
一時は年間0勝というどん底を味わいながらも、今や大手の主戦ジョッキーとして活躍を見せる
不死鳥ジョッキー。諦めることなく復活を果たした男が日々の騎手生活を自らの言葉で紡いでいく。
中山で全力騎乗の3日間開催
2025/9/11(木)
前日までの雨が気になるところの開幕週でしたが、芝コースが乾くのは一瞬で素晴らしい馬場状態ですね。どうしても前が残ってしまう傾向なので、2週目も枠順や外めを引いた時のリカバリーがカギになりそう。土曜のダートは軽くなるかもしれませんが、JRAアニバーサリーとして行われる月曜は絶好のコンディションになっていると思います。

この土曜は中山で4鞍に騎乗します。8Rのベニシアはゲートの駐立に課題があります。この中間はそのあたりを練習しておとなしくなってきたので、スタートさえ決まれば差はないはず。12Rのパーセルペーパーは好調キープしていますが、このレースのほとんどが3歳馬なので、斤量差をカバーできるかどうか。1800mを二度使ってから2000mになる分で、ロスなく流れに乗せて前々で立ち回りたい。
日曜も中山で5鞍に騎乗します。3Rのパソドブレは2戦目でダート替わり。初戦は思っていたよりもキレ負けしてしまった印象があったので、条件自体は合いそうな気がしています。
6Rのリカードの前走は休み明け感があって地力で頑張ってくれた5着。どうしても集中力が散漫なところがあり、未勝利最後のタイミングでブリンカー着用。集中して走り切らせて、もうひとつ上のギアを引き出せるように鼓舞します。7Rのグラツィオーソは連闘。先週は前が残る馬場を意識して早めに動きましたが、最後までしっかり走れています。この馬もブリンカー着用で、あとひと押しに期待したい。
8Rのノーブルニードルはここ2走が忙しいこともあって距離延長。条件面がかみ合えば、あそこまで負ける馬ではないと思っています。10Rのマイネルニコラスは中間の追い切りに乗せていただきましたが、北海道遠征の疲れは感じませんでした。ハンデ戦(54キロ)でこの馬に合う流れになってほしい。

祝日開催の月曜も中山で4鞍に騎乗します。1Rのキタノドンカルロの初戦はまだ幼くて走り切れなかったという印象。この中間はウッドでも乗り込んで素軽くなってきました。2戦目のダート替わりで頑張ってくれるはず。
2Rのユメシルベの前走は型通りに良くなって2着。この中間はもうひとつ上がっており、勝ち上がりに力が入るタイミングです。
3Rのアイアンオバーカムは希望だった1200m除外になって1800m。それでも、年明けに4着とこの距離でもいい競馬ができています。勝手知ったる馬なので、持ち味を引き出してラストチャンスをモノにしたい。6R(2歳新馬)のイーアンベはゲート試験でスタートの速さを認識しました。追い切りには乗っていませんが、ダート1200mは合いそうなイメージを持っています。

先週日曜は競馬が終わって、阪神タイガースの優勝が決まった夜に横浜DeNAベイスターズの応援に行ってきました。この日は東京ヤクルトとの接戦を3対2で凌ぎ切ってくれるなど、クライマックスシリーズ進出に向けて目が離せません。試合開始前から間近で観られたのですが、自分と同じストレッチをしている選手の動きやウォーミングアップばかり気になってしまい、これは職業病だな(笑)と感じました。ともあれ、生のスポーツ観戦はやはり気持ちいいものなので、是非とも3日間開催は競馬場にお越しください。
プロフィール
柴田 大知 - Daichi Shibata
1977年6月18日生まれ、栃木県出身。
1996年に騎手デビュー。デビュー2年目までは年間20勝以上をマークする若手有望株として注目を浴びたが、年々勝ち星が減少。遂に2006〜2008年は未勝利に終わった。しかし、騎乗数を徐々に取り戻すと、2011年には中山グランドJで涙のG1制覇。「マイネル軍団」の主戦ジョッキーとしてのポジションも確固たるものとした。2013年にはマイネルホウオウでNHKマイルCを制し、平地・障害ダブルG1制覇を達成した。