アーモンドアイ

19年10/27(日)4回東京9日目11R 第160回 天皇賞・秋(G1)(芝2000m)

  • アーモンドアイ
  • (牝4、美浦・国枝厩舎)
  • 父:ロードカナロア
  • 母:フサイチパンドラ
  • 母父:サンデーサイレンス

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珍しくゴールに入るかなり前からルメールがガッツポーズ。右手をあげてゴール板を駆け抜けた。逃げ粘るアエロリットの内。ラチ沿いの狭いところを一気に抜き去り、誰もいない空間に出て来た。ラスト300で先頭に立ったルメール。後ろをチラリとみること3度。ラスト50メートルからは小さなガッツポーズが加わった。冷静な男がこれだけ喜ぶ。おそらくアーモンドアイへの称賛だったのだろう。もはや国内には敵のいない領域にいるアーモンドアイ。1頭だけ次元が違っていた、そんなレースだった……。

スタートでサートゥルナーリアが後手を踏んだのが見えた。だが次に視線を前の方に戻した時にはその先行グループにいた。そこにまず驚く。前へと出て行ったのだろう、と思って見ていたが実際は馬が行きたがったのだと知る。グングンと前へと出て行ったサートゥルナーリア。好発のアーモンドアイの前に出た2コーナーのカーブへとかかるあたり。そのアーモンドアイが何か変な動きをした。思わず《あっ!》と声が出る。まるでサートゥルナーリアがアーモンドアイの進路を塞ぐように入ったかに見えた。後でPVで見ても小さな画面ではハッキリと判らないが、凄いのはアーモンドアイ。そんなアクシデントがあると普通、リズムやバランスを崩してレースにならない馬が多いのに、アーモンドアイは何もなかったかの様にそのまま前の馬に続いて行く。

PVで見ると、アーモンドアイの後ろのスワーヴリチャードも首を上下に振りながらの追走だ。やや掛かり気味に見える。アエロリットが逃げてスティッフェリオが2番手追走。サートゥルナーリア、ダノンプレミアム、アーモンドアイと続く流れだが、1000M通過が59.0。決して遅い流れではないだろう。そんな中でサートゥルナーリアとスワーヴリチャードだけが元気溢れる追走、そんな風に見えた。アーモンドアイもそのすぐ前のダノンプレミアムもいい感じで行っている。内の3番手に入ったサートゥルナーリアは、やっと落ち着いたのか感じよく見えていた。直線へと入ってきた。

私の◎はサートゥルナーリア。どうしても視線の中心にいる。前のアエロリットを交わして前に出たように見えたラスト400手前。そのアエロリットの真後ろにいたアーモンドアイ。ルメールは外へ出すのかと思いきや、アエロリットのインに入る。そしてあっと言う間に抜けきって前へと出て行く。そして、時を同じくして外をダノンプレミアムが前へと出て来た。だが内のアーモンドアイの勢いの方が強い。一旦3番手に上がったサートゥルナーリアは、スミヨンがステッキを入れる度に外へ外へと流れ気味となる。後ろから迫ってくる馬達にも抜かれてしまう。

ラスト400を過ぎて、インに入ってアエロリットを抜き去ったアーモンドアイ。ステッキを軽く2発入れたルメール。そこから後ろを二度チラッと見る。さらにもう一度小さく見て後ろの勢いを確認してから右手を挙げる。そして、そのガッツポーズのままでゴールを過ぎ去った。アエロリットが差し返し気味での3着。ゴール前では金子真人オーナーの勝負服の2頭が厳しく追い込んできた。ユーキャンスマイル、ワグネリアンの2頭だった。

PVやNHKのビデオで、何度もあのアーモンドアイがジャンプする処を見直す。あの身のこなし。まるで芝の切れ目を飛んだぐらいのアクションである。前の馬が内に入ってきて進路が狭くなったからとは思えない軽やかさである。これがこの馬の身のこなしなのだろう。いかにあの安田記念での不利が大きかったのかが今頃になって判る。

あの時の1、2番人気がそのままこの天皇賞で答えを出す。大勢のファンの方が、その読み解きが出来ている。ずっと栗東で馬の傍で見ている当方としては情けない読みである。ただ、ただアーモンドアイの強さに呆れる、そんな天皇賞でありました。最強馬が当然に力を出しただけ、そんなレース後の感想でありました。