デキは皐月以上!激走狙うガルボ
2010/5/2(日)
清水英克調教師
高:お二人ともよろしくお願いします。
清・菊:よろしくお願いします。
清:前も言いましたけど、いつも競馬ラボのインタビュー読んでますよ。僕、競馬ラボでしか話していないこともあるんですよ。
-:うお!本当ですか?
清:そう。掲載されたインタビューを読んだら、ここでしか喋ってなかったことがあってね。
高:わー、嬉しいです。
-:今回もよろしくお願いします!
高:お願いします(笑)。今日はガルボについてですが、まず前走の皐月賞から聞かせてください。レースではちょっと外を回ってしまっていたようですけど…。
清:そうですね。馬の出来は良かったので、ちょっともったいなかったですね。馬も思ったように走れなかった感じがあったんでしょうね、ストレスが溜まって、レースが終わったあと大変でした。
高:ガルボ自身がフラストレーションを抱えた感じになったんですか?
清:そうそう。「走りたいのに走れなかった」という感じでね。レースが終わって一週間くらいモヤモヤしていましたよ。
高:そうなんですか。その後の状態はいかがですか?
清:その後はだいぶ良くなりましたよ。皐月賞を使ったことによって、気持ちが落ち着いてきた感じですね。元気もあるし、ゆったりしているように見えます。
高:なるほど。ガルボの調教に騎乗されている菊地さんに伺いますが、追い切りでの感触はいかがですか?
菊:追い切りでもキリッとしていますよ。昨日(4月27日・火)は久々に馬場に出て喜んじゃったこともあって、ちょっと言うことを聞いてくれませんでしたけどね(笑)。でも今日(4月28日・水)は落ち着いていました。
高:昨日馬場に出たことによって、落ち着いたんでしょうか。
菊:そうだね。
高:追い切りのとき特に注意されている点はありますか?
菊:いやー、全部の点に注意して乗っていますよ。(清水先生を見ながら)うるさいしね(笑)。
高:アハハ(笑)!
菊:まあ、馬場へ出るときに「後ろから馬が来ないか」って注意はしますよね。後ろから馬が来ると、それにくっついて行ってしまうから。そうすると悪い癖が付いちゃいますしね。だから周りの状況は注意しますし、他にもいろいろ気を付けますよ。やっぱり馬主さんから預からせてもらっているわけですからね。
清:ね。でも本当、ガルボは調教を見ていて身のこなしが良くなりましたよね。動きにキレが出た感じで、皐月賞前より良くなっていると思います。
菊:これからもっともっと良くなるんじゃない?まだまだ先がある馬ですよ。
高:まだ成長の余地は大きいんですね。
清:まだ馬が半分も出来ていないんじゃないか、と思うんですけどね。体もまだ450キロくらいで小さいし。
高:さっき、担当の枩谷(まつたに)さんにお話を聞いたときも「初めて見たとき『小柄な馬だな』と思った」っておっしゃっていました。
清:ああ、それはアイツが大きいんだよ。
高:アハハ(笑)!
清:彼、クレヨンしんちゃんの「ボーちゃん」に似てるでしょ?知ってる?いつも鼻をたらしているボーちゃん。
高:鼻をたらしているけど「やる時はやる!」みたいなキャラですよね(笑)。
清:そう。でもウチのボーちゃんはやる時にはヘタれるから(笑)。でも、頑張ってよくやってくれていますよ。彼が担当してくれているからこれだけ走っているのかもしれませんしね。
高:担当の方が変わると馬にも影響があるんですか?
清:ありますよ。全然変わります。

高:じゃあここまでガルボが良い結果を残しているのも、枩谷さんとのコンビが上手く行っているというのもあるんでしょうね。
清:磁石のS極とN極が引き合うように。枩谷のノンビリした感じが逆に良いのかもしれませんしね、普段から馬がカリカリしなくて。あと「これは良いな」と思うのは、枩谷に限らずウチの厩務員さんは、馬をいじめないんですよ。躾はしますけど、馬をいじめることはほぼ100%ありません。
高:なるほど。
清:だから馬が凄く人間を信頼するんですよね。ガルボもそういうところがありますよ、枩谷を頼っている感じが。馬が一番苦しいときに頼るのは厩務員さんですから。その頼るべき存在の厩務員さんが馬をいつもいじめていると、馬は頼る存在がなくなって孤独になっちゃうと思うんですよね。
高:そうなると寂しいですよね。
清:でしょう?でもウチの厩務員さんたちはみんな、馬がレースに行く、戦場へ向かうときに「一人じゃないんだよ」っていうのを馬に教えてあげているんですよね。だから馬が厩務員さんを信頼しているのがよく伝わってきますよ。これは大事なことだと思います。
高:安心出来る状況でレースに臨めているんですね。ちなみに現時点での課題は何かありますか?
清:うーん、やっぱり競馬に行ったときにもうちょっと落ち着いて欲しいですね。牝馬みたいにカリカリしていますから。良い意味で捉えれば気合乗りなんですけど、悪い意味で捉えれば落ち着きがなくてソワソワしているところがあるんですよね。装鞍所では大人しいんですけど、パドックに行く頃になるとカーッとして来るんですよ。
高:そのあたりで落ち着きが出て来てくれれば、と。
清:そうですね。今のカーッとなる度合いが10だとすると、5ぐらいまで下がってくれれば気合乗りも適度でいいのかな、と。
高:あ、0になる必要はないんですね。
清:やっぱり外から見て気合乗りが分かる、というのも闘志ですからね。
高:今回も後藤騎手とのコンビですね。
清:はい。2度目の今回は違ったかたちを見せてくれると思います。まあ、実際には3度目ですけどね。
高:未勝利戦のときに乗っていらっしゃいますよね。確か皐月賞の前に「調教で乗ったら未勝利の頃とは別の馬になっていた」とおっしゃっていました。
清:馬も自信を持ったんでしょうね。やっぱり、馬はレースで勝っていくと自信を持っていく動物なんですよ。未勝利で終わる馬は、装鞍所へ行って、パドックへ行って、レースを走って、終わったらそのまま厩舎へ帰っていくでしょう?でもレースで勝つと、表彰式へ向かう前に検量室前を回って歩いたり、ウィナーズサークルで口取り写真を撮ったりするじゃないですか。
高:いろいろなセレモニーがありますよね。
清:その間に我慢を覚えるんですよ。セレモニーの間は、歩かされたり立ち止まったり、いろいろ我慢をしていなきゃいけませんから。
高:なるほど。
清:まあ結局、馬にとって競馬は我慢ばかりですからね。装鞍所へ行って鞍を置かれるのも我慢ですし、パドックを歩くのも我慢。馬場に出て走っても、返し馬が軽めだったらジョッキーにずっと押さえ付けられますしね。
高:そうですね。
清:レースで走るときだけがストレス解消ですけど、それも全てが自由じゃないでしょう?先行する馬だったら、ムチで叩かれてポジションを取りに行くだろうし、追い込み馬だったら走りたくても押さえられるし。そういうのを経験していくと体も強くなりますけど、気持ちも強くなりますよね。
高:慣れてくるんですか?
清:そうそう。
高:じゃあガルボも朝日杯に出走したり、重賞を勝つことによって成長をしていったんですね。
清:そう。ああいうせめぎ合いのレースを経験すると、グッと我慢を覚えて大人になってきますよ。また、一回高いレベルを経験すると、そのレベルから下がったところでは、よく周りが見えて自分の力が発揮出来るということはあると思いますよ。
高:いろいろな経験を積んで、今回で3度目となるG1挑戦になりますが、楽しみですね。
清:マイルのシンザン記念を勝っていますし、皐月賞と比べて今回の方が条件は合っていると思います。
高:コース替わりも好材料ですね。
清:東京コースでは2戦して1勝2着1回ですし、勝ったときも、追い込んで強い勝ち方でしたからね。
高:馬場に関してはいかがですか?
清:あまり悪くなるようだと向かないかな、とは思いますね。まだ腰が甘いところもあるので、良馬場の方が力を発揮出来ると思います。
高:なるほど。では来週の調整で態勢を整えて、再びG1の舞台に向かうということで。
清:そうですね、日曜日にやって、来週の水曜日に流す程度の予定で上手く仕上がると思っています。次は良い決着をつけたいところですよね。NHKマイルカップの結果によっては、ダービーへ進むことがあるかもしれませんけど、僕たちは「1戦1戦を常に目一杯戦う」というポリシーでやっていますので、今は次のことを考えずに目の前のNHKマイルカップに集中していきます。
高:応援しています。先生、菊地さん、今日もありがとうございました。
清:来週も待ってますよ(笑)。
高:ありがとうございます(笑)。またよろしくお願いします。
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■最近の主な重賞勝利 |
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10年1月10日にガルボでシンザン記念を勝ち、初重賞勝利をおさめた。その翌日の1月11日にはコスモネモシンでフェアリーステークスを制し、二日連続の重賞勝利という偉業を成し遂げた。重賞初勝利をあげたガルボで厩舎初のNHKマイルカップに臨む。 |
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■出演番組
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2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |









