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嶋田純次騎手

嶋田純次騎手


-:2011年民放競馬記者クラブ賞を受賞した嶋田純次騎手にお話を伺います。よろしくお願いします。受賞おめでとうございます。

嶋:ありがとうございます!

-:デビュー年は18勝という成績でしたが、振り返っていかがですか?

嶋:そうですね、正直この成績は物足りないという感じです。

-:え?そうなんですか。

嶋:やっぱり同期の中で一番騎乗回数も多いですし、勝つチャンスのある馬にたくさん乗せてもらっていたので、それを考えるともっと勝っておかないといけないと思いますね。

-:とりこぼしてしまったな、と思うレースが多かったり。

嶋:はい。それがこの28回という2着の回数にも表れていますね。本当にたまに「上手くいったな」というレースもありますけど、上手くいかない方が多いです。

-:デビュー前に考えていたことと実際のレースで違ったことはありましたか?

嶋:模擬レースを経験していたので、凄く大きな違いは感じませんでしたけど、やっぱり迫力は違いましたね。レースではお客さんのお金もかかっていますし。でも、学校の先生にもずっと「甘くはないぞ」と言われていましたし、元々自分の中でも「厳しいものだ」と思っていました。競馬もタイトだというのはイメージしていましたし、実際その通りで、やっぱり思い通りにはいかないですね。

-:そうですか。割りとコンスタントに勝ち星をあげている印象がありますけど、嶋田騎手自身「スランプだな」と思うような時期はありましたか?

嶋:正直、ずっとスランプ状態でした。毎週「ああ、上手くいかなかったな」みたいな。勝ったら気持ちが上がりますけど(笑)。勝てなかった週って、結構心が痛いですよ。ヘコみ具合がハンパないです。やっぱり、勝たないと意味がないじゃないですか。

-:そういう後悔の気持ちを、引きずることは?

嶋:いえ、次のレースのときには「気持ちを切り替えよう」と思っていますし、実際に切り替えられていると思います。失敗したレースの直後は「あー、やっちゃったな…」って後悔しますけど、その気持ちを引きずっていたら、次のレースの馬や関係者に対して悪いじゃないですか。

-:そりゃそうですね。

嶋:だから、失敗したときは次に引きずらないようにして、勝ったときはそのままのテンションを上げていって、という感じです(笑)。その週のレースが終わってから振り返って、そこでヘコめばいいんじゃないですか。最後にまとめて。

-:非常に合理的だと思います。反省する内容が多かったようですけど、その中でも特に「悔しい思いをしたな」というレースはありますか?

嶋:たくさんありますけど、やっぱりデビューしたての頃に乗せていただいたエキナシアですね。調教でも乗って「これは本当に面白いな」と思っていました。何回もレースに乗せていただいたんですけど、しくじることが多くて…。4月9日の小倉のレースは、普通なら勝っているはずですから。

-:そのレースの敗因はどういうところにあったと思いますか?

嶋:自分で進路を間違えたというか、普通に外を通ってくれば良かったのに、最初は内を通ろうとして「うわーっ」となってしまって、外に出してハナ差届かず、で。迷いがありましたね。普通に外を通っていれば、全然楽勝だったと思います。

-:そういう後悔が残るようなレースもたくさんあるようですけど、逆にこのレースは良かったなと思えるようなレースはありますか?

嶋:勝たせてもらったレースは全部嬉しいですけど、その中でもカリスマアキラは4回続けて乗せてもらって、どんどん良くなっていって勝てたので嬉しかったですね。

-:過程を経験出来たんですね。

嶋:はい。乗っていて馬がどんどん良くなっていくのが分かりました。なかなかたくさんチャンスがもらえないのが普通ですけど、それでも何度も乗せてもらえたので、結果を出せて良かったです。

-: カリスマアキラは1番人気に応える形になりましたけど、嶋田騎手は騎乗馬の人気を気にする方ですか?

嶋:そんなに気にしません。レースが終わって配当を見て「あ、こんなに人気だったんだ」とか「人気してなかったんだ」ということもあるので、そんなに意識はしていないですね。

-:レースに向かう前にどのような準備をするのか教えてください。騎乗馬については、どのような形で情報収集をしていますか?

嶋:前走で乗っていた先輩に聞いたり助手さんに、馬のクセを聞いたりします。他にはその馬が走ったレースのビデオを、大体金曜日の午後に観ます。それで「どっちにモタれているか」とか「ゲートがウルさいかどうか」とかチェックします。あとは新聞を見て、他にどんな馬がいるのかを確認したり、ですね。

-:レース前、馬に跨ってから意識をしている点はありますか?

嶋:いろいろ気をつける点はありますけど、返し馬は注意しています。最初の頃は、馬場に入ってすぐにキャンターにおろしてしまって先輩に注意をされていたので、出来るだけ馬を落ち着かせて制御して、常歩(なみあし)をしてゴール板を過ぎてからキャンターにおろすようにしています。

-:先輩のアドバイスを生かしているんですね。

嶋:はい。そういう直接いただけるアドバイスだけじゃなくて、先輩が乗っているレースを見るだけでも勉強になります。

-:勉強をしていく中で、今の自分に必要だと思うポイントはどういうところですか?

嶋:筋力も足りないのでもっとつけたいですし、もう少し騎乗姿勢をカッコ良くしたいですね。道中の姿勢も追っているときの姿勢も。今はちょっと道中の姿勢が高くて、自分の体は小さいのに、他のジョッキーと比べて大きく見えるんですよ。だからレースを見ても、すぐに自分だって分かっちゃうんですよね。



-:なるほど。大きくみせたくないんですか?

嶋:見せたくないですね。あとは、追っているときも力強さがなくて、何か力が抜けているような感じだと思うので、追い方もしっかりしていきたいです。

-:騎乗姿勢を矯正するのに、どのような練習をしていくんですか?

嶋:普段の調教でも追い切りのときは出来るだけ意識して乗っています。あとは寮に木馬があるので、それで練習します。ただ、木馬は上手くいくんですよね(笑)。木馬に乗って「イケる!」と思って本当の馬に乗るとダメだったり(笑)。木馬のときと同じような理想的なフォームで、馬に乗れるようになるといいですね。

-:騎手としての生活のリズムには慣れました…よね?

嶋:はい。でも朝はキツいです。慣れるかと思っていましたけど、相変わらず朝は眠いですね(笑)。でも、ジョッキーになって楽しいですよ!!思っていたよりも楽しいです。

-:どういうところに楽しさを感じるんですか?

嶋:やっぱり勝ったときです!!ファンの「おめでとう」という声援が嬉しいんですよ。あんなに気持ち良いものはないですね。「あ、こんなに嬉しいんだ」と思って、これは想像していた以上でした。勝った瞬間も嬉しいし、勝って上がって来るときも嬉しいし、ウィナーズサークルに行くときも「勝ったあ!」と思って嬉しいし(笑)。これまで勝たせてもらったレースは、どれも全部同じくらい嬉しいですね。

-:毎回新鮮な嬉しさがあるんですね。それだけファンの声援が嬉しいなら、この前の表彰式で壇上に上がっているときも気持ち良かったでしょう?

嶋:はい!「おめでとう~」という声援が聞こえて(笑)。そのとき隣で田辺さんがホープ賞を受賞されていたので、良いなと思いました。ホープ賞、僕も欲しいですね。

-:じゃあ、ホープ賞受賞を目指して、最後に今年の目標をお願いします。

嶋:今年は去年の勝ち鞍18の倍は勝ちたいですね。丸山先輩、川須先輩など2年目で飛躍的に勝ち鞍を伸ばしていますし、身近な先輩がそこまで活躍しているのを見ると、努力をすれば自分もそのぐらい勝てるのかなって「頑張ろう」という気持ちになります。良い内容のレースが出来るように頑張ります!

-:応援しています。今日はありがとうございました。




【嶋田 純次】Junji Shimada

1993年埼玉県出身
JRA初騎乗&初勝利:
11年3月 5日 2回 中山3日 1R ワイズアンドクール(1着/16頭)
JRA通算成績は19勝(12/1/19現在)


■表彰
・2011年 民放競馬記者クラブ賞


2011年に美浦・手塚貴久厩舎からデビュー。
同年デビューの中で最多となる18勝を挙げ、 民放競馬記者クラブ賞を受賞する。
明るく親しみやすいキャラクターで、関係者からの評判も高い。