
脇役から堂々「まつり」の主役へ! キタサンブラック
2015/5/24(日)
-:血統的な話で、ダービーの2400mというコースは、どの馬にも未知な部分があると思うのですが、血統が好きな人からしたら、“母父サクラバクシンオーという血統がどうなのだろう”と思う人は多いと思います。
清:僕もそこは思いますよ。
-:やっぱり影響あると思いますか?
清:どこかで影響あると思います。限界はあるでしょうね。
-:ディープインパクト産駒も2000mくらいまではやっぱり強いじゃないですか。お兄さんのブラックタイド産駒のデータがそこまでないので、わからないですが、どちらかといえば2000m以下の方がいいですか?
清:うちの走る(ディープインパクト兄弟の)オンファイア産駒も1400mの馬ですからね。
-:先生もキタサンブラックの距離適性に関しては未知の領域だと。
清:やってみないとわからないです。ただ、乗り味、身のこなし、あの天性の折り合いですか、絶対引っかからないっていうのを考えると、まず保つと思います。
「いえいえ、(天性のトビは)生まれ持ったものです。牧場時代からです」
-:この馬のフットワークっていうのは僕も写真を取っていて、見させて頂いても、すごくキレイなんですね、トビが。あれは先生が教えたものですか。
清:いえいえ、生まれ持ったものです。牧場時代からです。
-:“キレイなフットワーク=速い”というのは違うと思うのですよ。例えばドゥラメンテなどは我流というか、荒々しい走り方であれだけ走るので。フォームだけで一概に言えませんが、2400mという長い距離を走る上で、完歩が少なく済むところでいうと、長所ですね。
清:ストライドは大きければ大きい程、同じ距離を走るにしても、完歩数が少なく済むので、体力の消耗も少なくなりますよね。呼吸数も少なくなります。ピッチ走法よりは間違いなく有利ですよね。
-:ということは、良馬場を期待したほうがいいという事でしょうか。
清:そうですね。良馬場でやりたいですね。お客さんも良馬場で見たいでしょうし。

-:この馬やテイエムイナズマの活躍があって、ブラックタイド産駒の評価というのが一気に高まっていて、種付け料も上がったらしいですね。
清:上がったらしいですよ。去年よりはすごく人気があるみたいですね。
-:キタサンブラックのおかげですよ。
清:よく頑張っているんじゃないですか。
-:ちなみにこの馬がこれだけ活躍されると、恩師でもある浜田先生も応援して下さってるみたいですね。
清:はい。それはもちろん。「毎週、お前の何使ってるか見てるぞ」って言ってますしね。「はよG1勝てよ」と言われてますから(笑)。僕はプレッシャーと受け止めていないのでね。
-:どう受け止めているんですか?
清:普通にありがたいな、応援してくれる方がおるんや、と。いつか(G1は)勝てると思ってますのでね。まだまだ調教師人生長いですから。
-:ちなみにキタサンブラックは先生が作られるから、先行馬になってるわけですか?
清:いえ、これは生まれもった競馬センスですよ。まさか2走目にあんな競馬ができるとも思っていなかったので。
-:トウケイヘイローも距離適性が違いますが、似たイメージがあるのかなと。
清:ヘイローは性格上ね、全然違いますよ。闘争心丸出しなんでね。
-:あの馬は闘魂ですか。しかし、こんなに早い時期に楽しみな馬でダービーを迎えられるというのは。
清:本当にありがたい話です。こんな若造の6年目にね。ダービーで人気、それなりにチャンスがあるような馬に巡り会えるのはありがたいです。
-:それでは、その意気込みを最後にファンに伝えて頂いていいですか。
清:ブラックタイドという血統、素晴らしい成績でダービー迎えられるわけなので、兄弟のディープインパクト産駒をやっつけたいですよね。
-:兄貴の強さを見せましょう。ありがとうございました。
清:はい(笑)。ありがとうございます
(取材・写真=高橋章夫 写真=山中博喜)
●キタサンブラック・清水久詞調教師インタビュー(前半)はコチラ⇒
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プロフィール
【清水 久詞】 Hisashi Shimizu
父親の清水貞光氏が冠名カルストンの馬主。幼少の頃より毎週競馬場に連れられており、牧場勤務を経た後に自然とこの世界に入る。「目指そうというよりも気がついた時には厩務員になっていた」と。
トレセン勤務後は定年での解散まで浜田光正厩舎に所属しており、当時に携わったのが牝馬2冠馬のファレノプシス。その思い出を「あの経験は未だにすごく大きなもの。古馬になってからのプレッシャーは大きかった」と語る。調教師になった後も「今こうやって調教師をしているのはいろんな人の力。人と人との繋がりを大事にしていくこと」と、絆をモットーにしている。
1972年大阪府出身。
2009年に調教師免許を取得。
2009年に厩舎開業。
初出走:
2009年6月21日3回阪神2日目11Rメイショウロッコー
初勝利:
2009年8月16日3回新潟2日目6Rチョウハイレベル
【高橋 章夫】 Akio Takahashi
1968年、兵庫県西宮市生まれ。独学でモノクロ写真を撮りはじめ、写真事務所勤務を経て、97年にフリーカメラマンに。
栗東トレセンに通い始めて18年。『競馬ラボ』『競馬最強の法則』ほか、競馬以外にも雑誌、単行本で人物や料理撮影などを行なう。これまでに取材した騎手・調教師などのトレセン関係者は数百人に及び、栗東トレセンではその名を知らぬ者がいないほどの存在。取材者としては、異色の競馬観と知識を持ち、懇意にしている秋山真一郎騎手、川島信二騎手らとは、毎週のように競馬談義に花を咲かせている。
毎週、ファインダー越しに競走馬と騎手の機微を鋭く観察。馬の感情や個性を大事に競馬に向き合うことがポリシー。競走馬の顔を撮るのも趣味の一つ。
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