毎週の注目重賞をテーマに競馬ラボ研究員がデータを精査。競馬ビギナーにも分かりやすく レースのポイントを教えます!あなたが選ぶ本命馬はこのデータをかいくぐれるか?
【宝塚記念】夏のグランプリで浮上したのは!?
2018/6/17(日)
ファン投票により出走を選出する西のグランプリとして1960年に創設。上半期の競馬を締めくくる大一番となっている宝塚記念。2009年から宝塚記念専用のファンファーレが使用され、2011年からはブリーダーズカップ・チャレンジの対象競走に指定。優勝馬には当該年のブリーダーズカップ・ターフへの優先出走権と出走登録料・輸送費用の一部負担の特権が付与される。さて、データから夏のグランプリで浮かび上がってくるのはいったいどの馬か?
前走の格は要チェック
[前走レース]出走頭数が多いこともあるが、古馬の王道といえる天皇賞からひと息入れての参戦が4勝、2着3回、3着2回と多く馬券に絡んでいる。天皇賞で勝ち負けした馬はまずチェックしておきたい。その他では鳴尾記念をステップした馬や世界の強豪に揉まれてきた海外からの帰国組、また、ヴィクトリアM組も勝利はないが、昨年はミッキークイーンが3着に入り、10頭のうち5頭が馬券絡みを果たして複勝率は50%にのぼる。
過去10年注目データ
[年齢]年齢別では5歳馬が5勝、4歳馬3勝、6歳馬2勝。馬券絡みはこの3世代に限られていて、7歳以上は大きく割引。ここ10年では5歳馬が勝率、連対率、複勝率いずれも一歩リードしている。3歳馬も出走しやすい日程になったが、出走機会は少なく、今年も登録馬はいない。
[前走着順]勝ち馬10頭のうち、6頭が前走3着以内。2~3着もそれぞれ7頭が3着以内で、前走で上位争いをしている馬の勢いは重要。前走で掲示板を外し、宝塚記念で巻き返して馬券に絡んだ馬は8頭いるが、勝ち馬は天皇賞で崩れたゴールドシップ(2回)とオルフェーヴル、香港でG1勝ちがあるサトノクラウンといったG1ホースで、2~3着もG1で連対歴を持った実力馬。巻き返しには相当な底力が要求される。ちなみに昨年は前走で掲示板を外した馬がワン・ツー・スリーだったが、いずれもG1を勝っていた。
[枠順]枠番別の成績を見るとかなり偏りがあって、過去10年で何と8枠が6勝、6枠が3勝。残るは1枠の1勝で、3つの枠からしか勝ち馬が出ていない。また、面白いのは6枠と8枠に2着馬は1頭もおらず、両サイドに挟まれた7枠も連対ゼロという不振。今年もその傾向が続いていくのか興味深い。
馬番別では昨年サトノクラウンが勝った「11」が3勝、「9」「16」が2勝。馬券絡みがないのは「12」から「15」の4つと「18」。
[脚質]好走馬の脚質は逃げあり、追い込みありとバラエティに富んでいるが、4角10番手以下からの差し切りはオルフェーヴル、ドリームジャーニーの兄弟2頭で、15年2着のデニムアンドルビー以外は人気サイド。内回りでの施行もあってか先行勢がやや有利なのだが、昨年は圧倒的な1番人気に支持され、好位でレースを進めたキタサンブラックが失速。中団に構えた馬が上位3着までを占めた。
1番人気はわずか2勝
過去10年、1番人気は(2.4.2.2)と勝ち馬はわずか2頭。複勝率は80%あって、上位には多く顔を出しているのだが、アタマとなると少し心許ない。ちなみに勝ったのは14年のゴールドシップと12年のオルフェーヴル。馬券圏内を外したのが、3連覇がかかった15年に大きく出遅れて15着に大敗したゴールドシップと昨年9着のキタサンブラック。
5番人気以下の伏兵も数多く好走していて、8番人気、6番人気が2勝ずつ。いずれも前走で連対を果たし、勢いを付けてこの一戦に臨んでいた。
人気順別成績 | ||||
人気 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
1番人気 | 2-4-2-2 | 20.0% | 60.0% | 80.0% |
2番人気 | 2-1-1-6 | 20.0% | 30.0% | 40.0% |
3番人気 | 1-1-2-6 | 10.0% | 20.0% | 40.0% |
4番人気 | 0-0-1-9 | 0.0% | 0.0% | 10.0% |
5番人気 | 1-2-0-7 | 10.0% | 30.0% | 30.0% |
6~9番人気 | 4-1-2-33 | 10.0% | 12.5% | 17.5% |
10番人気~ | 0-1-2-51 | 0.0% | 1.9% | 5.6% |
西下の人馬は勝負気配強し
勝ち馬の比率では圧倒的に関西馬有利なのだが、関東馬は出走機会が非常に少なく、過去10年でのべ30頭が出走して(3.2.0.25)は決して悪くない数字。この時期に敢えて西下してくる馬はそれなりに勝負気配が強いと見ていい。
ジョッキーの方も東の健闘が光り、勝利回数は5対5のイーブン。騎乗機会はおよそ1/3で、こちらの勝負気配も強い。
[キャリア]好走馬は4~6歳に集中していることもあって、20戦以下の複勝率が高い。20戦を超えていても30戦以下ならば好走馬もいるが、31戦を超える馬は17頭いて1頭も馬券に絡んでいない。叩き上げタイプより、ある程度のフレッシュさが必要となっている。
[乗り替わり]前走から乗り替わりとなった馬は過去10年で3勝。川田、横山典、内田博騎手といずれもG1実績が豊富な名手で、川田騎手で勝ったラブリーデイは以前に7回手綱をとっていた。トータルの数字を見ると、圧倒的に前走と同じコンビの方が優勢で、乗り替わりはマイナスとみたい。
[当該コースの騎手成績]2013年以降に行われた阪神芝2200mで最も多くの勝鞍を挙げているジョッキーは10勝の武豊騎手。宝塚記念は集計内未勝利だが、32回の騎乗で連対率50%は他のジョッキーと比べても群を抜いた数字。2位は川田騎手の8勝で、以下、福永騎手5勝、岩田、M.デムーロ騎手4勝、和田竜騎手3勝と続く。
[馬体重]京都よりパワーを要する阪神コースで、梅雨にかかる時期的なものもあって、パワーが勝った大型馬が多く好走しているかと思えば、比較的小柄な馬のアベレージも高い。馬格はあまり気にしなくていいだろう。
[種牡馬]まず目が行くのはステイゴールドの5勝。天皇賞を制したレインボーラインが引退してしまったのは残念だが、今年の登録馬には上がり馬パフォーマプロミスがいて、グランプリホースに名を連ねることができるか見もの。ただし、5勝を挙げている一方で、2~3着が1頭もいないのは面白いところだ。
複数回馬券絡みを果たしている種牡馬はディープインパクト、キングカメハメハ、グラスワンダー、スペシャルウィーク。底力、タフさに長けたタイプが多く、パワータイプは要注意。ディープインパクト産駒は切れ味や瞬発力を生かすタイプより渋太いタイプが好走している。
[ファン投票1位]ファン投票で出走馬が決まるグランプリレース・宝塚記念。ファン投票で1位となった馬の成績は過去10年不不②②①不①⑮③⑨着。今年はサトノダイヤモンドが初のファン投票1位となったが、ファンの期待に応えることはできるか!?
大阪杯を制したスワーヴリチャード、春の天皇賞を制したレインボーライン(故障により引退)の名前がなく、一昨年の有馬記念を勝ったサトノダイヤモンド、昨年の菊花賞馬キセキ、そして昨年の覇者サトノクラウンの名前はあるものの、いずれも近走は精彩を欠き、波乱含みとなっている今年の宝塚記念。底力があるG1ホースの巻き返しも度々見られるレースではあるが、今年は近年活躍の多い牝馬・ヴィブロスを取り上げたい。世界の強豪が揃ったドバイターフで昨年優勝、今年も2着と力は申し分なく、このレースと相性がいい5歳馬というのも魅力。乗り替わりは、気になるも、かつて手綱をとって秋華賞を制した福永騎手なら大きなマイナスにはならないだろう。
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