関係者の素顔に迫るインタビューを競馬ラボがオリジナルで独占掲載中!

河内洋調教師

河内洋調教師

活路を求めた初ダート戦のシリウスSを圧勝したヤマニンキングリー。前走のJCダートでは見せ場らしい見せ場こそなかったものの、後手後手の展開の中、終わってみれば0.5秒差7着に踏みとどまった。 過去には芝の中距離重賞2勝を挙げた実績馬。展開一つで巻き返せる目は大いにあるだろう。暮れのダート総決算・東京大賞典への意気込みをオリジナルインタビュー初登場の河内洋調教師に語ってもらった。

-:ダートG1初挑戦となった前走は7着に終わってしまいましたが、レースを振り返っていただけますか?

河:枠も外だったので前に行けると思ったけれど、位置取りが悪過ぎたねえ。伸びかかったけれど、外々を回らされた影響で、あと1Fで脚が上がっちゃったな。

-:とはいえ、後続との争いでは着差は僅かでしたね。

河:そうだね。5~6着かと思ったけれど、あの一線級相手に外を回ると、流石にしんどいよ。

-:それでも、勝ち馬には差をつけられたものの、挽回出来る余地はありそうですね。ましてや、ダートのG1は初めてでしたし。

河:ダートも2戦目で、全然ダメなら考えてしまうところがあったけれど、あの内容ならね。現状、ダートも合っていると思うし、今回は距離も二千になるのはいいと思うな。場所が替わることに関してはやってみないとわからないところはあるけれども、距離も千八より二千でしょう。

-:大井の馬場というと、昨年末のように高速馬場であったり、地方の競馬場の中では傾向が変わり易いコースですね。

河:どうなんだろうねえ。馬場適性に関しては未知数だからなあ。ただ、速い馬場にはなった方がいいかもわからんね。パサパサよりも湿っている馬場。大井の二千も最初のコーナーまで十分距離があるし、枠順も前回の阪神ほど心配いらない。内も外もそんな差はないと見ているよ。

-:先生といえば、ジョッキーとしてご活躍されました。現役時代の大井のイメージはありますか?

河:大井はあんまり乗っていないんだ。イメージが湧かないなあ(笑)。調教師になってからはキングスデライトという馬で、ジャパンダートダービーに使ったことはあるよ。あの時は6着だった。



-:年末だけに渋滞による輸送の心配もありますね。

河:スムーズに行ってくれるといいけれどね。それと、今回はナイターじゃないか、環境面で心配することはないかな。発走も16時半くらいでしょう?照明も気にするほどではないだろうし。

-:初ダートとなった2走前のシリウスSを快勝しましたが、この馬のダート適性はいつ頃から見抜いていたのですか?

河:前からダートには使いたかったんだ。でも、芝でも結果が出ていたし、使おうと思ったら、距離が合わなかったり、斤量を背負わなくてはいけなかったり……。なかなか条件が合わなかったんだよね。シリウスSは斤量も56キロで、走るとは思っていたけれど、思っていた以上に楽な競馬をしてくれたよ。

-:あの時は砂を被ることのないポジションで運んだ武豊騎手の位置取りの良さも光りましたよね。もし、砂を被るようなポジションでレースになったらどうでしょうか?

河:シリウスSは芝スタートだったことも、あの馬にとっては良かったんだろうね。そもそも、スタートは巧いし、そんなに後ろから行く馬でもないから、好位で運べるだろうし、砂を被ることはないんじゃないかな?それに被ったとしても大丈夫だとは思うよ。

-:秋一連を戦ってきての疲れなどはありませんか?

河:昔は攻め駆けする馬が、攻め駆けはしなくなってきたけれど、デキは問題ないよ。普段も大人しくて、なおかつ、元気のある馬。昔に体もドッシリしてきたし、頼もしいね。

-:本日はお忙しい中、取材に応じていただきありがとうございました。最後にヤマニンキングリーを応援してくれるファンの方にお願いします。

河:前走は不満の残るレースでしたが、次はあの馬、本来の好位からの競馬で巻き返してくれると思います。相手は強いけれど、頑張りますよ!応援して下さい。


【河内 洋】 Hiroshi Kawachi

1955年滋賀県出身。
2003年に調教師免許を取得。
2005年に厩舎開業。
JRA通算成績は139勝(11/12/25現在)
初出走
05年3月12日 1回阪神5日目3R ミッドナイトトーク 2着
初勝利
05年4月10日 2回阪神6日目2R ミッドナイトトーク


■最近の主な重賞勝利
・11年 シリウスS(ヤマニンキングリー号)


騎手時代は「牝馬の河内」の異名をとり、メジロラモーヌをはじめ、数々の名馬の手綱をとる。また、種牡馬としても活躍したアグネスタキオン、サッカーボーイらの主戦騎手を務めたことでも知られている。03年に騎手を引退。騎手としてはJRA通算14,940戦2,111勝(うち重賞134勝)をマーク。その後は05年に厩舎開業。厩舎の功労馬とも言える存在のヤマニンキングリーでダートG1初制覇を狙っている。