競馬ラボ初登場!新春杯で重賞初勝利を狙う
2011/1/13(木)

丹内祐次騎手×高橋摩衣
-:今日は、日経新春杯でコスモヘレノス(牡4、美浦・菊川厩舎)に騎乗をする丹内祐次騎手にお話を伺います。
高:よろしくお願いします。
丹:よろしくお願いします。
高:えー、丹内騎手は競馬ラボ初登場なので、コスモヘレノスのお話の前に、丹内騎手ご自身について聞かせてください。まず、ジョッキーになろうと思ったキッカケから教えてください。
丹:僕、家が函館競馬場の近くなんですけど、中学校1年のとき、父と一緒に競馬場へ行ったんですよ。父が競馬好きなので、連れて行かれて。そこで、中舘さんの返し馬を見て「メッチャ、カッコ良い!」と思ったのが最初ですね。
高:返し馬とは渋いですね(笑)。
丹:アハハ(笑)。函館競馬場は馬とファンの距離も近いし、凄くカッコ良いと思ったんですよね。元々競馬のゲームをやっていたりはしましたけど、その時からハマりました。朝4時ぐらいに起きて、函館競馬場に調教を見に行ったりしましたよ。
高:お友だちとですか?
丹:いや、一人で(笑)。
高:なかなか行動力のある中学生ですね(笑)。
丹:競馬学校の受験のときも、競馬場に貼ってあるポスターを見て、それをメモしていろいろ調べて願書を取りに行きました。
高:ご両親は競馬学校受験に反対されませんでした?
丹:まあ、まさか合格するとは思っていませんでしたからね。合格した後、父は競馬ファンなので喜んでいましたけど、母は喜んではいませんでしたね。まあ、危険ということなのか、僕がいなくなって寂しいのか分かりませんけど(笑)。
高:アハハ(笑)。競馬学校での生活はいかがでしたか?
丹:キツかったですよ。減量も大変だったし、成績もおちこぼれでしたから。僕たちの代から、成績が良くないと途中で退学する制度が出来たんですよ。実際に退学した同期もいるし、僕も途中で親を呼ばれたりしました。
高:このままでは厳しいですよ、と。
丹:そうですね。でも、トレセン実習が始まって、モンキー乗りになってからは大丈夫になりましたけどね。僕、乗馬経験が無かったから、乗馬の方では苦労しました。朝早くに、僕だけ先生と一対一で馬に乗って。一対一だと、ガッチリチェックされちゃいますからね(笑)。そういうのはキツかったですよ。
高:でも無事に留年することなく卒業をされて。デビューされた頃はいかがでした?
丹:あの頃は若かったー。ピュアで可愛かったですね(笑)。
高:そんなピュアだった人間が。
丹:徐々にお酒を覚え、遊びを覚え(笑)。
高:アハハ(笑)。でも丹内騎手は、先輩に可愛がられそうなキャラですよね。
丹:そうですか?まあ、よく先輩には飲みに連れて行ってもらいました。
高:そんな感じがします。飲みのお話を聞いていくと止まらなくなりそうなので(笑)、ここまでのジョッキー生活で嬉しかったことを教えていただけますか?
丹:勝ったレースは全部嬉しいですね。

高:特に印象に残っているレースはありますか?
丹:テンジンムサシのブリリアントステークスですね。デビュー2年目の。後方一気を決められたので。あと、デビュー3年目に、初めて函館競馬場で勝ったときも嬉しかったです。それで勝った後、すぐに新潟競馬場でケガをしちゃいましたけど。
高:右上腕骨を骨折されて。それが今までで一番大きなケガになりますよね?
丹:そうですね。最初に1年休んで、その後にまた同じ箇所が痛くなって半年休んで。全部で1年半休むことになりました。
高:辛いですね。
丹:そうなんですけど、でも悩んでいてもしょうがないなって(笑)。頭を切り替えて過ごしました。
高:吹っ切れてますね(笑)。
丹:まあ、お金は入ってこないしキツかったですけどね。減量が切れる前だったし。まだ半年は、2キロ減で乗れる期間がありましたからね。ケガをして半年乗らなくて、復帰する年も最初の半年は乗っていなかったので、復帰してからは、0勝からスタートだし減量も無いしお手馬もいないしで。
高:厳しいですね。
丹:もう終わりですよ。デビューしてから3年ぐらいで大体決まりますからね。正直、いろいろ考えた部分もありましたし、どうしようかな、と思いましたよ。
高:でもそこからまた勝ち星を積み重ねられて。
丹:有難いことに、復帰してポンポンとまた10勝くらい出来たんですよ。それでまた馬が集まりだして、大丈夫かなと思ったら、またケガしたところが痛くなってきたので、半年休んだんですよ。そうしたらその後に復帰したら1勝しか出来なくて。
高:どちらかというと、最初の復帰後よりも2回目の復帰後の方が。
丹:キツかったですよ。3場開催の期間に休みがありましたからね。本当に、ダメかなと思いました。
高:そういう時期があったにも関わらず、2010年にも20勝をあげたように、また成績を残されていますけど、何が要因だと思いますか?
丹:僕、周りの人に恵まれているんですよ(笑)。馬主さんや大勢の関係者に可愛がっていただけていますし。
高:その中でも、マイネルの冠名でおなじみのラフィアンターフマンクラブさんとの関係が印象的です。今回のコスモヘレノスも馬主がビッグレッドファームさんということで繋がりもあって。ではコスモヘレノスについてお聞きしたいんですけど、丹内騎手はデビューから2戦続けて騎乗されましたが、その頃から、いずれ重賞を勝てるかなという感じはありましたか?
丹:いや、絶対に先々良くなってくるだろうとは思いましたけど、正直、重賞まで勝てるとは思いませんでした。その後にセントライト記念で乗せていただいたときに結果を残せなかったので、次に1000万の本栖湖特別を勝たせてもらったときも、この先は厳しくなってくるだろうな、と思っていました。
高:でも重賞のアルゼンチン共和国杯で3着になって。
丹:凄いですよね。しかもその後、別定戦のステイヤーズステークスを勝つんですから。馬は本当に分からないです。
高:最初の頃と比べて成長を感じる部分はありますか?
丹:それはもちろんありますけど、それほど急激に力を付けた、という感じは受けなかったので、馬って分からないな、と。でも成績からも、力は付けているのは間違いないですしね。最近は馬に迫力が出てきましたよ。調教はそれほど動くタイプではありませんけど、とにかくスタミナが抜群です。この馬のペースを崩さずに行ければ、力を出せると思います。
高:日経新春杯が楽しみですね。
丹:そうですね。こういう舞台でまた乗せていただくことが出来て嬉しいですよ。岡田社長も「重賞を勝たせてあげたい」と、応援してくださいますし、チャンスを生かしていきたいですね。
高:応援しています。ではお話の流れでコスモヘレノスのお話を伺えたので、最後にもうひとつ、丹内騎手が今欲しいものがありましたら教えてください。お金が欲しいというのは分かりますので(笑)、それ以外のものでお願いします。
丹:アハハ。そうですねー、欲しいものか…。
高:お金で買えないものでもいいですよ。ちなみにこれまでは、時間が欲しいと答える方もいらっしゃいました。
丹:あー、僕は時間はいらないですね。
高:なぜですか?
丹:僕、全然寝ないんですよ。一日3時間くらいしか寝ないんです。そうすれば8時間寝ている人よりも、1日5時間多く起きてられるじゃないですか。1週間になれば35時間、8時間睡眠の人よりも時間を多く使えますからね。
高:えー!私なんか10時間ぐらい眠りたいんですけど(笑)。年を重ねるごとに段々寝ないとツラくなるっていうことはありませんか?
丹:全然大丈夫です!まったくツラくありません。起きている間はあまりボーッとすることは無くて、誰かと遊びに行ったり、ゲームをしたり、レースのビデオを観たりしています。
高:常に何かをしているんですね。じゃあ、時間はいらないということで、別に欲しいものはありますか?
丹:そうですねー…、やっぱりG1タイトルが欲しいですね。その為にはまずG1に騎乗しないといけないですよね。
高:そうですね。
丹:G1レースを経験することによって、新たに分かることも出てくるでしょうし。だからまずはそういう経験が出来るようなパートナーが欲しいですね。
高:まさに今週のコスモヘレノスがそのパートナーになると良いですね。
丹:そうですね。
高:では日経新春杯、応援しています。今日はお忙しいところありがとうございました。
丹:ありがとうございました。

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デビュー年に8勝、2年目には27勝をあげ順調に勝ち星を重ねる。デビュー3年目にあたる2006年の8月新潟競馬場で落馬し、右腕上腕部を骨折。 1年休養を挟んだのち復帰するが、痛みが再発し2008年4月より半年間の休養に入る。 同年3勝、翌2009年8勝と1桁勝利に留まるが、2010年には20勝をあげる活躍を見せる。 11年、日経新春杯でコスモヘレノスに騎乗し、自身初の重賞勝ちを狙う。 |
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■出演番組
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2006年から2008年までの2年間、JRA「ターフトピックス」美浦担当リポーターを務める。明るい笑顔と元気なキャラクターでトレセン関係者の人気も高い。2009年より、競馬ラボでインタビュアーとして活動をスタート。いじられやすいキャラを生かして、関係者の本音を引き出す。 |
