2歳6月新馬勝ちからクラシックも主役 早期デビュー世代の代表格 ステルヴィオ
2018/4/8(日)
ノーザンファーム天栄・木實谷場長 独占インタビュー(3P)はコチラ⇒
-:ダービーといえば、毎日杯を快勝したブラストワンピース(牡3、美浦・大竹厩舎)も楽しみな存在ですね。皐月賞を使わずに直行されるとのことですが?
木:レース後、3月29日に天栄の方に戻ってきました。ダービーに向けてしっかりと調整を進めていきたいと思います。
-:毎日杯からダービーというローテーションは決まっていたのですか?
木:普通なら、ゆりかもめ賞と同じ舞台の青葉賞という話だと思うんですけど、この馬に関しては新馬戦の後に疲労の回復に手間取って、2戦目を使うまでにかなり時間が掛かりましたからね。これまでの経過からして、青葉賞で走ってしまうと疲れを取り切れず、ダービーに良い状態で使えない可能性が高いと踏んで今回のローテーションを選択しました。勝たなければダービー出走は危うくなるだけにきっちり結果を残すことができてホッとしています。
-:ブラストワンピースのように使い込めないケースもありますが、牡馬についてはある程度、間隔を詰めても大丈夫なのかなというイメージがあるのですが?
木:本当に、馬によりけりです。順調にローテーションを組んでいける馬もいれば、成長が遅く、疲労の回復で精一杯という馬もいるわけですからね。今年のクラシック戦線でいえばブラストワンピースは成長途上の中で台頭してきましたが、同じような成長過程を踏んでいるグローリーヴェイズは思惑通りに獲得賞金の上積みができず乗り切れていません。クラシック戦線を歩んでいく上では大雑把な言い方になりますが、運を持っているかどうかも大事な要素になってきますね。
「成長を促しながらクラシック戦線を歩んでいくためにも、馬自身の完成度の見極めや、使うレースの相手関係の情報収集などはこれまで以上に努めてきたつもりです」
-:2018年のクラシックに向けて、ここまでの経験や反省を含めて心掛けていたことはあるのでしょうか?
木:レースを使っていくタイミングでしょうか。クラシック戦線を想定した際に嫌でもついてまわってくるのが獲得賞金の問題です。ステルヴィオのように早期に賞金を上積みできればゆったりとしたローテーションを選択することができるわけですから、理想とする「成長を促しながらクラシック戦線を歩んでいく」ためにも馬自身の完成度の見極めや、使うレースの相手関係の情報収集などはこれまで以上に努めてきたつもりです。年が明けて毎日杯まで3歳重賞を7つ勝つことができましたが、これまでの経験が私自身やスタッフの技術として蓄えられてきていると実感しています。
-:2歳の早い時期にデビューする馬が多かった印象があります。新馬戦を使うタイミングも早まっていますか?
木:この世代は北海道でも乗り込みも順調に進み、全体としてもデビュー時期が早まりました。結果的にデビューが早まる→勝ち上がる時期も早まるといういいサイクルになって層が厚くなったと感じています。デビュー時期と勝ち上がり率の相関関数は比例していますので、年々早期デビューを目指す傾向は強くなっていますね。
-:G1を使いたい馬だからと言って、勝ち上がるまで使い続けるということはされませんがそのビジョンは前から変わらないですか?
木:その点についてはあまり変わっていないですね。人それぞれ考えがありますが、僕個人としては、ダービーが全てだとは思っていません。ダービーを使って競走生活に支障が出てしまうような故障をしてしまった馬を何頭も見てきました。オークスもそうですけど、やっぱり3歳の春はどうしても馬に負担がかかる時期じゃないですか。重複しますけどクラシック戦線の後も競走生活は続くわけです。むしろその後の方が長いと言っても過言ではないでしょう。どの馬も1日でも長く、無事に競走生活を送ってほしいと願って日々接しています。
-:デビュー時期が早くなったおかげで、結果が出て賞金を加算できた馬はローテーションが組みやすくなりますね。
木:その通りです。やっぱりクラシックを戦っていく上では、早く出走可能な状況にするというのは大事なことですよ。
-:いろいろな工夫をされて臨む今年のクラシックで良い結果が出ることを期待しています。
木:はい。精一杯がんばりますので応援よろしくお願いします。
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プロフィール
【木實谷 雄太】Yuta Kimiya
1980年8月5日生まれ。東京都出身。国学院久我山高から東京農工大へ進学し、馬術部に所属。卒業後の2003年からノーザンファーム空港で勤務し、同12月から山元トレーニングセンターへ。2011年10月からノーザンファーム天栄に移り、2015年から場長を務める。趣味は野球観戦で、東北楽天ゴールデンイーグルスの大ファン。