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橋本篤典調教助手

橋本篤典調教助手


-:毎日王冠に出走を予定しているアリゼオについて、橋本篤典調教助手にお話を伺います。よろしくお願いします。

橋:よろしくお願いします。

-:まずは、春のG1・2戦、皐月賞と日本ダービーを振り返っていただけますか?

橋:皐月賞に関して言えば、前に行く馬も結構いましたし、あの辺の位置取りで競馬をするのは予想の範囲内でした。思ったより折り合いもついて、我慢もきいていたと思います。5着という結果でしたけど展開のアヤもあったのかなと思います。前に行って残ったのはアリゼオだけでしたし、先行馬には厳しい流れの中で良く頑張って、力は出していたと思います。勝った馬は強かったですけど、その他の馬とはあの時点ではそれほど差は無かったと思います。

-:なるほど。ダービーに関してはいかがですか?

橋:前半は逃げることも予想されていて、その予想通りに逃げることになりましたけど、上手く運べていたと思います。その後の後半は、3、4コーナー中間辺りからタメ逃げというか、ちょっと抱えながらという形になってしまいましたけど、それよりは消耗戦に持ち込んで欲しかったなという感じです。あそこからタメて切れるというよりも、なだれ込むような競馬をしていましたので、あそこでタメてしまったのは競馬としては残念でした。ただ2400メートルという距離も微妙だったのかな、というのもありましたし、春は間隔が開きつつですけど、大きな故障も無くずっと競馬をしてきましたし、よくあそこまで頑張ってくれたと思います。馬には凄く感謝しています。

-:ダービー後はどのように過ごしてこられましたか?

橋:ダービー後は山元トレセンに放牧へ出て、9月8日に帰厩しました。その翌週末から時計を出しています。

-:秋初戦は数あるレースの中から毎日王冠を選ばれて。

橋:毎日王冠か富士ステークスかという始動予定だったみたいですけど、1800メートルという今まで使っていたような番組ですし、開幕週ということで毎日王冠にいくことになったんだろうと思います。

-:調整過程についてはいかがですか?

橋:今日(9/30・木)の追い切りでは、1週前ということで福永祐一騎手に乗ってもらいました。「折り合いに関しては、これくらいなら特に心配はないけど、仕上がりでいえば、もうひとつ鋭い反応が欲しいかな」という感じのことを話していました。確かにそこそこ休んだ割りには本数は少なめですからね。ただ、来週もう一本出来ますので、馬の様子を見ながらメニューを決めて、それである程度仕上がるんじゃないかと思っています。

-:東京コースの適性に関してはどうご覧になっていますか?

橋:新馬戦で走って勝っていますから問題はないと思います。ただ、今の脚質では、長い直線がどちらに転ぶかな?という気持ちもありますけど、1800メートルはある程度行ったまま決まる可能性もありますからね。まあ、必ず行くとも限りませんが。

-:春先のレースより後ろの位置取りになることも。

橋:強い相手の中でも結果を出せるように安定した競馬をして欲しいという気持ちがあるので、これからはモマれていったり、そういう競馬を教えてもらえればいいかな、というところもありますね。3歳限定戦ならまだしも、古馬との戦いになるとちゃんと競馬が出来ないと厳しいものがあるので。

-:とは言っても、アリゼオはいつも逃げてばかりいたわけでもないんですよね。

橋:そうなんですよ。逃げたのはスプリングステークスとダービーの2戦だけで。ダービーはもうしょうがない、という感じでしたけどね。

-:橋本さんとしても「逃げるだけの馬ではないぞ」というお気持ちも。

橋:そう思いますよ。

-:橋本さんから見て、アリゼオの性格はどんな感じだと思われますか?

橋:春先は、カーッとしてしまう面が凄くありました。普段からもそういう元気の良さはありましたけど、今回戻ってきてから気性的な成長もあるみたいで落ち着いていますね。調教を進めていってどう変わってくるのかというのはありますけど、気性的な成長は窺えます。もちろん馬体も良いですしね。

-:春先のレースでも500キロを越える雄大な馬体で。

橋:トレセンにいるときには530キロを越えていますからね。昨日(9/29・水)の時点で538キロあります。ここのところ調教で他のジョッキーに乗ってもらっているので、僕はアリゼオの馬体をマジマジと見る機会が多かったんですけど、やっぱり良い馬だな、と。

-:気性に成長が見えるし、馬体も良い、と。

橋:はい。それでもまだ成長途上で、これからもっともっと良くなってくれると思いますし、期待しています。

-:アリゼオの好不調を見極めるポイントはありますか?

橋:やっぱり雰囲気としては元気があって、普段乗っていても抑えきれないくらいの手応えになってくれるのが良いのかもしれませんけど、いかんせん、まだ気持ちのコントロールが出来ていないところもありますので、そうなってしまうと元気があるのも逆効果になることもありますから。ただ単に元気というだけでは、結果に結びつかないような気もしています。

-:なるほど。

橋:まあ、好不調を見極めると言っても、アリゼオとはまだ付き合いが短いんですよね。まだ1年経っていないですから。それでここまで走ってくれて、本当に素晴らしい馬だな、と思いますよ。

-:毎日王冠でどんなレースをしてくれるか楽しみですね。

橋:古馬相手にどれぐらいの競馬をしてくれるのか、興味が大きいです。結構良いメンバーが揃って、ファンの多そうな馬がたくさん出てくるので、その中に入って良い競馬をして競馬を盛り上げられれば、という気持ちです。

-:ちなみに毎日王冠後のローテーション予定も決まっていますか?

橋:いえ、まだ決まっていないと思います。古馬とのレースとなるとまた競馬ぶりも違ってくると思うので、その辺りの適性を見ながら決めていくんじゃないかと思います。

-:分かりました。ではレース当日を楽しみにしています。今日はありがとうございました。

橋:ありがとうございました。




【橋本 篤典】 Hashimoto Atsunori

ジャガーメイル、キンシャサノキセキ、アリゼオ、クォークスターをはじめとする数々のオープン馬を輩出している堀厩舎で調教助手として活躍し、厩舎の躍進を支える。