宝塚記念連覇を狙うドリームジャーニー
2010/6/18(金)

池江泰寿調教師
-:競馬ラボとして、有馬記念以来のインタビューとなるドリームジャーニーについて、池江泰寿調教師にお話を伺います。よろしくお願いいたします。
池:こちらこそ、よろしくお願いします。
-:早速ですが、見事にブエナビスタを差し切って優勝された、その有馬記念から振り返っていただけますか。
池:天皇賞(秋)は6着でしたけど、そこから状態がグンと上向いていたので密かに期待していました。実際、レースにおけるペースも速くなったので、思ったとおりのすばらしい結果が出せましたね。
-:本当に感動しました。晴れて春秋グランプリ制覇という偉業を成し遂げることになります。そして年が明けてからは京都記念・大阪杯・天皇賞(春)という路線で進むということになったわけですが、このローテーションはいつ頃から決まっていたのですか?
池:実はこの青写真でいくことは、有馬記念の前から決めていました。
-:そんなに早くから決まっていたんですね。まず、京都記念から振り返っていただきたいのですが、ブエナビスタ・ジャガーメイルに続く3着と敗れてしまいました。これについてはどう見ていましたか?
池:有馬記念を勝った反動があったことでだいたいデキは当時の60%くらいでしたから、そんなに悲観していませんでしたよ。むしろ斤量が59キロだったことを考えると、合格点を与えられる内容でしたね。
-:なるほど。そして続く大阪杯についてですが、こちらは調教の動きなどは前回よりも良くなっていましたね。しかし、結果は前回と同じく3着に敗れてしまったわけですが、この点についてはいかがですか?
池:やはり斤量ですね。小柄なのでやっぱり59キロは厳しいですよ。ですから、この結果についても一応合格点であるとは考えています。京都記念の時から上積みもあって状態はかなりマシになってきていました。とは言っても、いい頃に比べると、京都記念、そして大阪杯での追い切りの動きは、シャープな部分に欠ける物足りないものでしたけどね。まあそのへんはあせってガンガン仕上げないように意識していたことなので問題ないと思っています。
-:その2走を経て、いよいよ天皇賞(春)となる予定だったわけですが、ここで右脚に腫れが出てしまい、回避ということになってしまいました。よろしければその症状について教えていただけますか?
池:球節が腫れたのですが、腫れ自体はそんな深刻なものではありませんでした。ですから無理をして出走という選択肢もあったのですが、やはり大事をとって宝塚記念を目指すことにしました。
-:これだけの馬ですからね。
池:そうですね。あと、距離適性や時季的なことを考え、やはりいい状態で宝塚記念を目指すということに落ち着きました。
-:なるほど。それで中間はグリーンウッドに放牧をはさんで先々週に厩舎に戻ってきたということですが、状態についてはいかがですか?
池:だいぶよくなっていますよ。馬体にもツヤが出ていますし。
-:ピカピカでしたね。やはり休ませた効果は大きかったというわけですね。では調教についてうかがいたいのですが、戻ってきてからは坂路で時計を出しています。6月10日には馬なりで4F52秒0という好時計がマークされました。
池:そうですね。脚の腫れがあったので、CWでのコース追いではなく坂路調教で仕上げることにしました。最終追いについても、主戦の池添ジョッキーに跨ってもらって目一杯ではなく、強めにサッとやる予定です。それで十分でしょう。
-:ドリームジャーニーのデキの良し悪しというのは、CWコースでの終い1Fで計れることが多かったのですが、今回は最終追いまで坂路ということなのですね。
池:たしかに今まではそういう風に仕上げてきたのですが、脚に負担がかかるコースで追って後悔したくないですからね。しかし、坂路で追うことは決してマイナスという意味ではありません。海外遠征してきたマイケル・スタウト師とあった時などは、コースの特性にあった調教を課さないと意味がないと言っていました。いくらいい時計が出たからといっても軽いところで追ったものだと結果が伴わないと言っていましたよ。今回は自分のところの馬が、いい意味で負荷のかかる調教を経験させてレースに出るわけです。この調教でどういう結果が出るか、みなさんにはしっかりと見てもらいたいですね。

-:調教でどんな動きをしてくるか楽しみですね。
池:うーん。楽しみというよりは、やはり坂路といえども脚の腫れが再発してしまうことが心配にはなりますけどね。まあジョッキーが乗ってくれるので、余計な負荷はかけずにギリギリに仕上がるところまで追ってくれるでしょう。
-:レース前の仕上げという段階からかなりの緊張感が伝わってきますね。さて、そんなドリームジャーニーですが、昨年に春秋グランプリ制覇を成し遂げて、今年の宝塚記念はディフェンディングチャンピオンとして臨むこととなります。そのことについて、昨年と比較して、意識する部分で変わったりしたところはありますか。
池:もちろんありますよ。昨年はどんどん調子がよくなっていく中での“挑戦者”という気楽な立場でしたが、今回については一頓挫あって、しかも“王座を守る”ということが目標となりますからね。日々細心の注意を払いながら、馬の状態を観察して、神経を使いつつ仕上げていっています。その点では全然意識というか気の遣い方が大きく異なります。僕の信念として馬をつぶしたくないということもありますからね。
-:それは「連覇を狙う」という意味で気を遣うということですか?
池:いえいえ「出走させる」という意味においてです。ファン投票でも2位に選ばれているわけですし、いい状態で出走させてあげないと応援していただいてる皆さんに申し訳ないですからね。先ほども言いましたとおり、脚の不安を再発させないように、無事にいい状態で出走できるようにということで気を遣います。
-:まずは“いい状態で出走を”ということですね。ちなみにドリームジャーニーはステイゴールド産駒ですが、そのステイゴールド産駒は6月に強いというデータがあるようです。ドリームジャーニーについても暑くなってきて変わってくると感じることはありますか。
池:ステイゴールド産駒全体についてはあまりわからないのですが、ドリームジャーニーについては、暑い寒いというよりも、季節の変わり目に弱いという一面があります。
-:そうなんですか!?
池:4月や10月にあるレースでよく負けているのも、朝日杯・宝塚記念・有馬記念を勝ったのも季節で見ると説明がつきやすいと思いませんか?
-:たしかに寒暖がはっきりと出る時季の方が、好走率が高いですね。
池:私も季節の変わり目には風邪を引いたりしやすいので同じです(笑)。
-:今あらためて知って驚きました。つまり今回の出走は時季的にも合うということですね。では、宝塚記念での理想的な展開などがあれば教えてください。
池:やっぱり有馬記念みたいに前が崩れることですね。それと良馬場。
-:前崩れは追い込み馬にとっては理想的な展開です。
池:そうですね。速いペースなら折り合いをつけながら脚もたまって最後に爆発できますから。
-:やはり持ち味の末脚をどれだけ生かすかというわけですね。では最大のライバルと目されるブエナビスタについてはどう見ていますか?
池:どの馬がライバルになるとか関係なく、いかに自分の馬をいい状態で出せるかだけですね。その点では、ブエナがどうこうというよりも相手なんて見てられないというのが正直なところです。
-:なるほど。やはりいかに納得のいく仕上げを施してレースに臨むかということが重要ですよね。今の話題からそれてしまいますが、デビューも近づいてきた2歳馬について少々お聞きしてもよろしいですか?ディープインパクト産駒のモスカートローザはいかがでしょう。
池:この馬は今開催の4週目にデビューを予定しているんですけど、かなりいい感じに仕上がっていますよ。まあ、ウチの馬はみんな走りますけど(笑)。
-:話題のディープインパクト産駒についてはどのようにお考えですか?
池:配合相手が優秀だから総じて走るんじゃないですか?父似でも母似でも。
-:なるほど、たしかに今年に限っては良血牝馬がディープに一極化してる節もありますからね。では、ドリームジャーニーにちなんで、全弟のオルフェーブルはどうでしょうか?
池:8月の末か9月のアタマあたりでのデビューを想定しています。だいたいこの血統はそれくらいの時期にデビューすることが多いから、オルフェーブルについてもそれくらいになると思います。
-:楽しみな一頭ですね。それではお話を戻させていただきますが、宝塚記念に向けてファンの皆さまに対して一言お願いします。
池:昨年とは臨戦態勢が違うので、ケアをしながらの競馬になってしまうんですけれど、その中でのベストな状態でレースに臨むわけですからそこはわかっておいてほしいと思います。また、最終追い切りを坂路でやるわけですが、今までやってきたCWコースとの時計の違い、ほかに馬場や展開などもアタマに入れながら、ウチの馬をどうするか考えてもらいたいと思います。これが、私からのありのままのメッセージです。
-:はい。本日もお忙しいなか、ありがとうございました。
池:こちらこそありがとうございました。
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■最近の主な重賞勝利 |
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池江泰郎調教師を父に持ち、武豊騎手とは同級生であり幼馴染でもある。開業3年となる06年にはドリームジャーニー号で朝日杯FSを制しGI初制覇。同年に最高勝率調教師賞を受賞し、さらに08年に最多勝利調教師賞を受賞。もはや知らぬ者などいない誰もが認めるトップ調教師の一人。 |
