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アドマイヤマーズ

(牡3、栗東・友道厩舎)

ダイワメジャー
ヴィアメディチ
母父Medicean
通算成績5戦4勝
重賞勝利 18年朝日杯FS(G1)
18年デイリー杯2歳S(G2)
連対時
平均馬体重
469kg (最高:478kg)
(最低:460kg)
前走時馬体重478kg
POINT
背中側のラインは父ダイワメジャーと似ているが、530キロを超すパワー型だった父とは異なり、この馬は前走時で478キロ。イメージ的には素軽いスピードを秘めた馬、という印象を受ける。胴周りの造りを見ると、腹側のラインが後躯に向かって引き締まっており、体の伸縮性・瞬発力に優れた構造をしている。先行して好位を取りつつ、鋭い決め手を発揮できるのが本馬の武器と言えるだろう。皐月賞は瞬発力勝負になりづらいレースとはいえ、立ち回りの巧さはアドバンテージになる。マイルがベストの印象も、前脚をスラッと見せているようにシルエットには伸びがあるので、2000mはこなせる範囲内。前走時も肋骨が確認できるスッキリとした仕上がりを見せていたが、筋肉の張りや毛艶の乗りは今回の方が断然上。好勝負に期待したい。
今週のイチオシ

ヴェロックス

(牡3、栗東・中内田厩舎)

ジャスタウェイ
セルキス
母父Monsun
通算成績5戦3勝
連対時
平均馬体重
488kg (最高:492kg)
(最低:482kg)
前走時馬体重482kg
POINT
全体の印象として、非常にバランスが良く見栄えする好馬体。480~490キロと比較的馬格に恵まれている馬ではあるが、そのシルエットの美しさから素軽さを感じさせる立ち姿を披露しており、スピード決着に強そうな体付き。バランスが良いため舞台を選ばずに能力を発揮できるタイプではあるものの、父ジャスタウェイ-その父ハーツクライと続くサイアーラインはいずれも胴が長い構造をしており、本馬のその特徴をしっかり受け継いでいる。どちらかといえば持続力を問われる流れを好むタイプか。肋骨が浮いて見えるようにシャープな仕上げを施されているが、中内田厩舎はボディコンディションスコアを低めに取った、細身な仕上げをする特徴があるため特に問題はないだろう。下腿部の血管も網目状に浮き上がり、馬体の張りは抜群。争覇圏内にあると見た。

エメラルファイト

(牡3、美浦・相沢厩舎)

クロフネ
セトウチソーラー
母父スペシャルウィーク
通算成績6戦3勝
重賞勝利 19年スプリングS(G2)
連対時
平均馬体重
449kg (最高:454kg)
(最低:446kg)
前走時馬体重454kg
POINT
馬体重は前走時で454キロとさほど大きくはないが、肩周りは父クロフネから遺伝した立派な筋肉が付いており、ガッシリとした造り。数字以上に馬体を大きく見せている。背中と腹周りのラインが平行に近く、瞬間的な速い脚は持ち合わせていないが、渋とく良い脚を使える造りだ。まだキ甲が抜け切っておらず、腰高で完成途上の印象も、馬体の構造自体は皐月賞向きの持続力タイプと言って良いだろう。筋肉の付き方を考慮するとスピード<パワーに寄った体型をしているので、時計の要する馬場でより評価を上げたいところ。今後まだまだ良化する余地を残してはいるが、馬体の張りは上々で、状態面に関しては現状のベストと言えるデキと言って良さそう。
今週のイチオシ

クラージュゲリエ

(牡3、栗東・池江寿厩舎)

キングカメハメハ
ジュモー
母父タニノギムレット
通算成績4戦2勝
重賞勝利 18年京都2歳S(G3)
連対時
平均馬体重
472kg (最高:476kg)
(最低:468kg)
前走時馬体重488kg
POINT
父キングカメハメハ譲りの豊富な筋肉量と、整ったバランスで非常に見栄えする立ち姿。純粋に馬体の素晴らしい馬で、素質自体はG1でも通用するレベルにあると考えている。同時期の兄プロフェットは父ハービンジャーで全体に緩いイメージがあったものの、父が替わった影響か現時点でも筋肉が引き締まっており、完成度はこの馬の方が上だ。良い意味で突出した点を感じず、どんな舞台でも能力をソツなく発揮できると見ているが、やや胴周りの造りが長めで、瞬発力よりも持続力に長けたタイプ。直線スピードの問われる東京からのコース替わりはプラスと考えて良いだろう。近2走で26キロほど馬体重が増えているが、腹周りは引き締まっていて、太めは全く感じられない。毛艶も光っており、体調の良さが伝わってくるようだ。一発に期待したい。

サートゥルナーリア

(牡3、栗東・角居厩舎)

ロードカナロア
シーザリオ
母父スペシャルウィーク
通算成績3戦3勝
重賞勝利 18年ホープフルS(G1)
連対時
平均馬体重
492kg (最高:500kg)
(最低:488kg)
前走時馬体重500kg
POINT
純粋に馬体のバランスが整っていて美しい。シーザリオの仔は曲飛すぎない馬の方が活躍する傾向にあり、飛節の角度も理想的。2歳馬離れした馬体の張りを披露していたが、休んで更にパワーアップしてきた印象。ボリュームのあるトモの筋肉は勿論のこと、胸前の筋肉も輪郭が彫刻のように盛り上がっていて、まるで古馬のチャンピオンホースのような立ち姿だ。素晴らしい馬体は近年の活躍馬の中でも、1、2を争うほど。胸の角度も深く、大きな心臓と肺を持っており、心肺機能は相当に高い。仕上がりに関しても4ヶ月ぶりとは思えないほどキッチリ仕上がっていて、肋骨が薄っすらと感じ取れる。今回のメンバーの中でも能力は一枚、二枚上と見ているため、あえて上位トップ3評価からは除外。それくらいポテンシャルの高さを感じさせる馬と考えてもらいたい。

サトノルークス

(牡3、栗東・池江寿厩舎)

ディープインパクト
リッスン
母父Sadler’s Wells
通算成績4戦3勝
連対時
平均馬体重
467kg (最高:472kg)
(最低:460kg)
前走時馬体重472kg
POINT
前走時で馬体重472キロ、平均的な馬格だがキ甲の辺りを見てもまだ背は伸びそうな雰囲気。リッスンの仔は馬格に恵まれた馬が多いが、見た目から筋肉質でパワーのありそうな全兄ムーヴザワールドと比較すると、この馬はスラッとしたシャープな造りをしており、イメージ的には全姉タッチングスピーチに近い印象がある。母の父がサドラーズウェルズ、道悪が巧そうな文字列が並ぶが、蹄は薄くディープ産駒らしい形で、本質的には良馬場の方が良さそう。胴周りがゆったりとしたシルエットで、距離は延びて良さそうな形をしており、四肢も長く良い脚を持続して使うタイプか。小回り2000mへの対応力がやや疑問ながら、持続力が問われる流れになりやすい皐月賞は悪くない。筋肉の張りも上々で、良い状態でレースを迎えられそうだ。

シュヴァルツリーゼ

(牡3、美浦・堀厩舎)

ハーツクライ
ソベラニア
母父Monsun
通算成績2戦1勝
連対時
平均馬体重
483kg (最高:488kg)
(最低:478kg)
前走時馬体重488kg
POINT
骨格に対してゆったりとした胴周りで、父ハーツクライから遺伝したと考えられる。四肢もスラッとして長く、走法も大跳びで非常にダイナミック。トップスピードに乗るまでは若干時間を要するタイプだが、その分エンジンが掛かると伸び続けられる馬体構造。持続力タイプという点ではこのレース向きとも言えるが、よりパフォーマンスを上げてくるのはやはり東京コースのような広々とした競馬場だろう。今度は多頭数になることもあり、楽な競馬にはならないか。全体に緩さを残す体付きで、トモの筋肉もまだまだ発展途上といった雰囲気。今回立ち写真のある馬の中でも、完成度は低め。そんな中でも重賞で上位争いできるのだから、素質は相当。完成した時が楽しみな馬でもある。毛艶は良く体調面での不安は見当たらない。現状でのベストと言えるデキだ。

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ダノンキングリー

(牡3、美浦・萩原厩舎)

ディープインパクト
マイグッドネス
母父Storm Cat
通算成績3戦3勝
重賞勝利 19年共同通信杯(G3)
連対時
平均馬体重
451kg (最高:454kg)
(最低:450kg)
前走時馬体重454kg
POINT
仙骨の角度が傾斜している「斜尻」でトモは横幅も広い。恐らく長い腸骨、大腿骨が折り曲がる形で構成されているのだろう。2つの骨が長ければ可動域も広くなり、よりスピードの乗りが良くなる。ディープ産駒の中では飛節の折りが深い「曲飛」寄りで、一完歩の回転は比較的速い。優れた瞬発力を発揮できる後躯の構造だ。走法を見ても前脚が前方に伸びるような大跳びのフォームではないため、GⅠのメンバーで持続力勝負になった場合、どれだけ対応できるかは未知数。この馬自身のポテンシャルは相当高いが、より瞬発力の活きる舞台でこそ全能力が発揮されそう。前走時も下腿部には血管が浮き上がっていたが、前回よりも更に馬体全体の張りが良化してきた印象で、上積みはある。レース間隔がやや開いたが太め感もない。仕上がりに関しては文句なしの状態だ。

ニシノデイジー

(牡3、美浦・高木登厩舎)

ハービンジャー
ニシノヒナギク
母父アグネスタキオン
通算成績6戦3勝
重賞勝利 18年東スポ杯2歳S(G3)
18年札幌2歳S(G3)
連対時
平均馬体重
478kg (最高:486kg)
(最低:474kg)
前走時馬体重496kg
POINT
胴の造り自体は骨格に対してゆとりがあるものの、お腹周りのラインに対して背中が短く見える。身体の伸縮性に優れており、飛節の折りも深く、小脚が利くため一瞬の速い脚も使える構造だ。差し馬の中では、比較的器用な部類に含まれるだろう。長く脚を使わせるよりも、インでしっかり脚を溜めて馬群を捌くような競馬が向いている。前走は結果が出なかったものの、蹄は厚みがあって渋った馬場は悪くないはず。仮に重馬場になった場合、もう一度狙ってみる手はある。前走はスッキリとした仕上げだったものの、トモのボリュームはもう一歩という雰囲気だった。その時と比較すると明瞭なスジも浮いており、馬体全体の張りも明らかに良化してきた印象。ハービンジャー産駒だけにまだ成長の余地はありそうだが、この短期間でも良くなっているため、見限りは早計。

ファンタジスト

(牡3、栗東・梅田智厩舎)

ロードカナロア
ディープインアスク
母父ディープインパクト
通算成績5戦3勝
重賞勝利 18年京王杯2歳S(G2)
18年小倉2歳S(G3)
連対時
平均馬体重
467kg (最高:484kg)
(最低:448kg)
前走時馬体重484kg
POINT
ロードカナロア産駒らしく、全体に筋肉量が豊富。特にトモは丸みを帯びるように発達しており、素晴らしい張りを披露している。馬格以上に目を引く好馬体で、2歳時と比較しても成長が著しい。絶対的なスピード能力に関しては、このメンバーに入っても上位と考えて良いだろう。ただスプリングSのコラムでも書いたように、胴が詰まった体型で、前脚も短く重心が前寄りになっている。やはり距離には上限がありそうだ。前走はトライアルということもあって上手にリカバリーできたが、本番で同様の競馬が上手くハマるかどうか。本質的にはマイルまでの馬と考えている。一度使って皮膚を薄く見せるほど筋肉の張りがアップ、ステップレースを使った効果・上積みは間違いなくあるだろう。毛艶も黒光りして、体調は実に良さそうな雰囲気が漂っている。仕上がりの良さでどこまで。
今週のイチオシ

メイショウテンゲン

(牡3、栗東・池添兼厩舎)

ディープインパクト
メイショウベルーガ
母父フレンチデピュティ
通算成績6戦2勝
重賞勝利 19年報知杯弥生賞(G2)
連対時
平均馬体重
461kg (最高:466kg)
(最低:458kg)
前走時馬体重458kg
POINT
ディープインパクト産駒の中ではシャープに映る印象をした体付きで、背中とお腹側のラインが平行に近いため、胴が長く映るシルエット。瞬間的な加速よりも、長く良い脚を使う馬に多い体型をしている。馬格に対して脚もスラッと長く見せていて、いかにも持続力勝負に強そう。持続力の問われる皐月賞向きの馬体構造と言って良いだろう。跳びも馬格を考慮すると大きい部類に入るので、本来広いコース向きと考えていたが、少頭数とはいえ中山内回りにも対応したように、この舞台で割引く必要はもう無いだろう。特筆すべきはその成長度。初の立ち写真だったきさらぎ賞では筋肉の輪郭が掴みづらい面が目立っていたが、弥生賞、そして今回と使われるごとにムダ肉が削げ、筋肉が主張する体付きに変化してきた。上昇度ではメンバー1と言っていい。要注目の1頭。

ラストドラフト

(牡3、美浦・戸田厩舎)

ノヴェリスト
マルセリーナ
母父ディープインパクト
通算成績3戦2勝
重賞勝利 19年京成杯(G3)
連対時
平均馬体重
455kg (最高:456kg)
(最低:454kg)
前走時馬体重452kg
POINT
馬体重は450キロほどと牡馬の中ではコンパクトなサイズだが、骨格に対しての筋肉量が豊富。ノヴェリスト産駒は重厚感のあり過ぎる馬が多いが、この馬はバランスが整っていて素軽さを感じさせる。前回のコラムにも書いたが、やはりこれまで見たノヴェリスト産駒の中では最も魅力的に映る。それだけに弥生賞の敗戦は腑に落ちないが、血統的に道悪が巧そうな文字列が並ぶ一方で、蹄は薄い部類に含まれるので、道悪が多大に影響した可能性もある。跳びの綺麗な馬でもあり、良馬場ならまだ見限れないのでは。前走時もトモに大きく明瞭なスジが浮き上がっていたように、引き続き良い状態をキープできているのは何より。馬体を見る限りレースでの反動も感じられず、巻き返しも十分期待できそうだ。

ランスオブプラーナ

(牡3、栗東・本田厩舎)

ケープブランコ
マイプラーナ
母父マンハッタンカフェ
通算成績6戦3勝
重賞勝利 19年毎日杯(G3)
連対時
平均馬体重
461kg (最高:464kg)
(最低:458kg)
前走時馬体重462kg
POINT
ケープブランコ産駒はこの世代が初年度ということもあり、サンプル数が少ないが、父は肩のラインが比較的立っていて、その父ガリレオと比較すると筋肉の付き方がなだらかなため、全体的に素軽い印象がある。この馬も肩のラインが立ち気味で、肩関節の可動域から考察すると2000mはこなせる範囲内とはいえ、あまり距離が延びて良いタイプとは言えないか。前走時で462キロと大柄では無いが、付くべきところにしっかりと筋肉が付いている。逃げて好成績を残しているが、腹側のラインは後躯に向けて引き締まっているように、逃げてタメることにより二の脚を使えるタイプ。割とタイトなレース間隔だが、毛艶・馬体の張りは共に申し分なく、好仕上がりと言って良いだろう。
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