過去10年攻略データ

1938年に「京都農林省賞典四歳呼馬」として創設され、1948年より現在の名称となった4歳(現3歳)馬による重賞競走。英・セントレジャーをモデルとし、春の皐月賞、ダービー、そしてこの菊花賞で3歳クラシック3冠を形成している。皐月賞が「最も速い馬」、ダービーが「最も運がある馬」、菊花賞は「最も強い馬」が勝つといわれ、古馬になっても活躍する馬が多い。近年はスローペースからの上がり勝負が多くなり、スタミナよりも折り合いと瞬発力が重視される傾向にあるクラシック最終戦をデータで検証したい。

前走条件クラスも侮れない!

[前走レース]過去10年、実に8頭が神戸新聞杯をステップにしての勝利。後でも触れるが、近況好走馬が強いレース特性からも、神戸新聞杯上位馬はまず最初にチェックせねばならない。
菊花賞といえば、古くからいわれるのが「上がり馬」の存在。ここ10年では野分特別から連勝した09年スリーロールス、10年3着ビートブラック、13年3着バンデが出ている兵庫特別、14年3着ゴールドアクターが出ている支笏湖特別、昨年は阿賀野川特別をステップにしたポポカテペトルが2着に入るなど、古馬に揉まれてきた馬も度々馬券に絡んでいる。

前走レース別成績
レース名 成績 勝率 連対率 複勝率
神戸新聞杯8-6-5-5111.4%20.0%27.1%
セントライト記念1-3-1-452.0%8.0%10.0%
野分特別1-0-0-233.3%33.3%33.3%
札幌記念0-1-0-10.0%50.0%50.0%
兵庫特別0-0-2-60.0%0.0%25.0%
支笏湖特別0-0-1-00.0%0.0%100.0%
阿賀野川特別0-0-1-00.0%0.0%100.0%

前走着順別成績
前走着順 着別度数
前走1着6-1-5-43
前走2着1-4-1-17
前走3着3-3-1-13
前走4着0-0-1-13
前走5着0-0-1-11
前走6~9着0-1-1-33
前走10着~0-1-0-20

過去10年注目データ

[前走着順]前走から連勝を果たした馬は過去10年で6頭。勝ち馬はいずれも前走3着以内で、連対馬も8頭が前走3着以内、3着馬も7頭が前走3着以内と、直近の勢いは非常に重要。
前走6着以下から巻き返して来たのは08年2着のフローテーション、同年3着ナムラクレセント、そして昨年2着クリンチャーのわずか3頭。フローテーション、クリンチャーはオープン勝ち、ナムラクレセントは重賞で勝ち馬から0.4秒差の接戦を経験していた。前走で大敗を喫した馬から過度な穴狙いは禁物。

[枠順]枠番別では大きな偏りがあって、1枠、2枠、7枠がそれぞれ3勝。2枠は2着が3回、7枠は2着2回、3着3回があってアベレージも高く出ている。そのアオリを食っているのが4枠で、過去10年で馬券絡みが1度もない。馬番別で馬券絡みゼロは珍しくないのだが、枠番となるとかなりのレアケースだ。
馬番別では「7」「8」「9」「18」が馬券絡みゼロ。1枠2枠の好調を受けて「1」と「3」が2勝。「14」も2勝を挙げてラッキーナンバーとなっている。

[脚質]4角先頭で押し切った馬は過去10年で1頭もいないのだが、勝ち馬8頭が4角2~5番手の好位から押し切っている。連対率、複勝率も高く、4コーナーで好位に付けられる機動力が重要になってくる。
圧倒的な先行力で国民的アイドルホースとなったとなった15年の勝ち馬キタサンブラックは、4角8番手からの差し切り勝ち。G1初タイトルは意外な形で手にしていた。

人気の盲点を洗い出せ!

1番人気馬は過去10年で6勝、複勝率は80%と上々の信頼度。掲示板を外した馬は14年9着のワンアンドオンリー1頭のみで、穴党でも1番人気をバッサリ切るのは危険。
前走着順が重要なカギを握るレースなのだが、6番人気以下も2勝、2着4回、3着7回と度々好走して波乱を演出。すなわち、人気の盲点になっている馬が多いということで、出馬表をしっかりとチェックしたい。

人気順別成績
人気 成績 勝率 連対率 複勝率
1番人気6-1-1-260.0%70.0%80.0%
2番人気0-2-0-80.0%20.0%20.0%
3番人気1-0-2-710.0%10.0%30.0%
4番人気0-1-0-90.0%10.0%10.0%
5番人気1-2-0-710.0%30.0%30.0%
6~9番人気2-2-5-315.0%10.0%22.5%
10番人気~0-2-2-860.0%2.2%4.4%

プラスαデータ

関東馬は大苦戦

圧倒的に関西馬が強いレースで、過去10年の連対馬は全て関西馬。関東馬で馬券に絡んだのは14年3着ゴールドアクター1頭のみで、関東馬が非常に苦戦している。
一方でジョッキーは美浦所属が健闘していて、過去10年で3勝。アベレージもほぼ互角の数字を叩き出している。関西馬に騎乗する美浦所属のジョッキーは要注意。

[キャリア]キャリア数別では6戦を消化していた馬が4勝。7戦、9戦だった馬が2勝。2着はキャリア8戦が4回と最も多い。キャリア6戦を境にして複勝率は1戦消化毎に下がっていく。
今年のメンバーを見ると、ブラストワンピースが5戦、エポカドーロ、ジェネラーレウーノが7戦、エタリオウが8戦を消化している。

[乗り替わり]過去10年で前走からジョッキーが乗り替わって勝った馬はゼロ。乗り替わりで複勝圏内に入った4頭を見ても2頭は騎乗経験があったコンビで、騎手とのコンビ相性が重要な2~3歳限定G1戦の中にあっても、特に重要性が高いレースといえる。

[芝3000mの騎手成績]現在、3000m以上の距離で行われているレースは6つ。2013年以降、3000m以上の距離で最も多くの勝鞍を挙げているのは、この春の阪神大賞典と天皇賞を連勝した岩田騎手の5勝。複勝率は50%に及ぶ。続いて武豊騎手とR.ムーア騎手だが、これは全てアルバートとのコンビによるもの。以下、北村宏、横山典、C.ルメール騎手の3勝。北村宏騎手は単複の回収率も大きくプラスとなっている。

[馬体重]勝ち馬の最高馬体重は15年キタサンブラックの530キロ。最少馬体重は10年ビッグウィークの450キロ。3着馬は比較的コンパクトな馬も出ているのだが、全体を通してみると、480キロ以上の馬が8勝、2着8回と、馬格のある馬が活躍している。

[種牡馬]過去10年で複数の勝ち馬を輩出している種牡馬は2勝を挙げているステイゴールド1頭。ディープインパクトは過去5年で16年の勝ち馬サトノダイヤモンドら5頭を馬券圏内に送り込んでいるが、出走頭数27頭とステイゴールドの2倍近くあってアベレージは高くない。3000mの長丁場とあって、種牡馬の名前を見てもスピードや瞬発力で勝負するタイプよりもスタミナに長けたタイプが多い。

データの決断

ダービー馬不在のクラシック最終戦・菊花賞。データから魅力に映るのはセントライト記念3着から本番に臨むグレイル。アベレージが非常にいいキャリア6戦での参戦。このレース、距離と相性がいい岩田騎手が手綱をとり続けているのも頼もしいデータ。条件クラスを勝ってきた新興勢力も気になるが、それゆえ人気の盲点となりそう。馬券妙味からも面白い存在だ。