
一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
今週から大観衆が戻ってきます
2022/5/19(木)
先週はコスモエクスプレス(7人気2着)が最高着順。転厩2戦目かつ同じ条件で、馬のほうにも慣れを感じました。3馬身差をつけられてしまったように今回は勝ち馬が強かった。相手関係ひとつという段階まできたと思います。チューウィー(3人気5着)はレース的にペースが遅くなりすぎてしまって、動くに動けず。それでも崩れずに走れてはいるので、東京開催中に何とかしてあげたい。

この土曜は東京で6鞍に騎乗します。1Rのクロミチャンはスタートが速くないので自分で競馬こそ作れませんが、前走の内容は良かった。調教の良さが活きてきた感じがあるので、今回も頑張ってくれると思います。4Rのコスモダークナイトは前走からも広いコースの長い距離が合っています。持ち味であるスタミナを活かす乗り方をしたい。
6Rのケッツァーは少しずつ気持ちと体がかみ合ってきました。今週の調教も悪くなかったので、頭数的にもうひとつ上に持ってきたいです。11Rのソッサスブレイは重賞に入ると苦戦傾向も、オープン特別のハンデ戦は現状における一番の舞台。先週、今週と追い切りの雰囲気もいつもどおり好調なので、ハンデ53キロを活かして一発狙いたい。12Rのアドアステラは2勝クラスでも崩れずに走っています。使われて上向くタイプなので休み明けがどうかですが、牝馬限定戦の分で頑張ってくれませんか。
日曜も東京で5鞍に騎乗します。2Rのキタノホマレボシも使われつつ力をつけています。脚抜きのいい馬場のほうがマッチする感があるので、展開と馬場状態が鍵を握りそう。3Rのヒメゴゼンは2週続けて乗せていただきましたが好仕上がりです。今は気持ちが前向きなので、むしろ1400mの距離は歓迎。あとはプラス体重で競馬に臨めれば巻き返せるはず。
5Rのフォトスフィアは使いつつ状態は上がっているのですが、周りの馬を気にするなど気持ちが弱い部分が出てしまいます。力があるのに上手く走れていない状況なので、キッカケを掴むべくひと工夫して乗りたい。12Rのマイネルカイノンは最近の成績こそ案外も、二度乗せていただいて、もっとやれそうなイメージがあるんです。合っている長い距離とハンデ53キロで前進させてあげたい。

来週は日本ダービーですが、2歳馬の入厩と共に再来週からの新馬戦に気持ちが向いています。自分が調教している馬達はどの週でデビューになるのかまだ明確ではありませんが、少しずつピッチが上がっています。そして、オークスとダービーは約7万人の観衆を見込んでいるとのこと。ヴィクトリアマイル当日は約2万6600人だったそうですが、これまでが制限されていたので、パドックでも結構な圧迫感を感じました。ジョッキー目線だと応援してくださるファンが多いのは嬉しいものの、今の3歳馬、4歳馬はそういった経験がありませんからね。力を出せないことがないように落ち着かせて、上手くエスコートしてあげたいです。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。