スワーヴリチャード

19年11/24(日)5回東京8日目11R 第39回 ジャパンカップ(G1)(芝2400m)

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金曜から降りに降った雨。その雨もあがり、ひとつ前の10Rから芝はやっと重まで回復。内を開ける最悪のコンディションではなくなり、時計のかかるスタミナ勝負となった。直線で逃げたダイワキャグニーの内から抜け出したのはスワーヴリチャード。道中は前にワグネリアンを観るラチ沿いで脚を貯め、直線あと200から前との差を詰めて一気に駆け抜けて勝負を決めた。2着はただ1頭の3歳牝馬カレンブーケドール。1番人気のレイデオロは、馬群から出てこなかった……。


同厩舎で5頭出しは3例だそうである。金子真人オーナーが4頭出しも凄いこと。外国馬の出走はなく、それは創設以来初めてのこと。だが外国人ジョッキーはルメール、M・デムーロをのけても5人。それも世界を股にかけて乗るジョッキーの顔ばかり。猛烈にG1 勝ち数を伸ばしているR・デットーリ。お馴染みのR・ムーア。スミヨンも久々の日本である。そしてイギリスで1位の勝ち星のオシイン・マーフィー。すでに日本でも活躍ずみだ。香港遠征のかげんで日本で強い馬達の顔がないのが残念だが、ジョッキーの顔ぶれには興味深々。そこへ迎え撃つ日本勢。朝から熾烈な競馬が続いていた。

自宅で観ているとどうしてもグリーンチャンネルで2場を見たくて、チャンネルを変えない。月曜の夕方、時間が空いたのでジックリとNHKの競馬放送を見る。相変わらず流暢な鈴木康弘元調教師の解説である。馬場入りまでも見せてくれるNHK。ワグネリアンが枠馬で馬を繋いでいる映像とか、馬場入りを手こずるダンビュライトを映してくれた。やはりジックリと見させてくれる番組はいい。返し馬でスワーヴリチャードの感じがよく見えたのは結果を知っているからか?

次いでiPadでJRAのホームページでパトロール・ビデオを見る。逃げたダイワキャグニーは当然だが2着のカレンブーケドール、スワーヴリチャードは共に内ラチ沿いを走っている。特にスワーヴリチャードはゲートが開いた少しあとぐらいは、後ろへと置かれた瞬間もあった。そこから鞍上が前に内へと押し上げて絶好のポジションをキープしている。ここがまずはポイントか。道中で内ラチ沿いを走れるメリットはかなり大きい。ワグネリアンは、そのスワーヴリチャードの外めへとなっている。この差が後で影響するとは微妙なものである。 スタートは五分に出たマカヒキだが、鞍上はすぐに内へ誘導する。後方で脚を貯める作戦だ。脚を貯めに貯めて4角まで内で我慢、直線入口で馬群の切れ目から外へと誘導。そこで先に動いて行ったユーキャンスマイルがいたので、それを先にやってからの外出し。そこがもっとスムーズに行けていたら、もっと前に来れていたかは結果論であろう。そのユーキャンスマイルは、スタートしてすぐはいいポジションだったのが、左右からの押圧で狭くなり、脚をとられる感じとなり下げざるを得なくなった。それで後ろから4番手。前の11頭の集団からは離れた位置となった。ここも痛かった点だろう。

直線での攻防も面白い。あと400あたりで、カレンブーケドールはダイワキャグニーのすぐ右後ろについた。内からスワーヴリチャードが近づいてきている。最初、オイシン・マーフィーは、ダイワキャグニーとカレンブーケドールの間を選びそうな動きだった。だが石橋脩騎手がカレンブーケドールの傍へ寄って進路をつぶす。そこで内へと進路を切り替えたマーフィー。そこからは迷いなく追って追っての攻防。面白いのはスワーヴリチャードだ。直線で気が付いたのが右舌、ダランと垂れさせている。それはズーッとしていたのか追い出されてから出したのかは判らない。まるであのアイシュタインがしているかの様にである。

火曜朝に庄野師と握手した時に聞いてみると、『苦しくてしているのか、遊んでいるのかの二つでしょうが、スワーヴリチャードの場合は遊んでいたと思いますよ』とである。次いで《有馬は?》には、『まだ何も決まっていません』だった。 友道厩舎では馬場の話が出た。前川助手が『朝に大江助手と馬場を歩いてみたら、内は乾いている。少し外はグチャグチャで、そこからだいぶ外目へと出ると、そこはまた乾いている、そんな馬場でしたよ』と言う、違う助手も『東京競馬場は内から乾くと言いますものね~』であった。そこを突けたマーフィーの決断力。そこに尽きるのかも知れない。カレンブーケドールが開けなかった進路。そこで内を突ききる迷いない気持ち。これが全てだった今年のジャパンCであったと言えよう…か。