関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

須貝尚介調教師

無敵の一年間を過ごすはずだった2013年は、年間でG1(宝塚記念)を1勝のみ。昨年快勝した阪神大賞典を始動戦に選び、新たに岩田康誠騎手をパートナーに迎えるゴールドシップだが、須貝尚介調教師の心境はいかに……。出走時の密着取材を恒例にしている競馬ラボにとっても劇的な復活は待たれるところ。十八番の阪神競馬場からリベンジを始める芦毛の馬体から一時も目が離せない。

有馬からプラス10キロ前後で始動

-:お馴染みのゴールドシップ(牡5、栗東・須貝尚厩舎)についてお伺いします。2014年も阪神大賞典から始動しますが、有馬記念以降、放牧から帰ってきての状態を教えてください。

須貝尚介調教師:良い感じで帰ってきました。トモの筋肉が一度、落ちたけれども、そこも戻ってきたので、体調面の問題はないと思います。ゴールドシップ自身も戦闘モードに入ってきていますし、良い状態でレースへ向かえると思います。

-:先週も角馬場で歩いているところを見させていただいたのですが、表情もハツラツとしたところが戻ってきた印象を受けました。先生の目から見て、精神的な面はどう感じていらっしゃいますか?

尚:気分、精神面は良い感じでいるけれども、競馬に対する姿勢はもう一歩、足りないところがあるので、そこをカバーするために、来週のもう一本でキッチリとやりたいと思います。

-:追い切りでいえば、日曜日も乗れますからね。

尚:そうですね。日曜日も力を入れすぎず、そこそこのところはやると思いますからね。最終的に来週の追い切りできっちりと整えたいと思います。


「今度は乗り手が替わるのでね。この馬は人をナメるところがあるので、その点で乗り役が替わることはプラスではないかと思います」


-:今朝(3/12)はアスカクリチャンとCWコースでの併せ馬でした。

尚:引っ張る形だったアスカクリチャンが遅かったので、時計的にはもうちょっとなところだったんだけど、動き自体は悪くなかったですね。

-:ここと来週でびっしりと追って、レースに挑むことになると思います。体重はどれくらいになりそうでしょうか?

尚:前走からプラス10キロ前後でいければ、と思っています。

-:有馬記念はゴールドシップのファンからすれば、悔しい思いもあったと思います。また、強いゴールドシップの姿を見たいという願いがあると思います。先生の胸の内にも、そういうところがあるのではないでしょうか。

尚:今度は乗り手が替わるのでね。この馬は人をナメるところがあるので、その点で乗り役が替わることはプラスではないかと思います。


阪神大賞典(G2) 1週前追い切り
3/12(水) CW 6F81.0-65.1-50.7-37.7-12.5秒(一杯)


新パートナーの感触は上々

-:先週、今週と今回騎乗する岩田康誠騎手が追い切りに跨がられました。追い切りが終わった後の岩田騎手はどんな感触でしたか?

尚:「やっぱり良いね」という印象で乗ってくれているし、今の時点で岩田君には悪さをしていないみたいだからね。でも、岩田君だって、(ゴールドシップが)やらかしそうな雰囲気を持っていると思うんでね。「ただ、背中は凄く良い」とも評価をしてくれていますから。

-:この馬の絶好調時は元気が良すぎるくらいの方が良いんですよね。

尚:それは年齢を重ねるうちに解消してくるところもあると思うんです。一概には言えませんよね。

-:では、2014年の始動戦。キッチリと決めたいところですね。

尚:力があるところを見せつけたいですね。去年の天皇賞が悔しい思いをしたので、先へ向けて考えるところもあり、参考になるレースでもあると思います。

-:天皇賞をはじめ、リベンジしたいシーズンですよね。

尚:ええ。もちろんです。



-:今開催の阪神の馬場ですが、時計が出やすい馬場でした。今の馬場とのゴールドシップの相性についてはいかがでしょうか?

尚:この間、芝を歩いたんだけど、硬いといえば、ちょっと硬めの馬場だったね。ただ、硬い馬場でも勝っている実績はありますからね。

-:では、周囲に言われることでもある、重い馬場が強い、速い馬場に弱いというイメージは。

尚:頭っからそういう認識で行く必要はないと思いますよ。

-:晴れた天気の良い日でも強いゴールドシップの姿が見られると。

尚:はい。お見せしたいと思います。

-:充実期に入って、一段とパワーアップしたゴールドシップが楽しみです。

尚:この時期は評価を問われる年齢ですから、そういう意識でやっていきたいと思います。

-:この先も応援していますので、引き続きよろしくお願いいたします。

尚:はい。応援よろしくお願いします。




【須貝 尚介】 Naosuke Sugai

1966年滋賀県出身。
2008年に調教師免許を取得。
2009年に厩舎開業。
初出走
09年3月8日 1回阪神4日目7R ワーキングウーマン
初勝利
09年3月14日 1回阪神5日目7R ホッコーワンマン


■最近の主な重賞勝利
・14年 中山記念/13年 天皇賞(秋)
(共にジャスタウェイ号)
・13年 阪神JF/13年 札幌2歳S
(共にレッドリヴェール号)
・13年 宝塚記念/13年 阪神大賞典
(共にゴールドシップ号)


父は定年により引退を迎えた須貝彦三・元調教師。自身は騎手として4163戦302勝。うち重賞は01年のファンタジーS(キタサンヒボタン)など4勝。 09年から厩舎を開業し、初年度は年間10勝だったが、年々勝ち星を伸ばし、昨年はゴールドシップ、ローブティサージュ、ジャスタウェイを筆頭に勝ち星を量産。先日はあの矢作芳人厩舎の記録を塗り替え、史上最速でJRA通算100勝を達成。一躍、関西のトップステーブルにのし上がった。 「トレセンLIVE!」でコラムを掲載している榎本優也調教助手が在籍していることでも、競馬ラボではお馴染み。


【高橋 章夫】 Akio Takahashi

1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて17年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。

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