前走掲示板確保は勝ち馬を占う上では大きなポイントとなる。
前走6着以下から連対を果たした馬が4頭がいるが、昨年のサトノアラジンを除く3頭は矢作芳人厩舎(グランプリボス2回、スーパーホーネット)の管理馬。今年は3頭がエントリーしているが、いずれも前走掲示板を確保している。
[枠順]枠番別では4枠が連対ゼロ。昨年は2番人気のエアスピネルが5着、6番人気のグレーターロンドンが4着と掲示板には顔を出したが、連対圏突入はならなかった。
馬番別で1度も馬券絡みがないのが「7」「15」「18」の3つ。「6」「10」「14」が2勝を挙げている。馬券絡みがない「7」「15」は両サイドが複数回馬券に絡んでいて、枠順に関しては神経質にならなくていいだろう。
[脚質]逃げて連絡みを果たしたのは16年1着、昨年2着のロゴタイプ。2~5番手の好位に付けた馬も4勝を挙げているが、4角10番手以下のポジションから差し切った馬も3頭いて、上位入線を果たした馬の脚質はバラエティに富んでいる。ちなみに後方から馬券に絡んだ馬はなぜかリピーターが多く、昨年3着のレッドファルクスは非常に不気味な存在といえるだろう。
人気薄が数多く台頭!
16年まで1番人気が4年連続で連対を果たしていたが、昨年はイスラボニータが8着と敗れ記録がストップ。過去10年トータルでは(4.1.0.5)と極端な数字が出ている。2~3番人気も苦戦傾向で、過去10年、5番人気以内の馬だけで1~3着を占めたことは1度もなく、2ケタ人気も2着2頭、3着5頭と馬券圏内を賑わせている。思い切った人気薄から狙ってみるのも1つの手かもしれない。ただし、2ケタ人気の勝ち馬は出ていない。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 4-1-0-5 | 40.0% | 50.0% | 50.0% |
2番人気 | 2-1-0-7 | 20.0% | 30.0% | 30.0% |
3番人気 | 0-2-2-6 | 0.0% | 20.0% | 40.0% |
4番人気 | 0-0-0-10 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
5番人気 | 0-2-1-7 | 0.0% | 20.0% | 30.0% |
6~9番人気 | 4-2-2-32 | 10.0% | 15.0% | 20.0% |
10番人気~ | 0-2-5-75 | 0.0% | 2.4% | 8.5% |
田辺騎手が3年連続で好配を演出
昨年はサトノアラジンが悲願のG1初制覇を果たしたが、『西高東低』のレースが圧倒的に多い中、このレースは関東馬も5勝と互角。勝率、連対率、複勝率いずれも関西馬を上回っている。
ジョッキーも勝ち数は栗東所属の方が多いものの4勝を挙げ、複勝率はリード。3年連続で田辺騎手が好配当を演出している。
[キャリア]勝ち馬の最少キャリアは11年リアルインパクトの5戦、最多キャリアは10年ショウワモダンの38戦。勝ち馬は幅広いキャリアから出ていてキャリアの大小を過度に気にする必要はない。2~3着に関しては2着馬のキャリアは少なめ、3着馬のキャリアはやや多めに推移しているが、31戦以上の馬券対象は前述ショウワモダンの1勝しかない。
[乗り替わり]過去10年で乗り替わりの馬が4勝。連対率はやや落ちるが、勝率は前走と同じコンビを上回り、複勝率もほぼ互角。同じジョッキーとの結びつきが強かった3歳クラシックとは一転、乗り替わりも積極的に狙っていける。
[当該コースの騎手成績]2013年以降に行われた東京芝1600mの重賞で最も多くの勝鞍を挙げているジョッキーは横山典騎手の5勝。C.ルメール、戸崎、田辺騎手が4勝と続くが、C.ルメール騎手は2着が7回あって、連対率は52.4%にものぼる。以下、蛯名、川田、武豊、内田博、柴田善騎手が3勝と続く。
気になるのは大舞台に強いはずのM.デムーロ騎手が(1.1.4.13)とやや不振。過信は禁物かもしれない。
[馬体重]勝ち馬は全て480キロ以上。それ以下で連対したのは10年2着で474キロだったスーパーホーネット1頭。大型馬が有利な傾向で、梅雨に差し掛かる時期的なものもあるのか、スピードに加え、タフな底力も要求される舞台となっている。
[種牡馬]過去10年で複数の勝利を挙げているのはディープインパクトと08~09年を連覇したウオッカの父・タニノギムレットで、10~11年にはスマイルジャックが連続3着と4年連続で馬券に絡んだ。ディープインパクトは29頭が出走して(2-1-2-24)とアベレージは決して高くないのだが、29頭の中に1番人気は1頭もおらず、それでいて3年連続で馬券絡みを果たしており、意外な穴の使者となっている。
目移りする好メンバーが揃った一戦で狙ってみたいのが、メンバーで唯一G1タイトルを2つ持っている昨年の3着馬レッドファルクス。リピーターが多いレースで、7歳を迎えたがキャリアは大事に使われてきたこともあって26戦。実績面のデータはほぼクリアし、今回はこの舞台と相性が非常にいい田辺騎手への乗り替わり。新興勢力の台頭ですっかり影が薄くなっているが、まさに人気の盲点といえる存在だ。