森裕太朗騎手インタビュー(1P)はコチラ⇒

家族3人で栗東に引っ越し夢かなえる

-:その学校時代の話も含め、騎手になられた経緯を教えていただけますか?

森:僕は宮城県出身なのですが、競馬場が近くにあって、父が競馬好きで、小学生の頃に連れていってもらったことがキッカケですね。生で競馬を観た時に、テレビで観る印象と違って、すごく衝撃を受けました。「自分もこういう職業に就きたい、馬に乗ってみたい!」と思って、目指し始めました。

-:僕も福島競馬場の雰囲気の良さは好きなのですが、けっしてG1のような大きなレースはないわけじゃないですか。レースの格よりも競馬という競技に感動を覚えたということですね。

森裕太朗

森:ハイ。テレビで観るのと実際に目の前で観るのでは違うじゃないですか。足音にもすごい臨場感があって、衝撃的でしたね。

-:そして、騎手になられるまで、何か取り組まれてきたことはあったのですか?

森:はじめはジュニアチーム()に受からなかったのです。でも、「長期的にやりたい」と父に頼んで、そうしたら「栗東の方に行くか」と言われて、母と僕と妹の3人でこっち(栗東)に来て、ビッシリ乗馬をやりました。中学2年生の終わりの頃にもう1回ジュニアチームを受けて、それに受かって。中3はジュニアチームで乗馬に励みました。

(競馬学校が早期人材養成活動として、2009年より取り組んでいるプログラム。中学校2~3年生を対象に乗馬指導を行っている)

-:一家あげてのサポートだったと。すごいことじゃないですか?

森:父が許可してくれたので。本当に金銭的にも大変だったと思うんです。あとは、お世話になっている馬主さん(岡浩二さん)の助けもあって、なんとか乗馬も続けられました。

-:岡オーナーは京都の馬主会の方ですね。

森:そうですね。役員をされている方なので。本当にサポートしてもらって。そこまでのサポートがあったお陰ですね。母は家族が散らばることに、本当は嫌がっていましたけどね。

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▲デビューイヤーには岡オーナーの馬でも勝利を挙げた

-:4人兄弟ということで家族が半々で行ったのですね。ちなみに、ジュニアチームでは、いま実際にプロになっている騎手はいますか?

森:2つ上の先輩でしたら岩崎(翼)先輩、1つ上だったら松若先輩、小崎(綾也)先輩がジュニアチーム出身ですね。

-:確か小牧(太)さんの息子さんもいましたか?

森:同じ歳でしたね。僕と小牧(加矢太選手)と何人かいたのですが、小牧も身長の問題がありましたし、体重の問題で入れなかった仲間も厩務員過程に受かって、栗東トレセンにいたりしますね。僕の他は4人だったのですが、ある意味、ヨソ者の僕が競馬学校に受かったという……正直、気まずい感じでしたけどね(苦笑)。そこは割り切って。

-:以前、小牧太騎手にうかがったところ、小牧さんの息子さんはけっこう身長があってダメだったそうですね。

森:そうですね。けっこう高いですね。ただ、国体選手として、オリンピックに出られるくらいですからね。みんなすごいと思いますよ。

同期から遅れ「辞めようかなと思ったりもした」

-:競馬学校に入ったら、いま助手になっている子以外は、ほぼ初対面みたいな感じだったのですね。

森:そうですね。でも、仲は良いと思いますよ。ローカルで会った時は部屋に入ってしゃべることもありますし。特に挙げるなら、木幡巧也が元31期で入学同期でもあって、卒業で同期でもあるので。一番仲が良いと言えば、仲が良いですね。

-:森騎手はケガが多かったそうですね。

森:そうですね。多かったですね……。400で乗っていたところ走られてしまい、400と500の間を馬が暴走してカーブを曲がり切れなくてポンと跳んで。その間に溝があるのですが、溝に落ちて大腿部骨盤骨折をしました。普通に生活をする分には全然問題ないのですが、復帰まで5カ月くらいかかったのかな。その後も400ですごく雨が降っていたのですが、馬がぬかるみにハマってしまい、胸椎圧迫骨折で背骨をやってしまいました。

それでまた2カ月休んで、競馬学校に帰ったところ、胸椎のやつがしっかり治っていなくて、右肩の筋断裂でけっこう休みましたね。実習のブリーズアップセールが始まる間くらいまでリハビリを色々していて、ブリーズアップが終わってからトレセンに戻りました。それで、8月に帰るくらい前にボルトを抜いて、帰って1カ月辺りで、またケガをして1カ月乗れなくて、東京競馬場で休憩の合間にやる模擬レースがあるじゃないですか。あれが復帰戦みたいな感じで、その後は順調に、という感じですけどね。

「あの頃は最悪でした。メンタル的にも病みましたもんね。辞めようかと思ったりもしましたが、やっぱり親がサポートしてくれて、これは降りられないなと思ってやっていたので」


-:1年遅れているんですね。

森:ケガで留年しているので。やっぱり早い内にデビューしたかったですけどね。いま考えたら、留年して良かったかなと。

-:若い頃の留年は周りの目が気になりますけど、月日が経つ内に気にならなくなるでしょうから。

森:関係ないなと思って。

-:時間の経過と共に、そこは気にならなくなればいいですね。故障が多かったわけで今は大丈夫ですか?

森:大丈夫です。でも、寒い時季はどうしても痛くなったりしますが、そこはカイロを貼ったりして、対処していますね。特に筋断裂したところの右半身の右肩辺りが痛いですよ。

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-:しかし、それだけケガをされる競馬学校生もなかなかいないかもしれませんね。

森:あまり、いなかったんじゃないですかね。

-:なかなか大変な時期を過ごされましたね……。

森:あの頃は最悪でした。メンタル的にも病みましたもんね。辞めようかと思ったりもしましたが、やっぱり親がサポートしてくれて、競馬学校を受ける前もこっちに越してきて、けっこうなお金を掛けてくれていたので、これは降りられないなと思ってやっていたので。

-:費用的にも、心情的にも、ですね。

森:はい。ここで辞めてもやることもないし、他にやりたいこともなかったので、辞めても(よくない)、と思って、最後まで頑張ろうと。最後まで、と言ったらおかしいですけど、ジョッキーになろうと思いました。

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