キンシャサに続く偉業をジャガーメイルで！
2010/4/24(土)
菅沼輝正調教助手
－：天皇賞に出走を予定しているジャガーメイルに関して、堀厩舎の菅沼調教助手にお話を伺います。菅沼さん、よろしくお願いいたします。
菅：よろしくお願いします。
－：前回お話をお聞かせいただいたキンシャサノキセキ、高松宮記念優勝おめでとうございます。
菅：ありがとうございます（笑）。いやー、良かったですよ。
－：今回はキンシャサと同じ馬主さんのジャガーメイルで天皇賞を目指しますね。ジャガーメイルの戦績を振り返ると、デビューが3歳の9月だったというところが気になりますが。
菅：ちょっと体が弱かったみたいなんですよね。当歳の頃、飛節の下あたりに大きなケガもありましたし、それをかばっていてデビューが遅れたのもあると思います。ですから、いまだに歩様も良くはないんですよ。
－：菅沼さんは、デビュー前に跨ったことはありましたか？
菅：ありましたよ。普通キャンターのときは、ちょっとコチコチしたような硬い走りなんですよ。でも速いところに行ったら、ロックドゥカンブよりも走ったんですよね。そこで「あれっ！？この馬走るわ！」って思ったんですよね。
－：その前までは、そこまでやれるという感じはなかったんですか？
菅：正直、普通キャンターで乗っていたくらいでは、特に「凄く走るな」という感じはしませんでした。それが15－15以上になって、スピードが速くなってからは走りが良かったので、みんなビックリしましたよ。
－：菅沼さんはずっとジャガーメイルの調教に乗っていらっしゃるんですか？
菅：毎回ではありませんけど、最近も乗っていますよ。昨年暮れの香港に行く前の調教にも乗りましたしね。
－：ジャガーメイルのことをどんな馬だとお感じになられますか？
菅：この馬は引っ掛かるような馬ではないので、普段の調教でも引っ掛からないんですよ。「この人でなければ乗れない」というような感じでもないし、誰の言うことでも聞いてくれる素直な馬で、変なクセも無いし、自由自在という感じです。だから競馬に行って、乗り役も乗りやすいんじゃないでしょうか。
－：なるほど。
菅：逆に「気が良すぎる」というか、素直過ぎるくらいに真面目な馬です。物凄く真面目です。
－：以前キンシャサノキセキについてお聞きしたときには「ズルさが出てきている」というお話がありましたね。
菅：そうそう（笑）。あの馬は生ズルさが出て来ていますからね。力はあるのに調教でも気の悪い面を見せることがありますけどね。人を見ながら悪さをしてみたりね（笑）。ジャガーメイルはそういうところは無くて、真っ正直です。入厩してきた頃からずっと「真面目青年」です（笑）。
－：その真面目青年のジャガーメイルですが、レースでも良い結果を残してきましたね。ここまで全部で17戦を消化していますが、6歳という年齢を考えると少なめかなという印象があります。
菅：体質が弱いタイプの馬ですから、あまりコンスタントに使う感じではなくて、間をあけて元気に作っていく方がいいみたいです。筋肉も他の馬に比べて硬いみたいですしね。
－：筋肉の質が硬いんですか。
菅：そうなんです。今日もマッサージをしてもらっていますけど、マッサージの先生が言うには「今まで何千頭のマッサージをしていますけど、ジャガーメイルの筋肉の質は硬めの方ですね」って。それでもここまで走っているんですから、これで筋肉が柔らかかったら更に凄いことになっていたんじゃないですかね（笑）。
－：スポーツをする上では、筋肉が柔らかいに越したことはないでしょうしね。
菅：先生も、馬を柔らかく柔らかく作っているみたいで、マッサージをしたりいろいろとやっています。
－：なるほど。そのように調整しながら天皇賞を目指していらっしゃるわけですが、昨年も天皇賞に出走されて5着でした。レースをご覧になってどう思われました？
菅：距離は全然問題ないと思いましたよ。
－：昨年は暮れの香港からぶっつけで臨みましたね。
菅：そうでしたね。今回は一回叩いている分、良い状態でレースを迎えられそうです。
－：今年は当初予定していたダイヤモンドステークスを回避して京都記念に向かわれましたけど、体調はいかがでしたか？
菅：京都記念の1週間くらい前に皮膚炎になってしまって1日程度休んだんですよね。だから心配していましたけど、競馬に行ったら全然問題は無かったようですね。
－：その京都記念はブエナビスタの2着に入りました。
菅：惜しい競馬でしたね。ルメール騎手も「もうちょっと早めに仕掛けていれば、もっと良い勝負になった」と悔やんでいましたからね。
－：勝てるチャンスを逃してしまった、という気持ちで。
菅：そんな感じがあったみたいですよ。残念でしたね。
－：京都記念後の体調はいかがですか？
菅：良い感じできていますよ。今日（4月22日・木）の追い切りでも動きが良かったです。6ハロン長めから80秒くらいの64～5秒、36秒の終い1ハロン12秒だったようですけど、乗った石橋（脩）君も「前走のときよりも上向いています。息も良いし、出来ていますね」って言ってくれましたから、それは良かった、と。
－：なるほど。
菅：今日の調教では、少し本格的に半マイルからビュンと行ってもらって、終いタレるかタレないかを見たかったんですよね。
－：ご覧になっていかがでした？
菅：長めから行ってダッシュしてもらいましたけど、終いもタレないで十分に走っていましたね。ジョッキーも上機嫌でしたし、良い内容だったと思います。体つきも全体的には細身のタイプですけど、今は結構ガッチリしていますし、毛ヅヤも良くなってきています。数字上、体重はそれほど変わりませんけど、体が大きく見えますしね。体が大きく見えるのは、体調が良いということですからね。厩務員も「体調は良いです」と言っていますよ。
－：体調が凄く良いんですね。ちなみに輸送のタイミングはいつくらいをお考えですか？
菅：レースの前々日にあたる金曜日くらいには移動するんじゃないか、と思いますけど、実際にどうなるかはまだ分かりません。
－：来週の調整はどのような予定をお考えですか？
菅：来週は恐らく短めのところを様子見でサッとやると思いますよ。半マイルくらいのところから行って、直線だけ手応えを見る感じだと思います。もう息は出来ていますから、あとはそんなに必要ないと思います。
－：そうですか。あとは輸送に関しても特に心配はなく。
菅：ええ。海外にも行っていますし、性格もイライラするようなタイプではありませんから、心配するようなところは一つもありません。お利口さんですから、この馬は（笑）。
－：万全の態勢でレースに臨めそうですね。
菅：そうですね。レースでも外国人ジョッキーに頼むようですし、抜け目ないレース運びをしてくれるでしょう。気の良い馬ですけど、少し渋いところもありますから、最後までビシッと追ってほしいですね。
－：楽しみにしています。今日はありがとうございました。
|
