国内トップの座を確固たるものに!アーネストリー
2011/10/22(土)
田重田静男厩務員
早くから素質を評価されながらも、今年上半期の大一番・宝塚記念で待望のGⅠ勝利を挙げたアーネストリー。その後は札幌記念に駒を進めるはずが、軽度の捻挫を発症して回避。 秋初戦のオールカマーこそ、貫禄の違いをみせつけるように楽勝したが、一気にメンバーが強化される天皇賞。今回は佐々木晶三調教師と田重田静男厩務員が、近況をタップリと語ってくれた。
-:まずは佐々木晶三調教師に伺います。前走のオールカマーは強い内容でした。
佐:強かったねえ。惚れ惚れするレースだったよ。それも完調ではなかったことは確か。でも、自信を持って使いましたよ。
-:前走を使っての上積みは見込めますか?
佐:使えたこと自体に意義があるから、この馬にとってはいい事しかないね。宝塚記念は今までで一番イイ状態だったから。あれも金鯱賞を使えたことが大きかったからね。金鯱賞自体も無理やりつかって勝ったようなものですから。宝塚の時もタップダンスがレコードを持っていることを忘れてしまっていたけれど、あとで聞けば、そのレコードを1秒も縮めたと。それを聞いて「すごい時計だな」と思いましたよ。
-:ようやく完成に近づいてきたのでしょうか?
佐:まだ、もうちょっとだね。ようやく完成には近づいてきたけれど。馬場入場時や地下馬道がまだ不安定だもんな。あれがもうちょっと落ち着いてくればいいんだろうけれど。本当はG1でファンがワーっとなっているところで入場をしてみたいんだけれど、勝ちに行かなくちゃいけない時だから、先出ししないといけないもんな。G2とかの時は、それはそれで休み明け。こっちのテンションンが上がってしまっているから、試しようがないんだよなあ。ま、凱旋門賞で試しますよ(笑)。凱旋門は先出しとかのシステムがないからね。
-:昔は使っては休みの日々が続いていましたね。
佐:そうやなあ。体の弱いところが多すぎたし、こっちのミスで怪我をさせた事もあったしね。
-:今回、直線の長い東京コースになります。
佐:飽きてしまうみたいだねえ。外回りのコースは勝ったことがないもんね。阪神の外回りも、新潟もそうだし、今回もやってみないとわからなあいなあ。
-:来年は海外の話も出ています。
佐:ドバイも凱旋門も行くよ。京都記念を使ってから、検疫に入って間に合うでしょう。(オーナーの前田)社長はドバイ・シーマクラシックとは言っていたけれど、僕はワールドカップでトランセンドと走らせたいねえ。社長もこの間のトランセンドを観て、「アーネストリーの方が強いな」と言っていたから、「当然ですよ」と。あの馬場は芝馬が合うだろうからね。

-:佐々木先生は取材が殺到している、お忙しい中ありがとうございました。田重田厩務員さんに続いてお話を伺います。まず、札幌記念を回避した経緯から教えていただけますか?
田:レース一週前の話だったね。水曜日が追い切り、木曜日は運動だけで金曜日は軽めに乗ったんだ。その軽いところに乗った時に、乗っていた人も「わからなかった」と言うくらい、左前にちょっとした捻挫をして。脚を置き違えたか、深いところに脚を突っ込んでしまったか。上がり運動をして、寝かすまではわからなかった程のものだった。
-:人間でも腫れる場合も時間を置いてからじゃないとわからないですよね。
田:本当に酷い時ならば、上がり運動をしたら、すぐに腫れてくるものだけれどもね。それさえなかったから。
-:それはいつ気付いたんですか?
田:洗い場で体を洗って、(厩に入れて)馬を寝かせる時に気付いたんです。ちょっとした一完歩がおかしかったから「アレ?」と。それでもう一度曳き直したら、どうもなかったんやけれど、いつも馬房に入れてご飯を食べながら、低周波やら電気やらを当てる時、若干、漿液がポコっと出ているような感じがしたからね。そこで「捻挫かな?」と。そこから30分くらいして、獣医さんに診てもらったんです。
-:そういう際はどうやったらわかるものなんですか?
田:やっぱり、馬が立たせた状態では力が入っているからわからないけれど、少しずつ触っていればわかるよ。そこで先生にすぐに電話して「(札幌記念は)止めましょう」と。
-:症状としては軽度のものだったと聞きました。
田:使おうと思ったら使えん事はなかったね。でも、(勝負事の流れにおいて)ケチがつくというか、そういう事があるというのは、使わない方がいいと。使ったとしても、芝の上で目一杯走るわけだから後遺症が残るし、悪化したとしたら、どんな状態になるかはわからないからね。後に使えないような事にならないためにも、止めることになりました。
-:そういうアクシデントがあった割に前回のレース前の坂路では、ブレることがなく駆けあがってきていましたね。
田:そうそう。金鯱賞の時はブレていたから酷かったよね。
-:一回使わないといけないところから、ひと息入れて、また、そこから上げてきたわけだから、馬にとっては楽だったんでしょうね。
田:そうだねえ。正味、調教をしなかったのは2週間くらいで、5日後くらいは運動をし始めたんだよね。そのあとは札幌から新冠のノースヒルズに行って、そこから鳥取の大山に行ったんだよね。
-:それを考えれば、前走よりも上積みはあると考えていいのでしょうか?
田:あります!今回どれくらいになるかはわからないけれど、金鯱賞の時は酷くて、そこからグンとデキが上がったんだよね。それに比べれば、今回はいい方だね。
-:一昨年の中日新聞杯を使ったレース後は、ゼーゼーハーハーと激しく息が切れていたのを覚えています。例えるなら「ここから上積みはあるのかな?」というくらいだったと思うんですよ。そこからG1を獲るまでに登り詰めた要因はどんなところにあるんですか?
田:本当を言うと、あの時は一番良かったね。それまでが酷かったし、一番順調に使えて、ちゃんと走れたからこそ、そんな状態だったんだと思うな。それに年齢的にはいってはいたけれど、数も使ってはいなかったし、成長途上だったんじゃないかな。それでも、騙し騙し調教をしながら、オープンを勝つまでにはなったよね。
-:今でも低周波治療はされているんですか?
田:どうしても肩先に骨膜を持っていて、それが筋肉を引っ張るやつだから、それをほぐしてやらないと、前が出なくてゴツゴツになるんです。
-:体を温めるにあたって、特別上がり運動を多くしたりはするんですか?
田:それはないけれど、調教の時間帯もハッキングなんかは時間を掛けているから、普通の馬よりは5~10分は掛かるからね。馬自身が体がほぐれないと行こうとしない部分があるみたい。
-:アーネストリーも普段の追い切りのパターンをわかっていて、それを感じ取るから止めようとするんですね。
田:そうだね。イヤイヤと(笑)。
-:でも、走らせると走るんですねえ。
田:そうだねえ。オンとオフの切り替えがハッキリしているんだなあ。でも、普段はオフになり過ぎだけれど(笑)。
-:なおかつ、腹構えがボテっとした馬だから、余計にダラっとみえますよね。
田:アハハハ(笑)。そうやねえ。ほんとボーっとしているよね。

-:電気を当てている時とかは、どんなタイプですか?
田:電気を当てている時はご飯を食べている時だから、何をしても気にしないね。食欲は旺盛だから。
-:今回、馬体重はどれくらいになりそうですか?
田:東京だし、今回は530キロくらいでは出したいんだけれどもね。プラス10キロくらいあってもいいし、それくらいになるよう頑張っていますよ。
-:前回のレース内容はどう思いましたか?
田:メンバー的にも負けないとは思っていたし、ジョッキーも自信を持って乗っていたからね。体重も食べないで落ちていたら心配するけれど、食べていた上での落ちた520キロ台でしたからね。向こうについても食べていたから、馬体重もそれほど心配していなかったんですよね。
-:府中の二千に関してはどう思いますか?コーナーが2つで直線も長いコースになります。
田:う~ん、勝っていないよな(笑)。
-:仕上げ自体は順調なわけですよね。でも、先を見据えた調整なんですか?
田:出来る範囲はやりますよ。(宝塚記念が10としたら)9.5くらいまでは持っていきたいし、あとは輸送もあるからね。体重も考えて、馬運車に積む時は540キロ台くらいにはなると思うから。
-:馬場的にはアーネストリーにとって硬い方がいいじゃないですか?府中って悪くなりだしたら予想がつかないですよね。
田:宝塚の時も雨が降らなければ、負けない自信はあったからね。ブエナくらいかと思ったし。

-:今回はどうやって乗るんでしょうかね。前回は若干、差しの競馬をしましたよね。
田:たぶん、もうちょっと下げて、前回みたいな競馬になるのかな。早めに追い出したら、飽きると言っているから、その辺りがどうなのかな。
-:でも、そのペースになったら、平均ペースにならないといけないですよね。スローになったら厳しいですし。
田:そうだね。負けるよな。あまり引いて行くことはないだろうけれどね。終いキレる馬が多いからね。
-:天皇賞というと、初めてこの馬を生で観るファンもいるかもしれません。ファンの人にアーネストリーを観る時の注意点を教えてください。
田:骨膜とかがあるから、前の出はやっぱりゴツゴツ見えるけれど、ほぐしていってあげると、段々柔らかくなるんだよね。それと、精神的な部分では落ち着きやね。如何に自分を見失わないで歩いているか。
-:ファンに理解を求めるには難しいですね(笑)。
田:そうだね(笑)。あ、静けさの中にも闘争心がある馬なんです。それを感じられればイイかと思います。是非、競馬場でそこを観て下さい!
-:普段接している人だからこそ、知っているお話を沢山ありがとうございました!

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