シャケトラが、初重賞制覇を飾った舞台で逆襲を誓う。春に有馬記念と同じコースの日経賞を勝ち、宝塚記念では2番人気に推されて4着。この秋は天皇賞(秋)15着、ジャパンカップ11着と不振だが、太め、モタれる左回り、外枠と敗因は明確だ。条件が好転するグランプリへ向け、上村典久調教助手に調整過程と手応えを聞いた。

太め解消へ「春に比べたらかなりの調教量」

-:有馬記念(G1)に出走するシャケトラ(牡4、栗東・角居厩舎)についてお聞きします。天皇賞(秋)の前にも話をちょっとだけ伺ったんですけど「状態は良いけど太い」という話があったと思うんですけど、レース前の調教後の馬体重でも、レース当日の馬体重を見ても、確かに前よりは太いのかなという感じがしたんですが、結果的に天皇賞(秋)もジャパンCも520キロ台ということでしたね?

上村典久調教助手:天皇賞(秋)が526、ジャパンCが524ですね。年齢的にもああいう体型になるのかなという感じですけどね。メチャクチャ乗り込んで絞ろうとはしていないですけど、結構な運動量で負荷を掛けて、天皇賞(秋)は休み明けだったので、そこまで負荷は掛けられなかったですけど、ジャパンCの前からは結構負荷を掛けていましたね。

上村典久調教助手

-:天皇賞(秋)前は、正直太いのが分かっていて出していたんですよね?

上:しょうがないですよね。550キロ台で放牧から帰ってきて、それでも3週間で20キロ絞れた計算にはなっているんですよね。だから、530ぐらいが・・・。あまり汗をかかないので、季節的なものはありますけどね。

-:それもあって、この秋はプールも使われているのですか?

上:プールはずっと行っていたんですけどね。頻繁には行っていますけど、ウチの厩舎は追い切った後は曳き運動だけなんですよね。ただ、ちょっと足りないかなと思って、毎週木曜日はプールに行くようにして、ちょっとでも運動量を増やそうかなと心掛けているんですけど、体重に表れているかと言ったらそうでもないですよね。距離的にも春に比べたら全然、かなりの調教量を積んでいるんですけどね。

-:それは、追い切り以外の運動とかも長めに乗っているのですか?

上:そうですね。普段から長めに乗るようにして、それだけ耐えれるような体質になってきたということですよね。

-:ちなみに比較対象としたら、普段だったらどれぐらいで、この秋だったら太目解消でどれぐらい乗り込んでいるのですか?

上:春までだったら、500の角馬場を3~4周ぐらい乗って、坂路1本という調教メニューだったんですけど、今回は一番広いEコースで半周ダクを踏んで、CWに入って半周ハッキングをして、丸々1周普通キャンターをして、そこからもう1回山(坂路)に行ったりだとか、そんなにスピードは出す訳じゃないですけど、距離的には春と比較をしたら、かなりの負荷が掛かっていると思いますね。

-:今回は、ズバリ数字的には下がってきそうな見込みというのはありますか?

上:どうなんですかねぇ。東京に2回輸送をしても全然減らなかったので。

-:3回目の輸送で減るかもしれないですね?

上:今でも530あるので、520を切ることはないかなぁ。

-:一般的には関東圏に持っていったら、-10とかですよね?

上:春は減ったんですよね。日経賞の時は520キロ弱あって、向こうに持っていったら506だったんで。初輸送だったんですけど、この馬は10キロぐらい減るんだなと思って。10キロぐらい減るだろうと、大体その計算で秋も考えていたんですけど、全然減らなかったんですよね。そういう面で精神的にもドッシリとして、成長しているのかなと。中山の日経賞の時が初めての長距離輸送だったんで、前走から比較しても多分6キロぐらいマイナスで出ていたと思うんですよね。

-:他の厩舎さんに聞いたんですけど「中山だと出張馬房が藁だから増えやすい」と言っていましたね?

上:気にしていないですね。そんなに言うほど食べないですよ。最初は珍しくてバカバカ食いよるけど、寝藁で10キロ増えることは・・・。

-:それはないですかね?

上:ないと思いますね。僕は全然気にしていないですけどね。

-:この馬の(カイバ)食いに関してはいかがですか?

上:やったらやるだけ食べますね。デビューからずっと残したことがないです。だから、エサもあげ過ぎないように。

シャケトラ
日経新春杯は鞍ズレて僅差2着

-:実質、デビューから1年半でこの秋3冠を使うというのは、なかなか大変なことじゃないですか?

上:そうですね。そこまでの過程が能力を感じる馬だったので、1000万を勝った時に次の準オープンを使わないで日経新春杯に行ったのは、やっぱり勝ち負け出来るという手応えもあったので。

-:いくつか伺いたいポイントがあったんですけど、今、日経新春杯という話題があったんですが、あの時は鞍がズレるというアクシデントがあったと思います。乗らない人間からすると分かり辛いんですけど、日経新春杯のアクシデントはマイナスではありましたか?

上:道中鞍がズレたら、ピタッと嵌まっている鞍がグラン、グランしたら、後ろから押されているから、馬はどうしても・・・。その鞍のズレ方にもよるけど、日経新春杯の時はちょっと鞍が波打つ感じで、ベコベコなっていましたからね。単純に前にズコッと行ってしまったら、乗り役は乗っていられないと思うんですよ。そこまでズレて、キ甲から抜けた訳じゃないんですけど、やっぱり不安定でどうしても鞍が動いているので、だから道中はハミを大分噛んでいましたね。あれがなかったら勝ったと思いますけどね。

-:着差が着差で、ほぼ同着みたいなレベルだったですからね?

上:鞍がシッカリ付いていたら、終いもうちょっと伸びていたと思うんですけどね。

シャケトラ

ミッキーロケットのハナ差2着だった日経新春杯ゴール前

-:もう一点気になるのが、ここ最近の走りを観ていると、前はユッタリ出していって、段々加速していく競馬が多かったのに、天皇賞(秋)も前走もそうかもしれないですけど、宝塚記念しかり、ちょっとボンと行きますしね?

上:やっぱり乗り役がキタサンブラックという馬を意識しているから。本当は日経賞を勝ったような、後ろから行って4角で捲りながら上がってくる競馬が合っているんですけど、やっぱり宝塚記念の時もルメールが「キタサンブラックの後ろでは絶対に勝てない」、「あの馬よりも前で競馬をする」と言って、今まで出されたことがなくて、ああいう競馬になってしまって。天皇賞(秋)でも出したら引っ掛かったぐらいで、やっぱりちょっと噛んでいますもんね。

-:天皇賞(春)でも、出遅れた所からちょっと出していきましたしね?

上:いや、勝ちに行かずにあのまま行ったら、もっと着順は上がっていたと思いますよ。

-:あれもありましたし、宝塚記念の競馬もありましたし、そういう影響がこの秋はちょっとあったのかなと?

上:それで、外枠、外枠が当たっているから、やっぱり乗り役の心理として前に行きたいんですよね。

-:多分、ジャパンCでもそういう意識があったんですかね?

上:外枠で内は絶対に空かないというね。

「この秋はちょっと枠も悪すぎましたね。本当は日経賞を勝ったような、後ろから行って4角で捲りながら上がってくる競馬が合っている」


-:その点、今回は何とか内枠を引いてくれて、後ろでも良いからという感じだったら?

上:そうですね。この秋はちょっと枠も悪過ぎましたね。やっぱり前に馬を置いて、溜めて3~4角からバッと捲っていくような競馬が、現時点では一番能力を発揮出来るのかなと。ただ、そればっかりは乗り役が乗るんですね。

-:やっぱり乗っている人とスタッフの方との考えの違いは多少あるでしょうからね?

上:そうですね。

-:指示はあるでしょうけどね?

上:指示しないですもん。指示をするのは先生ですからね。僕らはそんなこと言えないですもんね。現時点ではそういう競馬が理想かなと思いますね。また外枠に当たったらどうしようかと思ってね。

-:今回に関しては、どの陣営も外枠は引きたくないと意識はありますよね。それを言ったら天皇賞(秋)もそうですし、ジャパンCもそうでしょうけど、それが昔よりも馬場が良くなった分、より枠順の?

上:有利、不利がありますよね。

-:もちろん、それを味方に付けるのが?

上:勝つ馬の条件かもしれませんね。

骨折でデビュー遅れるも「走る」手応えあり
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