関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

吉原寛人騎手

吉原寛人騎手


ジャパンカップダートに注目が集まる中、12月3~4日にかけて、この時期の風物詩とも言えるワールドスーパージョッキーズシリーズが行われる。 近年では海外からの外国人騎手の来日が頻繁だが、2001年、佐賀の鮫島克也騎手以来の地方代表騎手の優勝を目指すのは若き実力派ジョッキー・吉原寛人騎手だ。この夏にもオリジナルインタビューに登場してくれた同騎手だが、シリーズ出場への意気込みを語ってくれた。

-:いよいよワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)が今週末に迫ってきました。ジョッキーなら誰もが憧れる夢舞台への出場を叶えましたね。

吉:地方競馬の所属騎手にとっては、各競馬場でリーディングに立って、それから選考レースをやって1人の出場者を決めるわけですから、これは本当に狭き門。選考レースのスーパージョッキーズトライアル(SJT)を優勝できてよかったです。2011年の世界一のジョッキーを決めるレースですから、楽しみでなりません。

-:今年のSJTは川崎競馬場と名古屋競馬場で4戦が行われました。具体的にSJTの感想をいただけますか?

吉:4戦して3着が最高着順なのに総合優勝ですからね。どのレースもそつなく無難に乗ったという印象です。だから、抜けて良かったレースはありませんが、これは厳しいなというレースもありませんでした。

-:川崎競馬場の第1ステージが終わった時点で3位でしたが、第2ステージに挑む気持ちはいかがでしたか?

吉:名古屋の騎乗馬を見て、これは行けるなと思いましたよ。阪神へ行くのは自分だと。確信ではないけど、信じていました。騎乗馬が決まったあと、父親が他の騎手の騎乗馬も見て得点の予測をしてくれて、5着3着なら優勝できるからというアドバイスでした。そして、本当に5着3着で優勝が決まったので驚きましたね。



-:最終戦の前に、他の騎手とのポイント差を考えていましたか?

吉:はい、すごく計算していました。1頭強い馬がいたので、勝つのは兵庫の木村健騎手だとすると、最低でも3着以内が優勝圏内だというのがわかっていました。

-:それにしてはずいぶん後ろから余裕のある騎乗に見えましたが。

吉:自分の馬も力があるから、2~3着には来ると思ってそのまま乗ってきただけですよ。

-:では、3着に入った瞬間、優勝を確信したわけですね?

吉:いえ、まだ半信半疑でした。今回は大混戦だったので、誰かに抜かれているかもという不安もありました。結果、1ポイント差で木村騎手を上回りましたが、さらに1ポイント差で福山の三村展久騎手が3位に入りました。三村騎手は最終戦で4着だったのですが、自分と着順が入れ替わっていたら、優勝と3位が入れ替わっていたわけですから、総合優勝といっても紙一重でした。

-:SJTは今年で5度目の出場でしたが、過去には悔しい年もありましたね。

吉:はい(笑)。SJTは第1ステージの下位2名は第2ステージに進めないのですが、初出場の2007年は2戦で3ポイントしか取れず、金沢に帰るのが恥ずかしかったです。翌年も最下位でした。 一転、2009年は第1ステージを1位で通過したのですが、第2ステージで大井の的場文男騎手に大逆転され、2位に終わりました。悔しい気持ちが大きかった分、今回の優勝は格別ですね。一度は優勝したかったですから、やっとの思いです。



-:それではWSJSに出場するにあたっての心構えがあれば教えて下さい。

吉:これは出場して楽しむものですから思う存分楽しみますよ。海外からの出場騎手も普段、厳しいレースの中で結果を出している超一流ばかりですし、その人たちもみんな楽しむための祭典だと思うんです。騎乗技術がどうとか、勝ち負けがどうとかではなくて、出場している時点でステータスですから、2日間でどれだけ楽しめるかが醍醐味でしょう。こんな凄いところで乗れるのですから、乗れるだけで幸せですし、いろんなことをたくさん吸収できたらと思います。

-:意識されている外国人ジョッキーは誰かいますか?

吉:オーストラリアで修業した時にウィリアムズ(クレイグ・ウィリアムズ騎手)にお世話になったので一緒に乗りたいと思っていましたが、彼は今年は不出場ですね。せめて阪神で乗っていればと思ったのですが、中山での騎乗のようですし。この機会に他のジョッキーとの親交を深めたいと思います。

-:総合優勝を目指して頑張ってください。

吉:はい。吉原という名前を知らないファンも多いと思うので、ひとりでも多くの方に知っていただけるよう、良い騎乗を披露したいと思います。






【吉原 寛人】 Hiroto Yoshihara

1983年 滋賀県出身。
地方初勝利
2001年4月7日 金沢競馬5R トゥインクルサマー
JRA初騎乗・初勝利
2001年10月6日 4回京都7日 9R トゥインチアズ
地方通算成績は1355勝(11/11/29現在)


■主な表彰
・2001年 NARグランプリ最優秀新人賞 / 日本プロスポーツ大賞新人賞
・2008年 NARグランプリベストフェアプレイ賞
・2005~10年 金沢競馬リーディング


デビューイヤーに95勝、JRAでも勝ち星を挙げるなど、輝かしい騎手デビューを果たすと、翌年には金沢競馬史上最速で地方通算100勝を達成。06年にはオーストラリア遠征を敢行、08年には史上最年少でNARグランプリベストフェアプレイ賞を受賞した。
今年は制度改正により、約2ヵ月間、南関東で短期免許を取得したが、その実力を発揮し期間中に18勝をマーク。また、地元・金沢でも既に100勝以上の勝ち鞍を挙げて、リーディングを独走。若くして地方競馬の第一人者たる活躍を続けている。