アパパネが目指すのはもちろん牝馬3冠制覇!
2010/10/8(金)
国枝栄調教師
国:よろしくお願いします。
-:競馬ラボでは、オークス前以来となるインタビューです。まずは簡単にオークスから振り返っていただけますか?
国:オークスは距離が2400メートルということで、レース前の追い切りはトラックの方で実戦に近い形でやりましたけど、馬もそれに十分対応してくれましたね。暑くなってくる時期だったので、体もスッキリして470キロでの出走になりました。競馬の内容も、外から出て落ち着いた競馬が出来て、同着ではありましたけど十二分の結果を出してくれたと思っています。
-:オークス後の夏の過ごし方について教えてください。
国:オークス後も手元に置いて、厩舎で調整をしました。一ヶ月くらいは放牧に出したと思って、そのような扱いをしましたけど、今年は特に暑かったので、その辺はいろいろ考えて気を使いました。馬も暑い中、体調を崩さずに来てくれました。
-:夏を美浦で過ごすという決断を下すのには、結構勇気が要るんじゃないかと思いますが。
国:私もそうですけど、最近の厩舎運営の流れからすると、馬の頭数が多いから、夏は北海道へ行くという形ですよね。この暑い中、トレセンにずっといたっていうのは珍しいんじゃないですか。
-:珍しいでしょうね。
国:でも、昔は厩舎で見るのが普通だったんですよ。今と比べて馬の頭数も少なかったから。シンザンもそうだろうし、多分ミスターシービーもそうだろうし。今回のアパパネもオーナーサイドと相談した上で、これだけの馬なので手元に置いて調整します、という形になりました。まあ、北海道へ持っていこうか、という話もあったんですけどね。

-:そうなんですか。
国:でも、北海道で条件が良ければクイーンステークスあたりを使っても良かったんですけど、もし使ったら57キロという斤量の問題もあるし、札幌記念を使うとなると、そこからローズステークスに向かうのはちょっと厳しいかな、と。それで避暑だけの目的で北海道に行くなら、厩舎で調整しようと思って置いたんですけど、あんな猛暑で(笑)。でもその中で上手く過ごせたというのは、やっぱり持って生まれた体質が凄いんでしょうね。
-:あの猛暑の美浦で調整されて、プラス24キロでローズステークスに出走したんですもんね。
国:そうそう(笑)。だからやっぱりスペシャルな馬だと思いますよ。我々としても、こういう素晴らしい馬を手元に置いて緊張感のある仕事を出来たのは良いことでしょうし、良い勉強になったと思いますよ。やはり最近は、何かあったらすぐ牧場へ出すという流れですからね。馬の頭数が多いので、否応なくそういう流れにしなければならなくなってしまった現実がありますから。でも、強い馬作りという観点から考えると、この問題はキチッと考えていかないとまずいんじゃないかな、と思いますよ。
-:なるほど。では次にローズステークスに向けての調整過程を教えていただけますか?
国:秋のローテーションがローズステークスから秋華賞と決まってから、それに合わせて、暑さに慣れ始めてから時計を出し始めました。ただ、思いのほか体調が良かったのか、体が立派になりましたね。ある程度太いのは分かっていましたけど、あの暑い中で体を絞る為にギシギシやるわけにもいかないな、と思って。
-:あまり厳しくなり過ぎないように調整されたんですね。
国:そうですね。それで、ローズステークスに向けてレースの10日前に栗東へ持っていって競馬に臨みました。坂路で調整して、ある程度息は出来ているつもりでいましたけど、体そのものは、成長分はあったにしろやはり余裕残しだったかな、とは思いますね。
-:ローズステークスの内容は、どのようにご覧になられましたか?
国:実際に競馬に行ったときには、4コーナーを回って、苦しい中から抜け出そうという闘志というか、やる気は見せてくれましたからね。結果は4着でしたけど、トライアルとしての内容としては十分納得出来るものかな、とは思いましたよ。
-:ローズステークス後の状態はいかがですか?
国:その後は至って順調ですよ。そのまま栗東に滞在して、先週末からまた時計を出しました。先週末は68秒くらいで、予定よりはちょっと速かったですけどね。それで昨日(10/6・水)はピシッとやって、65.3‐50.6‐37.2‐11.9という時計です。ゴールを過ぎても少し流して行けと言っているので、実際は6ハロンくらい行っていることになります。
-:では、質量共に十分な調整が出来た、と。
国:そうですね。今も報告の電話があって、全然問題がないということなので、今週末には15-15くらいを行くか行かないかという感じにしておいて、来週マサヨシ(蛯名正義騎手)を乗せて、栗東で最終追い切りをやる予定です。
-:そこで仕上がるかな、という感じで。
国:もう、一回レースを使ってピリッとした感じはしていますからね。体も前回よりは10キロくらいは絞れているんじゃないかな、とは思います。
-:順調に来ていますね。
国:懸念材料は無いと思いますよ。
-:京都コースは初めてですね。

国:そうですけど、ここまでの実績がありますからね。特に不安材料にはならないと思います。
-:確かにどの競馬場でも結果を残してきていますし、既にG1を3勝もしているんですもんね。
国:そうそう(笑)。
-:先生の厩舎にはこれまでも素晴らしい実績を残している馬がたくさんいますが。
国:それでもやはりクラシックを取ったり、3冠を狙える馬はいませんからね。ウチの厩舎に限らず、競馬の歴史を遡って考えても、3冠達成に挑戦できる馬なんてなかなか出てこないわけですから。そういう意味でも、アパパネはスペシャルな馬かなと思いますね。
-:では最後に、レースに向けての抱負をお願いします。
国:やはり3冠達成を注目されるところまで来ていますし、オーナーサイドも夢として、牡馬3冠をディープインパクトで達成して、次は牝馬3冠を…
-:これも凄い話ですよね。
国:そうそう(笑)。それもアパパネの父キンカメも母ソルティビッドも自分の馬でね。もう究極ですよ(笑)。ゲームの世界でもなかなかないようなことを、現実にやっているんですから、本当に凄いオーナーですよ。
-:先生も良いご縁がありましたね。
国:本当ですよ(笑)。これまで金子オーナーの馬を17頭くらい預からせてもらっていますけど、ブラックホーク、ピンクカメオ、アパパネの3頭でG1を6つ勝たせてもらっていますし、スムースバリトンも重賞を勝っていますし、未勝利で終わった馬なんて何頭もいませんよ。
-:凄いですね。では秋華賞ではぜひ結果を残して。
国:牝馬3冠、牡馬3冠の夢が実現になればいいですね。
-:期待しています。今日はありがとうございました。

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■最近の主な重賞勝利 |
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昨年は通算500勝を達成。09年阪神JFに続き、10年桜花賞・オークスをアパパネで制し、牝馬クラシック2冠を達成。今週、牝馬3冠達成をかけて秋華賞に送り込む。 |







