素質馬が待望の「2戦目」へ。宝塚記念デーの6月24日、2歳新馬戦ではその後、2連勝を果たした2着馬に3馬身差つける圧勝劇をみせたブレイキングドーン。期待された萩Sではレース前の放馬でまさかの競走除外となってしまったが、今回は前回の借りを返すばかりでなく、真価が問われる一戦となりそうだ。低評価ながら新馬でみせた走りはホンモノなのか?陣営に語ってもらった。

急仕上げの新馬戦で後の連勝馬を一蹴

-:実質、レースは1戦しかしていないブレイキングドーン(牡2、栗東・中竹厩舎)がラジオNIKKEI杯京都2歳S(G3)へ挑みます。未知数なところも大きいですが、度々、柴田助手には能力の高さを伺っていました。デビュー前から振り返っていただくと、当時から手応えを感じられていたのですか。

柴田雅章調教助手:新馬を使う前は急仕上げのところはありましたね。当初は同じオーナーサイドの馬を使うプランもあったので、結果替わりに使うことになりました。相手も評判馬が出てきていたから、いい勝負できたら良いかなと思っていたけど、まさか勝つとはね。というのも、坂路での動きがそんなに良くなかったので、「まだまだかな」と言っていたんですよ。

-:結果、坂路だとまだパワー的に…足りなかったのでしょうか。

柴:そうですね。今日(11月14日)でも(坂路で)55.6秒だったので、まだそんなに速い時計は出ないですね。それでもだいぶ動くようになってきました。でも、もともと息の入りは良かったので、スタミナはあるのかなと。

ブレイキングドーン

▲後に2連勝のアドマイヤジャスタを退けた新馬戦

ブレイキングドーン

▲新馬戦の口取り撮影 左奥が柴田助手

-:北海道で聞いた時に「心臓が良い」という評価でしたね。

柴:そうでしたね。メチャクチャ心臓は良いですよ。ゼーゼー言うことがありませんから。息の入りは最初から良かったですから、これは心臓が強いなと思って。

-:新馬戦の仕上がりはもう一つだけど、そこの良さがあった訳ですね。

柴:そうですね。普段はヤンチャなところもありますけど、走ったら優等生です。ゲートも速かったですし、レースでも良かったですからね。

-:例年、宝塚記念の日の新馬は期待馬が出てきますし、その中で負かした2着馬(アドマイヤジャスタ)も2連勝しました。

柴:そうですね。どんな競馬をするかなと思って、満を持して萩S(放馬で競走除外)に出たんですけどね。けっこう乗り込んで使ったので、楽しみだったんですけど、その週のCコースでやったら、メチャクチャ良かったので。

-:レース後の (福永)ジョッキーはどんな感じでしたか。

柴:「これは化けるかもしれない」と言っていましたね。それに「寝かした方(休ませた方)が良いんとちゃう」ということで、次は休養したんですよね。そこから馬も大きくなって帰ってきたので。

-:当日の馬場は渋っていましたね。

柴:乾いてきているくらいだったんですけど、ちょっと重かったですよね。

-:それでも、ペースは遅いものの、ラストの1番速いラップで11秒1もあったので瞬発力もありそうですね。

ブレイキングドーン

▲カイバを残さずたいらげるブレイキングドーン

柴:そうそう。4コーナー回ってからグーンと伸びたので、これは勝ったなと思いましたね。ムチ一発も入れていないですからね。祐一さんを乗せて、坂路でけっこうモタモタしていたので「実戦向きやで」と言っていたんですけどね。「まだ馬体が緩いから、山(坂路)じゃ動かへんで」と言って、特に2歳のあんな時期にね。

-:でも、そこら辺も良くなってきたということですよね。

柴:そうですね。馬がちょっと大きくなって、幅も出たし、上にも背が伸びたし。でも、あれだけ子供なので。

-:それでも楽しみな部分があるということですね。

柴:そうですね。萩Sを使う時もCコースであまり良くなかったですけど、最後は待って待って、溜めてバーンと行ったんですけど、こんなに行くんやと思って。

乗ったことのない乗り味 厩舎の代表馬になる可能性

-:これまで厩舎で色々乗ってこられて、この馬くらいという感触はありますか?

柴:いないんじゃないですかね…。ウチの厩舎は基本的には短距離馬が多かったので。乗ったことがないタイプですかね。

-:将来的にはどういう距離が良さそうですか。

柴:長い距離と思うんですけど、スタートも良いから、好位に付けて抜け出す競馬といいますか。新馬戦の時もステッキは入っていなかったのでね。上がりも34.4秒でしたし、33秒台も使えるのかなと。追ってグンッと行くので、良い脚がないことはないと思うんですけどね。バテなくて、ずっと伸びていたので、あれは良い競馬でしたね。

ブレイキングドーン

ブレイキングドーン

▲21日の最終追い切りもCWコースで行った

-:性格はどうでしょうか?

柴:いまは余裕が出てきて、余計なこともしますが(笑)、走って何か物見したり、暴れたりとかはないので。後ろから来ても我慢をするし、反応もするし、乗っていて別に不安なことはないですね。運動は元気で、立って乗っかかりみたいなことはしますけど、気性的なものなので。この前(萩S)はメンコをして、競馬に行って大人しかったですよ。それで、放して歩いていっていたら、テンションが上がってきたらバッと立ち上がって。今度はキャンターに行くまで僕が付いています。メンコもゲート裏で外します。

-:想定外のアクシデントだったと。

柴:そうですね。テンションが上がってきましたからね。1800なので、ターフビジョン辺りまで歩いていって、Uターンして客の前まで行った時にすごいテンションが上がりましたけど、今度は2000なので、そのまま真っ直ぐ行けば良いので、歩かせておいても、そのままキャンターに行ったら。キャンターに行けば、全然何もしないので。

-:今回は、前回の対策も踏まえて。

柴:そうですね。休ませる度に良くなって帰ってくる馬は本当に心強いです。勝つ馬はガッとデカくなって帰ってくるので。それにとにかくよく食べる。ウチにしたら、調教量も多いけど、それでも全くへこたれませんから。

-:今回良くなったのはやっぱり体格的な部分ですか。

柴:そうですね(笑)。

-:ここで勝ち負けになれば、ホープフルSやクラシックがみえてきますね。

柴:G1になれば、強い馬も揃いますけど、厩舎としてもお世話になっているオーナーの馬で大きいところを狙いたいですね。

-:来年へつながる走りを。今回はありがとうございます。